ソウル市庁前にある有名な古宮「トクスグン」 韓国の5大王宮の一つ「徳寿宮(トクスグン)」。ソウル市庁横の高層ビルがそびえ立つビジネス街にあり、一種のオアシス的な空間で、昼休みはサラリーマンも散歩していたりします。元々は朝鮮時代の王族が住んでいた邸宅でしたが、朝鮮時代中期に臨時に王の居所がここに移されて、宮殿としての性格を持つようになりました。建物のほとんどは伝統的な韓国の様式ではなく、西洋の建築が多いです。国の公式行事をつかさどった東洋式の建物や水時計の一部、伝統的な鐘もあります。正門である「大漢門(テハンムン)」の前で王宮を守る兵士たちの勤務交代式も再現されています。
ソウル市庁の隣に佇む古宮
韓国の5大王宮の一つ「徳寿宮(トクスグン)」。高層ビルがそびえ立つビジネス街にあって、都会のオアシス的存在でもあります。観光客だけでなく、昼休みはサラリーマンが散歩しており、休みの日にも老若男女問わずたくさんの人が訪れます。場所は、
地下鉄1・2号線が乗り入れる市庁(シチョン)駅すぐ。「
ソウル市庁」や「
ソウル広場」からも見えるので、観光客にお馴染みの古宮です。
徳寿宮の歴史
「徳寿宮」は元々は朝鮮時代の王族の邸宅でしたが、豊臣秀吉による壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の際に、ほとんどの宮殿が破壊されてからは、一時的に王の居所が移され、宮殿としての性格を持つようになりました。
現在「徳寿宮」の建物の多くが伝統的な韓国の建築様式ではなく、西洋の建築様式のものです。19世紀以後、西洋文明が朝鮮に入るようになると国力が衰え、王朝の象徴であった「徳寿宮」も壊されてしまいました。現在は再整備されましたが朝鮮末期、まだ国力が微弱だった朝鮮の悲しみが深く染み込んだ王宮と言えるでしょう。
【PR】「ディスカバーソウルパス」で徳寿宮の入場料が無料に
「ディスカバーソウルパス」とは、ソウル市内・近郊にある170か所以上の有料観光施設を無料で、または割引で利用できる外国人専用観光パスのこと。このパスを持っていれば、「徳寿宮」へも無料で入場できます!
観覧案内
日本語無料ガイド
案内所
「徳寿宮」では海外からの観光客向けに日本語をはじめ、各国語での無料ガイド案内を実施しています。集合場所は「大漢門(テハンムン)」の門を進み、左側にある案内所の前でスタート時間までに待っていれば参加できます。
最新のガイド時間は以下の「徳寿宮」のホームページよりご確認ください。
・
無料ガイド案内(日本語ページ)
・
無料ガイド案内(韓国語ページ)
※諸事情により中止となる場合があります。
※ガイドの同意なく、解説の録音・撮影はできません。
※10名以上の団体は、事前予約が必要です(02-751-0734)。
徳寿宮の主な見どころ
正門・大漢門(テハンムン) ※入口
入口「大漢門」
「徳寿宮」の入口。もともと「徳寿宮」の正門は「大漢門」ではなく、「仁化門(インファムン)」でした。しかし、1900年代に「大漢門」の周辺にいくつかの道路が作られ、交通の便がいい「大漢門」が次第に正門として利用されるようになりました。
ほかの宮殿の正門と同じように軍事査閲式や集会などが行なわれる広場もありましたが、「大漢門」が正門としての役割を担うにつれて「仁化門」は使われなくなり、広場も自然に廃れていきました。
チケット売り場
「T-moneyカード」などのIC系交通カードでも入場可
正殿・中和殿(チュンファジョン) ※宝物
中和門
昔のままの姿がよく保存されている「中和殿」は、「徳寿宮」の中枢として国の公式行事を司どったところでもあります。
内部の天井には2匹の龍が描かれていますが、この爪の数は7本となっています。これは龍の爪の数が中国、韓国を問わず大部分が5本で王を表すのに対し、7つは皇帝を象徴します。
中和殿
内部の玉座
徳弘殿(トコンジョン)
「徳弘殿」は1911年に建てられ、王が外国の使臣や高位官僚と接見する際の接見所としての役割を果たしてきました。
徳弘殿
内部の様子
日常生活が行なわれたところではないので、韓国の家には欠かせない
オンドルはなく、木の床であることが特徴です。朝鮮末期に入ってきた西洋文明の影響を強く受けた内部装飾が目を引きます。
咸寧殿(ハムニョンジョン) ※宝物
「咸寧殿」は王の寝室として使われていました。
咸寧殿
内部の様子
「咸寧」という名前は、朝鮮時代の王、高宗(コジョン)が国の平安を祈願し付けた名前で、中心を境に東側は皇帝の部屋、西側は皇后の部屋になっています。朝鮮末期の王、純宗(スンジョン)は即位した頃、ここで生活をしていたとも伝えられています。
静観軒(チョングァンホン)
静観軒
西洋の趣きをかもしだしている建物「静観軒」。朝鮮時代の王、高宗が宴会をしたり、くつろいだりした場所だといわれています。この建物の裏にはロシア公園に通じていた狭く長い秘密地下通路が今も残っています。
ロマネスク調の屋根に赤レンガのテラス、花模様でかざられた柱など、伝統文化財であるにもかかわらず、異国的な雰囲気の建築物で、一時期一般向けの喫茶店として開放されたこともありました。
即阼堂(チュッチョダン)
即阼堂
王のいる建物には必ず建物の名前に「殿」という字が入ります。
しかし、ここ「即阼堂」と「昔御堂」は王の即位式を行なったにもかかわらず、「殿」ではなく「堂」という字です。最初にここで即位式を行なった王は、権力を用いて半ば強引に王位を継承しました。その時、正殿ではなくここ「即阼堂」で即席の即位式を行なったため「殿」がついていません。
昔御堂(ソゴダン)
昔御堂
「即阼堂」の隣にある「昔御堂」は、「徳寿宮」の中で唯一2階建ての建物です。その昔、王が滞在した建物だという推測だけがあり、その由来については知ることができません。しかし朝鮮後期以降「徳寿宮」の代表的な建物として扱われてきました。
惇徳殿(トンドッチョン)
惇徳殿
大韓帝国時代に建てられた2階建ての建物で、外観・内観・インテリアともに西洋式のデザインが採用され、当時は外交交渉の場や迎賓館として使われたのち、1920年代に取り壊された、と伝えられています。
数年にわたる発掘調査と復元工事を経て、2023年9月にオープン。「徳寿宮」の新スポットとして注目を集めています。
館内は大韓帝国時代にまつわる資料展示、映像展示ホールがあり、2階テラスからは「惇徳殿」前の中庭を見下ろせ、趣があります。
<入場時間>
9時~17時30分(最終受付17時)
1階通路の足元には発掘調査でみつかったものを展示
映像による展示も
2階テラスも眺めが気持ち良い
記念品ショップ&カフェ
「徳寿宮」の記念ショップは入口を入って右側にある建物です。古宮らしいデザインの記念品が買えます。またカフェも併設されていて、池を眺めながら休憩してみるのもよいでしょう。
その他の見どころ
石造殿(ソッチョジョン) 大韓帝国歴史館(テハンジェグッヨッサグァン)
大韓帝国歴史館
西洋式の建物である「石造殿」は、1900年イギリスの指導の下に作られたもので、朝鮮末期に王が住んでいた宮殿。
建物は「東館」と「西館」に分かれており、「東館」は日本統治時代に日本近代美術を展示する場として、「西館」は朝鮮古美術を展示する場として用いられていました。1953年以降は王室で使われていた品々や歴代王の肖像画などを展示した宮中遺物展示館として運営されました。
1998年に「西館」は「
国立現代美術館 徳寿宮館」として再編成され、韓国近代美術展や海外作家の企画展などが行なわれています。「東館」は2014年10月に復元工事が完成し「石造殿 大韓帝国歴史館」として再び一般公開されました。
国立現代美術館 徳寿宮館
国立現代美術館 徳寿宮館
韓国近代美術史の体系化などを目的に国立現代美術館分館として1998年に再編成されました。
李王家美術館新館として1938年に開館された徳寿宮美術館は中村與資平の設計で、古いながらも手狭さを感じさせない展示空間で作品鑑賞に集中しやすくなっています。
守門将交代儀式
勤務交代式の再現
徳寿宮の正門である大漢門の前で、王宮を守る兵士たちの勤務交代式の再現が行なわれています。この
王宮守門将交代儀式は1995年から伝統文化復元行事の一環として実施されてきた王宮の伝統儀式の一つ。
儀式順序、服装および号令まですべて徹底した考証に基づいて行なわれていて、外国からの観光客もとても興味深そうに観覧しています。儀式は韓国語、英語、日本語で説明されます。
夜景も観覧可
「徳寿宮」は1年中、夜間観覧ができます。
夜、ライトアップされた幻想的な建物の写真を撮りたい方におすすめの古宮です。
敷地外の関連施設
徳寿宮トルダムキル(石垣道)
徳寿宮とあわせて有名なのが、すぐ隣にある
トルダムキル(石垣道)。四季折々で違った雰囲気を楽しめますが、特に秋の紅葉シーズンには道がイチョウの葉で一面黄色に染まり、大変美しいです。デートコースとして人気ですが、カップルで歩くと別れるといったジンクスも。
更に進むと「徳寿宮 重明殿」や「貞洞劇場(チョンドンクッチャン)」、「
貞洞第一教会」、「
ソウル市立美術館」などがあり、趣があります。
重明殿(チュンミョンジョン)
重明殿
「重明殿」は1897年に王室図書館として建設され、3年ほどは王・高宗の執務室・外国使節の謁見室としても使用されたロシア風の建物です。1905年、日本が韓国に強要した不平等条約「乙巳勒約(第二次日韓協約)」が締結され、高宗が外国にその真実を知らせるためハーグ特使派遣を決めた場所でもあります。
植民地時代には日本によって破損され、外国人クラブとして使用されては民間に売却されるなど悲しい運命を辿りました。その重明殿の原形が、日韓併合100年である2010年、105年ぶりに復元されました。重明殿内部は無料で一般公開されています。
徳寿宮を見下ろせる名所
「ソウル市庁 西小門(ソソムン)庁舎」1棟庁舎13階に、一般市民も利用可能な「
貞洞(チョンドン)展望台」があります。これはソウル市が「共有都市ソウル」というプロジェクトの一環で、大会議室の一部と備品倉庫を展望台として開放されたもので、大きな窓からは眼下に「徳寿宮」をはじめ、周辺のビル群もよく見えます。四季折々の景色を見られます。
春
夏
秋
冬
徳寿宮の四季
春
夏
秋
冬
最終更新日:24.10.02
更新履歴を見る
・記事全体を更新しました(20241002)
・関連サイトを更新しました(20240116)
・一部記事内容を更新しました(20231016)
・一部記事内容を更新しました(20220603)
(2021年以前の更新履歴を省略)
※記載内容には細心の注意を払っていますが、掲載店との間で生じた損害・トラブルについては、当サイトは責任を負わないものとします。
※内容は予告なく変更される場合があり、完全性・正確性を保証するものではありません。掲載情報は自己責任においてご利用ください。