韓国ソウルを代表する観光名所「キョンボックン」 韓国ソウルの中心部、ビルが立ち並ぶ一角にあるのが、人気の観光名所「景福宮(キョンボックン)」です。朝鮮時代の正宮として、王の政務の場として使われてきました。四季折々の姿が美しく、韓国を代表する古宮のひとつで、中にある多くの建物が周りの景色とよく調和して、韓国らしい姿を映し出しています。特に正殿の「勤政殿(クンジョンジョン)」や池の中央に浮かぶ「慶会楼(キョンフェル) 」「香遠亭(ヒャンウォンジョン)」などが見どころ。敷地内は広いので歩きやすい靴での訪問がおすすめです。また、韓国の伝統衣装・韓服(ハンボッ、チマチョゴリ)を着用すると入場料が無料になるので、近隣のレンタルショップを利用して、宮殿内で記念写真を撮ってみませんか?
韓国を代表する古宮
高層ビルが立ち並ぶソウル都心部の一角に、荘厳な佇まいを見せる「景福宮」があります。「けいふくきゅう」と書いて韓国語で「キョンボックン」と発音します。朝鮮時代(1392~1910年)の正宮として、王や大臣らの政務の場として使われました。その後も他の地域にさまざまな宮殿が建てられましたが、これほど壮大な規模を誇るものは他にありません。
ソウル・
光化門(クァンファムン)エリアの一等地にあり、地下鉄や市内バスで訪問できるので、韓国旅行初心者でも訪問しやすい立地で、韓国旅行のガイドブックや書籍には必ずと言っていいほど紹介されています。春夏秋冬、四季折々の景色が美しく、季節ごとに訪問するリピーターも少なくありません。
近年は、
チマチョゴリ(韓服、ハンボッ)を近くのレンタルショップで借りて、韓国時代劇の主人公・ヒロインになったかのような記念写真を撮る観光客であふれかえっています。
景福宮の歴史
朝鮮王朝が太祖・李成桂(イ・ソンゲ)によって1392年にはじまり、4年たった1395年に「景福宮」は大臣らとともに政治を行う場として完成しました。その後、朝鮮王朝は約500年にわたり続きますが、正宮「景福宮」が使われたのは約200年しかありませんでした。
1592年、豊臣秀吉の第1次朝鮮出兵こと「文禄の役(韓国では壬辰倭乱(イムジンウェラン)と呼ぶ)」の際に、時の第14代・宣祖(ソンジョ)は、都と民を放棄して北へと避難することを決定。これに怒った民衆は避難する王様に石を投げ、景福宮などの宮殿に火を放ち、日本の将兵が到着したころには宮殿は跡形もなく消失していた、という記録が残っています。
その後、約270年間も廃墟として放置され、政務は「
昌徳宮(チャンドックン)」で行わるようになりましたが、1867年、高宗(コジョン)の時代に興宣大院君(フンソンテウォングン)の号令の元、各地より木材や石材を調達して再建されました。
しかし1895年、宮内で高宗の皇后・明成皇后(閔妃)の殺害事件がおき、王が居所を移してからは、主人を失った王宮へと様変わり。1910年以降は日本によって正殿の前に総督府庁舎を建てられるなど多くの建物が破損しましたが、主要な建物は往時の姿を残しており、現代に入って様々な復旧・補修工事が行われながら、現在に至ります。
※動画提供:国家遺産振興院「国家遺産チャンネル(K-HERITAGE CHANNEL)」
ソウルの中心部にあるので、
地下鉄、
市内バス、
タクシー、どの交通手段でも訪問できます。
地下鉄の最寄り駅は、3号線の景福宮(キョンボックン)駅で、5番出口を出て「
国立古宮博物館」の建物で右折して進むとチケット売り場に到着します。
5号線・光化門(クァンファムン)駅の2番出口、9番出口からも約500メートルで、正面に大きな正門「光化門」をくぐるとチケット売り場に到着します。
光化門・南側チケットブース
苑内の観覧は有料で、チケットブースは東西南北に1カ所ずつあります。
南側の「光化門」から中へ入るとすぐ右側にあるチケットブースがメインで、右側から順番に
・有人チケットカウンター
・無人チケット販売機
・デジタルガイド機器レンタル
・観光案内所
の4つが並んでいます。
チケットブース
チケットを現金で購入する場合、古宮5カ所のチケットがセットになった「
統合観覧券」を購入する場合は、有人窓口で購入します。
無人チケット販売機はクレジットカード決済のみ対応していて、画面の操作も日本語を含む各国語に切り替えられます。
デジタルガイド機器レンタル
「SORI PEN(ソリペン)」という音声案内機器が有料でレンタルできます。
一緒に渡される専用地図にペンをあてると、認識して音声メッセージが流れます。言語は日本語を含む各国語から選べます。
レンタルは1台3,000ウォンで、パスポートなどの身分証と引き換えてレンタルし、閉苑30分前までに返却となります。
軽くて使いやすいデジタル音声案内機器
機器を専用地図にあてると認識して音声案内が流れます
日本語無料ガイド
「興礼門」を抜けてすぐ右側の案内板で待機
「景福宮」では海外からの観光客向けに日本語をはじめ、各国語で無料のガイド案内を実施しています。
所要時間は60~90分で、集合場所は「興礼門(フンネムン)」の門をくぐったすぐ右側にある看板の前で、時間に合わせて待っていれば参加できます。
最新のガイド時間は以下の「景福宮」のホームページよりご確認ください。
・
無料ガイド案内(日本語ページ)
・
無料ガイド案内(韓国語ページ)
※諸事情により中止となる場合あり
※ガイドの同意なく、解説の録音・撮影禁止
※10名以上の団体は要事前予約(02-3700-7900)
チマチョゴリを着て行けば入場無料
韓国を代表する古宮の雰囲気にピッタリな
チマチョゴリ(韓服、ハンボッ)で訪問すれば入場料金は無料で、苑内では韓国の時代劇に入り込んだかのような、特別な写真がたくさん撮れることでしょう。
<入場手続き>
1.チマチョゴリを着用し、有人チケットカウンターを訪問
2.身分証(パスポート、外国人登録証など)を提示し、無料入場券を受け取る
3.入場門にて、無料入場券を係員に手渡して、入場
【PR】「ディスカバーソウルパス」でも景福宮の入場料が無料に
「ディスカバーソウルパス」とは、ソウル市内・近郊にある170か所以上の有料観光施設を無料で、または割引で利用できる外国人専用観光パスのこと。このパスを持っていれば、「景福宮」へも無料で入場できます!
夜間観覧は?
「景福宮」は常時、夜間開放されておらず、春・秋の年2回、期間限定で夜間観覧できます。観覧時期の詳細は最新のイベントニュースをご確認ください。
・
景福宮 夜間特別観覧 2024秋
その他
無料のコインロッカー
チケットを提示して入場したすぐ左側の廊下に無料のコインロッカーがあります。「*」と「任意の4桁の数字」の5文字を利用して開閉できます。実際に利用する前に開閉をテストしてみると安心でしょう。
入場当日に限り利用でき、取り忘れ・置き忘れによる紛失・破損は景福宮では責任を負いません(問合せ先02-3700-3900・韓国語)
「持ち込めないもの」
・ライター、ガスボンベ、ハサミ、ナイフなど建物と施設に危害を与えるもの
・アルコール類、キャンプ用品、炊事用品、お弁当など飲食物
・ペット、運動器具、楽器、拡声マイクなど他の観覧客の快適な観覧環境を害するもの
などは持ち込みが禁止されており、入場時または観覧中にスタッフが声をかける場合があります。また苑内はすべて禁煙です。
「車椅子での観覧について」
車椅子のレンタルは「興礼門(フンネムン)」入場後すぐ左側にあり、「光化門」~「チケットブース」付近にはありません。正殿「勤政殿」とその周辺は石畳になっているため近くでの観覧は難しいですが、全体的に廊下や小門には傾斜板が設置されており、移動しやすい方です。
光化門(クァンファムン)
「景福宮」の正門として、当初「四正門(サジョンムン)」という名称で太祖4年の1395年に創建されました。 1425年に「光化門」に変更し、1592年の文禄の役で「景福宮」とともに焼失。
約270年後の1864年(高宗1年)、「景福宮」再建の際にその姿を取り戻したものの、日本植民地時代の1927年に朝鮮総督府が「景福宮」東側に「光化門」を強制移転しました。
1950年の朝鮮戦争で再び焼失し、1968年に鉄筋コンクリートで復元されるという波乱の歴史を経てきました。そして、高宗当時のもとの位置に戻すため、
約4年の復元工事を経て2010年8月に新しい姿に生まれ変わりました。
月台の復元に伴い、王宮を守る空想の動物「
ヘチ」も道路側へ移動
三星(サムスン)グループの故・李健熙(イ・ゴンヒ)前会長の遺族が寄贈した動物の彫刻
また2023年9月、「光化門」前にかつてあった「
月台(ウォルテ)」が約100年の時を経て復元し、以前の姿に戻りました。「月台」の階段の下にはもともと動物の彫刻が設置されており、長らく三星(サムスン)グループの美術館「湖岩(ホアム)美術館」にて保管されていましたが、今回の復元にあたって寄贈され、再び元の場所に戻ったことも話題になりました。
王宮守門将 交代儀式
「光化門」・「興礼門」の広場では、朝鮮時代の守門軍の交代儀式を再現した「
王宮守門将交代儀式」が行なわれています。儀式が終わり、待機している間は、鮮やかな伝統衣装を着た守門将と一緒に写真が撮れます。
興礼門(フンネムン) ※チケット確認所
チケットブースにてチケットを購入したら、「興礼門」の下でチケットに掲載されているQRコードを機器にかざして入場します。
「統合観覧券」は半券をもぎってもらい、チマチョゴリ着用者は無料観覧券をスタッフに手渡して入場します。
「景福宮」の正殿で「民を勤勉に治める」という意味を含んでいます。王の即位式や外交官の接待など、国の公式行事も開かれました。
「勤政殿」
「勤政殿」の内部、中央は玉座
景福宮の中で最も雄大な建物で、内部には中央の玉座があります。その後ろの屏風に描かれた「日月五峰図(イロルオボンド)」は
1万ウォン紙幣の絵柄としても採用されたり、記念品のデザインにもなっています。
※文化財保護のため、基壇への立ち入りは禁止されています。現在、内部の見学はできません
慶会楼(キョンフェル) ※国宝
「慶会楼」は2階からなる建物で、国に祝事があったときや宴を催すために作られた池に浮かぶ楼閣です。当時、公式的な行事がある時以外は立ち入ることができず、今も
特別観覧でのみ見学が許されています。
池に浮かぶ蓮の花、満開に咲き誇る梅の花、真っ赤に染まった紅葉、真っ白に覆われた雪景色など、四季折々の絶景を誇ります。
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慶会楼 一般公開
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景福宮 慶会楼特別観覧「宴享」レポート
記念品ショップ&カフェ
「勤政殿(クンジョンジョン)」から左に進み、「慶会楼(キョンフェル)」へ向かう途中には、記念品ショップとカフェが一緒になった建物があります。広い苑内なので、ここで一息ついたり、古宮ならではのデザインの記念品を購入したい方にオススメです。
王と臣下が親睦を深めるための亭子(チョンジャ、東屋のこと)で、自然を愛でながら詩を歌った浪漫の場所です。香りが遠くから漂ってくるようと名づけられた通り、香遠池(ヒャンウォンジ)の上に架けられた小さな橋を通して、往時の風雅が伝わってくるようです。
上記の建物以外にも、景福宮の建物は見どころがたくさん。建物の意味や歴史を理解した上で訪問すると、より理解が深まることでしょう。
※動画提供:国家遺産振興院「国家遺産チャンネル(K-HERITAGE CHANNEL)」
大后の住まい
高宗を即位させた神貞王后(シンジョンワンフ、24代憲宗の生母)のために、高宗の実父、
興宣大院君(フンソンデウォングン)が作り上げた建物です。
神貞王后は王室最高位の女性、大后(テビ)であったため慈慶殿にはオンドルがたくさんついており、それらの煙突をひとつにまとめた集合煙突には無病長寿を祈る優美な装飾が施されています。またコッタムと言われる装飾壁も見どころのひとつです。
十長生の煙突 ※宝物
梅、菊、竹、蝶、蓮などの装飾壁
思政殿(サジョンジョン) ※宝物
王の執務空間
「勤政殿」の一直線上、すぐ裏側に位置しています。「勤政殿」で公式的な行事が行なわれたのに対し、「思政殿」は王が日常的な業務を処理していた執務室です。王を象徴する龍の描かれた壁画も一見の価値あり。
康寧殿(カンニョンジョン) 、交泰殿(キョテジョン)、峨眉山(アミサン)後苑
王と王妃の生活の場である寝殿です。
「康寧殿」は王が読書や休憩をする空間
「交泰殿」は王妃の生活空間
峨眉山庭園の煙突
「交泰殿」の裏側には峨眉山と呼ばれる階段式の庭園が造られています。鳳凰や松竹梅などの文様が施された4本の煙突や石鉢が配置され、神仙の住む自然世界を表現しているとされています。
修政殿(スジョンジョン)
ハングルの創製者、
世宗(セジョン)大王の時代、学問を研究する場である「集賢殿(チピョンジョン)」として使われ、訓民正音(フンミンジョンウン、ハングルの成り立ちや原理の解説書)もこちらで作られたと言われています。
高宗時代の1867年の再建時に、「修政殿」に名称を変更。主に王が生活をする場として使われました。再建当時は、周りにいくつもの建物が並んでいましたが、日本植民地時代にすべて破損したとされています。
乾清宮(コンチョングン)
1873年、第26代・高宗(コジョン)により建てられた「乾清宮」は、高宗とその妃の明成(ミョンソン)皇后(閔妃)が暮らした場所です。また1895年、明成皇后が日本からの刺客により殺害された悲運の場所としても有名。
日本植民地時代の1915年に撤去、その後この場所に総督府美術館が建てられましたが、2007年10月に復元されました。
集玉斎(チボッチェ)
「玉のような珍しい書籍を集めた」という意味で、高宗(コジョン)の書斎として使われていた場所で、「乾清宮」の近くにあります。
・
集玉斎~景福宮の小さな図書館
「
国立古宮博物館」
朝鮮王室の美術品や衣装、絵画、家具などが集められ、宮廷文化が学べる博物館です。
「
国立民俗博物館」
先史時代から現代にいたるまで、朝鮮半島に暮らしてきた人たちの風習や生活習慣などが学べます。
四季折々の姿が美しい景福宮。季節を変えて訪問してみませんか?
春
夏
秋
冬
「景福宮」の観覧前後は、東西南北に合わせて訪問したい場所があり、半日以上かけて観光できるので、効率の良い観光プランを計画してみませんか?
「北門から、青瓦台(チョンワデ)へ」
2022年に市民に開放された
旧大統領府は「景福宮」の北門からすぐです。
ただし「景福宮」と「青瓦台」の広い2カ所を続けて回ると足がクタクタになることでしょう。途中に食事休憩・カフェ休憩を挟むのが賢明かも?
「東門から、三清洞(サムチョンドン)へ」
オシャレなレストランやカフェが集まる
三清洞へ抜けて休憩するのもおすすめ。
帰りは安国(アングッ)駅方面へと進んで、
仁寺洞(インサドン)へ抜けるのも良いでしょう。
掲載日:24.03.22
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・営業時間、関連サイトを更新しました(20240116)
・記事全体を更新しました(20231030)
・一部記事内容を更新しました(20230727)
・一部記事内容を更新しました(20220628)
(2021年以前の更新履歴を省略)
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