北大門はここにあった!ソウル北部にそびえる山ソウルの北側にそびえる「北岳山(プガッサン)」。ソウルを代表する古宮「景福宮(キョンボックン)」や旧・大統領府「青瓦台(チョンワデ)」の裏山としても有名です。四方が山に囲まれ、東西に「漢江(ハンガン)」が流れるソウルの地形は風水思想の理想モデルとされますが、その北側でソウルを守る存在といわれています。1968年以降、一帯は特定警備地域として長らく立ち入り禁止でしたが、現在は緩和され、城郭沿いに木の階段が設置されるなど散策路としての整備が進められ、城郭ウォーキングに人気です。2020年には北側エリアが開放された後、2022年に南側エリアの三清公園コースと青瓦台コースが開放され、景福宮周辺の飲食店にもハイキング客が増え、経済効果をもたらしています。
特徴
ソウルの北を守る山・北岳山
ソウルの北側にそびえる山「北岳山(プガッサン)」。ソウルを代表する古宮「
景福宮(キョンボックン)」や旧・大統領府「
青瓦台(チョンワデ)」の奥にそびえる山として、名前は知らなくても一度は目にしたことがあるかもしれません。
四方が山に囲まれ、東西に「
漢江(ハンガン)」が流れるソウルの地形は風水思想の理想モデルとされますが、北岳山はその北側の主山として、ソウルを守っているといわれています。
閉鎖された歴史と、段階的に開放されてきた登山道
1968年1月、朝鮮民主主義人民共和国(通称:北朝鮮)の特殊部隊31名による、大統領官邸「青瓦台」襲撃作戦の際、「青瓦台」の一歩手前である、この「北岳山」で銃撃戦が繰り広げられました。以降、北岳山一帯は特定警備地域として、40年近く一般の出入りが統制されました。
2006年に「
粛靖門(スッチョンムン)」付近の1.1km区間が開放されると、続く2007年にはマルパウィから「
彰義門(チャンイムン)」までの4.3kmの城郭沿いの区間が散策路として開放され、「北岳山登山」のメインコースとして親しまれるようになります。
2020年11月には、城郭の北側エリアの一部区間が52年ぶりに開放されトレッキングコースが整備されました。年代ごと修復された城壁の違いが良く分かるようにもなっています。また、「
鞍山(アンサン)」から「
仁王山(イナンサン)」へ、そして、この「北岳山」を経て、「
北漢山(プッカンサン)」までの市内北部の山の縦走が可能となり、登山愛好家の間で大きな話題となりました。
2022年には、
南側エリアが開放され「
三清(サムチョン)公園」を経て、
三清洞(サムチョンドン)からも行き来できるようになったほか、旧・大統領府「
青瓦台(チョンワデ)」の開放に合わせ、「春秋館(チュンチュグァン)」や「
七宮(チルグン)」から散策できるようにもなりました。
でかける前に!北岳山探訪の注意点

探訪許可証
「探訪許可証」が撤廃
2022年5月の青瓦台(チョンワデ)開放、北岳山の全登山コース開放により、これまで各案内所で受け取り、下山前に返却していた「探訪許可証」制度がなくなりました。
これにより入山カードを受け取ることなく、各案内所を通って入山できますが、入山制限時間はあるため、夜間の登山はできません。
その他の案内
・山内では簡単な飲食は可能ですが、ゴミは各自必ず持ち帰ること。飲酒、喫煙はNGです。売店はありません。
・軍保護施設がある関係で、写真撮影は決められた場所でのみ可能です。各地点には表示板もありますが、不安ならば現地にいる係員に尋ねてみてください。
・お手洗いは各案内所にあります。
・散策用の階段が設置されている場所もありますが、足場の悪い山道も多いので、歩きやすい格好で行きましょう。
・大雨、台風など天候がひどく悪化した場合は入場統制がされることがあります。
北岳山探訪案内
登山コースはいくつかありますが、「
臥龍(ワリョン)公園」から城郭沿いを進む、東側の「マルパウィ案内所」と西側「彰義門(チャンイムン)案内所」へと進むコースが特に人気です。今回は「臥龍公園コース」をピックアップします。
マルパウィ案内所
「北岳山」の東側、「臥龍公園」近くにある案内所です。お手洗いもあるので、心配な方は出発前に利用すると良いでしょう。

マルパウィ案内所

案内所からの景色も良い
ソウル城郭
探訪路はソウル城郭に沿ってのびています。この城郭は太祖初期1395年より建設が始まり、同時に東西南北に四大門(東:
興仁之門(フンニンジムン) 西:
敦義門(トニムン) 南:
崇礼門(スンネムン) 北:
粛靖門(スッチョンムン)、四大門それぞれの間に四小門が整備されました。
その後何度か補修・拡張整備がされており、そうした時代別の城郭の姿も見ることができます。本来、城郭は首都を防御する目的で平地と山地の両方に作られていましたが、19世紀末以降に平地の城郭は全て取り崩されました。現在では、ソウル城郭は北岳山を含む山地でしか見ることができないため、貴重な存在です。

城郭沿いに探訪路がある

決められた場所では写真撮影可能
粛靖門(北大門)
案内所から少し進んだところにあるのが「粛靖門」です。またの名を北大門(プッテムン)、あの東大門や南大門と並ぶ、ソウルの四大門の1つです。南大門である「崇礼門(スンネムン)」が「礼を崇める」という意味であるのと対称的に「厳しく治める」という意味がこめられています。
長い間石門のみが残っていたものが1976年に復元、現在も北岳山の中にひっそりと佇んでいます。上って見学することもでき、周囲の山並みや、政府高官の秘密の会合場所として使われた後、文化総合施設になった韓国の伝統家屋「
三清閣(サムチョンガッ)」も展望できます。

威厳のある粛靖門

「三清閣」も見える
白岳曲城(ペガッコッソン)・曲墻(コッチャン)
「北岳山」登山道の中で1・2位に挙げられる人気の展望スポットです。城郭沿いを進む東西の登山道から外れ、北に進んだところにあります。「北岳山」の頂上へと連なる城郭や、ソウル市内の高層ビル群が一望できる名所です。
白岳(ペガッ)マル
北岳山の頂上で、北岳山は別名「白岳山(ペガッサン)」とも呼ばれているため、その頂(韓国語で「マル」)という意味の名称です。小さな頂上石が添えられています。周りには樹々が生い茂り、展望はあまりよくありません。
彰義門
彰義門は、ソウルの四小門の1つ。北大門と西大門(ソデムン)の間に位置し、「正しいことを表す」という意味をもつ門です。
彰義門近くの「彰義門案内所」も探訪の出入り口になっていますが、そちらから北岳山頂上に向かう道は傾斜が険しいので、本格的に山登りを楽しみたい人むけ。
下山後のお食事処は
「彰義門」周辺は、
付岩洞(プアムドン)と呼ばれる山間部の静かな街に雰囲気の良いレストランやカフェがたくさん。「臥龍公園」周辺は、
城北洞(ソンブットン)と呼ばれる昔ながらの韓国料理店などが集まる通りがあります。
2022年に開放された「三清コース」で下山すれば、ソウル旅行リピーターの間でもお馴染みの、オシャレなレストラン・カフェ通りの
三清洞(サムチョンドン)があるので、下山後のお食事・休憩処に良いでしょう。
掲載日:09.06.13 最終更新日:22.05.27
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