テンプルステイも出来る江南COEX近くの寺院韓国ソウルの江南(カンナム)に位置する、韓国仏教の最大宗派の伝統寺院「奉恩寺」。韓国語での読み方はポンウンサです。794年に創建され、かつては山野が広がっていて、修道山と呼ばれていました。本堂にあたる大雄殿や1856年に建てられた板殿など約20棟の伽藍(がらん)が林立し、高さ23メートルの韓国最大の弥勒大仏もあります。現在は信者はもちろん、パワースポットとしてビジネスマンや観光客も大勢参拝。寺院宿泊体験ができるテンプルステイもあり、国内外問わず人気です。地下鉄9号線の奉恩寺駅付近にあり、近くには「COEX MALL(コエックスモール)」をはじめ、ホテルやグルメ店がたくさんあります。
都会の中の広大な仏教寺院
韓国を代表する近代都市空間の
江南(カンナム)に位置する、韓国仏教の最大宗派である曹渓宗の伝統寺院「奉恩寺(ポンウンサ)」。
禅宗の流れをくむ韓国を代表する伝統と規模を誇る寺院の1つです。「
COEX(コエックス)」などの近代的な高層ビルに囲まれていながら、時間の流れも忘れさせてくれるような静かで広大な境内。
深夜を除いて一年中開放され、信者はもちろんビジネスマンや観光客も大勢訪れる、まさに都会のオアシスのようないやしの場になっています。
1200年を超える伝統と格式
1200年以上前の794年に新羅(シルラ)の高僧が「見性寺(キョンソンサ)」という名前で創建。1498年に現在の名称に変更されました。もともと周囲は山野が広がっていて、修道山と呼ばれていました。
朝鮮時代に仏教寺院を縮小する政策がとられたなかでも、
王陵を守る寺として全国的に名声を高めていき、僧侶の科挙試験にあたる僧科の試験も行われました。ただし現在ある建物の多くは1939年の火災で焼失し、再建したものです。
主な建物と見どころ
境内は、本堂にあたる大雄殿や1856年に建てられた境内で最古の板殿など約20棟の伽藍(がらん)が林立し、高さ23メートルの韓国最大の弥勒大仏などが注目されます。
真如門(チニョムン)
![寺の入り口にあたる真如門 寺の入り口にあたる真如門]()
寺の入り口にあたる真如門
寺の入り口にあたる建物で、名称は真理を求めることを意味。左右に持国、増長、広目、多聞の四天王の木彫仏像が安置されています。いずれの像も朝鮮時代後期の四天王像の中では温和な表情をして微笑んでいるのが特徴で「ソウル市地方文化財」に指定されています。
![門の西側の天王像 門の西側の天王像]()
門の西側の天王像
![門の東側の天王像 門の東側の天王像]()
門の東側の天王像
法王楼(ポバンヌ)
![法王楼に向かう参道 法王楼に向かう参道]()
法王楼に向かう参道
「真如門」から「大雄殿」に向けて北向きに直進する参道の中ほどに位置。名称は仏様のいる場所の意味で、1997年に増築して完成しました。
ふだんは仏前四物が奉安される場所ですが、大きな法会の際には祈祷の場にもなります。中に信者たちが願をかけて奉安した仏像が3300体安置され、天井やひさしの下には韓国的な民画や模様が描かれています。
![法王楼のひさし下の民画 法王楼のひさし下の民画]()
法王楼のひさし下の民画
![法王楼の天井の絵 法王楼の天井の絵]()
法王楼の天井の絵
大雄殿(テウンジョン) ※本殿
信仰活動の中心となる建物で、「真如門」と共に1982年に再建されました。柱や窓、壁から屋根などの韓国の木造建築美と、背景の林などの自然が調和した姿が見どころです。
法堂内は2層の天蓋があり、中央に釈迦牟尼仏を、左右に阿弥陀仏と薬師如来仏を配置。その背後に三如来会上図を安置しています。大雄はお釈迦様を表す別の言いかたです。
![「大雄殿」に入るための建物側面 「大雄殿」に入るための建物側面]()
「大雄殿」に入るための建物側面
![釈迦牟尼仏などが安置された内部 釈迦牟尼仏などが安置された内部]()
釈迦牟尼仏などが安置された内部
選仏堂(ソンブルダン)
「大雄殿」の東隣にあり、名称は参禅を通じて成仏の道に入ることを意味。朝鮮時代に禅宗の寺刹として僧科試験が行われた場所です。入母屋造りの4か所が小さな切妻になっているのが特徴。
「ソウル市有形文化財」に指定されていますが、開放されていて自由に入れます。まさに韓国寺院の美と雰囲気を肌で感じられる場所として信者以外にも人気の建物です。
北極宝殿(プックッポジョン)
霊山殿(ヨンサンジョン)
両殿とも境内で最も眺めがよいとされる「大雄殿」の北側の斜面で1942年に改築されました。「北極宝殿」は山神や七星、独聖が奉られており、「三聖閣」や「七星閣」とも呼ばれる建物。
星や山を信仰の対象にするこの建物に、一般には仏菩薩が奉られる堂に使われる「殿」の文字がついていることから、民間信仰に対する韓国仏教の寛容の精神がうかがえます。
「霊山殿」は釈迦牟尼を主仏とし、左右に16羅漢仏が安置されています。
![「北極宝殿」の扁額 「北極宝殿」の扁額]()
「北極宝殿」の扁額
![「霊山殿」 「霊山殿」]()
「霊山殿」
弥勒大仏(ミルッテブル)
![高さ23メートルの弥勒大仏 高さ23メートルの弥勒大仏]()
高さ23メートルの弥勒大仏
大仏は「北極宝殿」の西側で、信者ら約1万人の協力で10年かけて1996年に完成。弥勒信仰の中心地だった
全羅北道(チョルラプット)の益山(イッサン)の石材を使い、弥勒仏があらゆる生命を救うという同地方の伝統的な信仰を表現しています。
大仏と弥勒殿の間の広場は、ふだんは祈祷の場ですが、大きな行事の際には公演などの文化行事が行われます。
板殿(パンジョン)
![木板本などが保管されている板殿 木板本などが保管されている板殿]()
木板本などが保管されている板殿
大仏から大蔵経の内容を木版に刻んだ経典版を保管している建物。1855年に版刻された華厳経81巻を含む経典や詩文などの3438枚の木板本や毘盧遮那仏がありますが、ふだんは施錠されていて中には入れません。建物と華厳経の木版本は「ソウル市有形文化財」です。
春の到来を告げる紅梅
毎年3月中旬になると境内の「影閣(ヨンガッ)」の隣に植えられている紅梅が鮮やかに咲き、梅の花の良い香りが漂います。
ソウル市内では中々見られない紅梅を見ようと、市民たちや写真愛好家たちもこの時期によく集まります。梅の花が咲く時期に「奉恩寺」を一度訪れてみるのもよいでしょう!
境内に調和した古風な便利施設
境内に隣接した道路から真如門の間に瓦葺の古風な建物が位置。トイレは境内の中ほどの法王楼の東隣に位置。境内の雰囲気になじんだ落ち着いたデザインの外観で、中は清潔な水洗式です。
![境内の入り口付近にある仏教用品店 境内の入り口付近にある仏教用品店]()
境内の入り口付近にある仏教用品店
![落ち着いたデザインのトイレ 落ち着いたデザインのトイレ]()
落ち着いたデザインのトイレ
都会の喧騒を忘れられるひと時を
伽藍や石仏が境内の自然と調和して配置され、深夜を除けば、いつでも誰でも気が向いた時にぶらりと立ち寄れる境内。韓国の特徴が表れた木魚や逆に日本のものともよく似た梵鐘など、さまざまな価値ある造形物もあちこちに見受けられます。
富裕層が多く、毎日のように新しく面持ちを変えていく街にありながら、古来の質素で閑静な趣を保ち続ける同寺。日常の喧騒や慌しさを、さっとひと時忘れてしまいたい、そんな場合に人気の旅のスポットになっています。
掲載日:17.03.16 最終更新日:19.01.09
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・一部記事内容を更新しました(20190109)
・記事全体を更新しました(20180730)
・紅梅情報を追加しました(20170316)
・営業時間、その他外国語情報を更新しました(20130627)
・現地調査により情報を確認しました(20120716)
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