銅像でもお馴染み!「景福宮」前の歴史と憩いの広場 古宮「景福宮(キョンボックン)」の正門「光化門(クァンファムン)」前から市庁(シチョン)方面へと続く道路の世宗路(セジョンノ)。ソウルの心臓部ともいえる道路に「光化門広場(クァンファムンクァンジャン)」があります。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に対峙した朝鮮水軍の李舜臣(イ・スンシン)将軍や、ハングルを創製した世宗(セジョン)大王の銅像があるほか、18mの高さまで吹き上げる約200個の噴水と100個あまりの床噴水が地上に、広場造成中に発掘された地盤の一部や世宗大王の功績を紹介するコーナーが地下にあります。場所は地下鉄5号線の光化門駅からすぐとアクセスは抜群。2022年8月に西側まで広場が拡張され、より広く、快適な空間となりました。
広場の特徴
ソウル都心部の歴史と憩いの広場

六曹通り
※ソウル歴史博物館
「
景福宮(キョンボックン)」の正門「光化門(クァンファムン)」前は、かつて朝鮮時代は「六曹通り(ユッチョコリ)」と呼ばれ、王や商人、庶民たちが行き交う首都・漢陽(ハニャン)の中心道路のひとつでした。
その後、長らく交通量の多い道路となりましたが、現代に入って道路の中央を広場にする「光化門広場」プロジェクトがはじまり、
2009年に完成。それまであった李舜臣(イ・スンシン)将軍の銅像に加え、世宗大王(セジョンデワン)の銅像が新たに加わったり、噴水などが設置されました。
特に夏は子どもたちが噴水で遊ぶ光景が見られたりし、かつて大勢の人々でにぎわっていた通りが、数百年のときを経て、市民の広場となって帰ってきた、とも呼ばれました。

2009年の様子

2022年8月の様子
※大韓民国歴史博物館・屋上から
その後、再整備案が持ち上がり、広場の
西側道路を閉鎖して広場を広げることが決定し、約1年5か月の工期を経て、2022年8月に「光化門広場」の西側拡張工事が終わり、休憩場所や緑の樹々が増え、より開放的な市民空間へと生まれ変わりました。
「光化門」は、朝鮮時代の正宮「景福宮」の正門として、太祖4年の1395年に創建されたのが始まりです。

夜の「光化門」
その後、消失や復元を繰り返し、現在の門に掲げられている額の「扁額」は、2006年より行なわれた復元工事の際に
高宗(コジョン)時代に書かれたのものがデジタルで復元されました。
ハングル「광화문」の読み方は「クァンファムン」で、英語では「Gwang hwa mun」と表記し、現在、「光化門」は門としてはもちろん、一帯を指すエリア名としても国内外で定着しています。
アクセス

光化門駅9番出口
「光化門広場」へは
地下鉄5号線の光化門駅9番出口が広場に直結している出口で便利です。
その他にも1号線・2号線の市庁(シチョン)駅、1号線の鐘閣(チョンガッ)駅、3号線の景福宮(キョンボックン)駅などからも徒歩圏内と、各地から訪問でき便利です。

広場のバス停
西側道路の移動によって、
市内バスや
空港リムジンバスの停留所も広場の東側に移動しました。場所は変わりましたが、引き続き「光化門広場」からバスが利用できます。
見どころ(地上)
李舜臣(イ・スンシン)将軍の銅像
広場の南側にある銅像で、甲冑を身にまとい大剣を持っている人物は、朝鮮時代の将軍・李舜臣(イ・スンシン)です。
かつて豊臣秀吉による朝鮮出兵(文禄・慶長の役)における朝鮮側の将軍で、「
亀甲船(コブッソン)」と呼ばれる戦艦と、地の利を活かした戦術、卓越したリーダーシップで朝鮮水軍を率い、日本側の各水軍との戦いで活躍しました。
その様子は韓国ドラマや韓国映画でも頻繁に描かれ、「不滅の李舜臣」(2004年)、「バトル・オーシャン/海上決戦」(2014年)、「閑山(ハンサン):龍の出現」(2022年)などの作品にも主人公としてもお馴染みです。
この銅像は「光化門広場」オープン以前の1968年に建てられ、50年以上にわたりソウルの中心部を見守っています。
噴水
李舜臣将軍の銅像に設置された噴水は、正式には「噴水12・23」と呼ばれ、かつて鳴梁海戦において、日本水軍を撃破した朝鮮水軍の船舶12隻と、23戦23勝の不敗神話を成し遂げた李舜臣将軍の功績に由来しています。
最高18mの高さまで吹き上げる約200個の噴水と、100個あまりの床噴水が多様な水しぶきで激しい海戦の様子と将軍の一代記を表現。夜間は地面に設置された色とりどりの照明が噴水を美しく演出。4月から10月頃まで稼働しています。
世宗大王(セジョンデワン)の銅像
李舜臣将軍像の後方210m地点には、
ハングルを創製した朝鮮王朝第4代王、
世宗(セジョン)大王の銅像があります。
韓国ドラマ「
根の深い木」(2011年)、韓国映画「世宗大王 星を追う者たち」(2019年)、「王の願い ハングルの始まり」(2019年)などの作品でも知られる人物で、2009年の「
ハングルの日(10月9日)」に設置。
高さ6.2m、幅4.3m、重量20トンの銅像が、高さ4.2mの基壇の上に建てられており、「訓民正音(ハングルの古称)」の解例本を手に百姓たちと向かい合う世宗大王の姿が表現されました。
見どころ(地下)
ヘチ広場
地下鉄5号線の光化門駅の改札口と直結しているヘチ広場。光化門広場の地下に位置する多目的空間で、ソウル市のシンボルに指定されている空想の動物「
ヘチ」から名づけられました。韓国では善悪を見分け災いを退けると言われ、古くから神聖視されてきました。
光化門広場造成中に発掘された「六曹通り」の地盤の一部や、ソウル市の水道水「
アリス」を飲める水飲み場、展示スペースなどがあるほか、授乳室やパウダルームなど便利な施設も完備。ヘチ広場からは、車椅子でも安心な緩やかなスロープを通じて、地上の「光化門広場」へと出られるようになっています。
展示館「忠武公物語(チュンムゴンイヤギ)」
李舜臣生誕465年を記念して2010年に開館した常設展示空間「
忠武公物語」。
「忠武」とは、李舜臣の死後に与えられた称号で、李舜臣は韓国人の間では忠武公と呼ばれて親しまれている存在。地下鉄駅の「忠武路(チュンムロ)」もこれに由来します。
展示は「光化門広場」の地下に位置し「世宗文化会館」などの地下連絡通路で繋がっています。李舜臣の生涯や功績を紹介するほか、 海戦の模様を体験できるスペースなど、6つのパートに分かれて展示されています。
展示館「世宗物語(セジョンイヤギ)」
世宗大王について詳しく知りたいなら、光化門広場の地下にある常設展示空間「
世宗物語」へ。世宗大王銅像後方にある地下階段、または世宗文化会館側・KT(韓国通信)側の地下歩道から入場できます。
展示館は、世宗大王の年代記を映像等で紹介したコーナー「人間、世宗」や、世宗大王が作り出した発明品の模型を展示した「科学と芸術」コーナーなど、様々な展示スペースと映像館で構成されており、世宗大王の生涯と業績に触れることができます。
周辺の見どころ
景福宮(キョンボックン)
ソウルの人気観光名所で古宮の「景福宮」は、朝鮮時代(1392~1910)の正宮として、王の政務の場、王の生活の場でした。ソウル旅行初心者からリピーターまでソウル旅行を満喫できる名所で、四季折々の景色が見事で何度訪問しても見ごたえがあります。
大韓民国歴史博物館(テハンミングッヨッサパンムルグァン)
2012年12月に開館した博物館で、19世紀末から現在に至るまでの韓国の近代史に関する資料の数々を展示しています。
8階の屋上庭園からは周辺を一望できるほか、光化門一帯のデジタルプロジェクト「
光化時代 Age of Light」が体験できる場所として大型スクリーンで立体映像が楽しめます。
世宗文化会館(セジョンムナフェグァン)
1978年の開館以来、オペラやコンサートなど世界レベルの公演や展示が開催されてきている総合公演会場です。大劇場、公演場、美術館などで構成され、地下には飲食店街もあります。
市民運動の場としても

2016年のろうそく集会の様子
なお、「
ソウル広場」同様に、市民憩いの場でありながら、市民らの集会・抗議・デモの場所としても使われ、特に2016年の「
ろうそく集会」では、1日で最高27万人が参加したとも伝えられました。
普段は旅行客にも憩いの場になっている「光化門広場」ですが、大規模な集会が行われる時だけは、交通規制や警察車両の配備などがあり、不測の事態に備え旅行客は近づかないようにしましょう。
最終更新日:22.08.19
更新履歴を見る
・記事全体を更新しました(20220819)
・記事全体を更新しました(20180326)
・記事全体を更新しました(20160303)
・現地調査により情報を更新しました(20130227)
※記載内容には細心の注意を払っていますが、掲載店との間で生じた損害・トラブルについては、当サイトは責任を負わないものとします。
※内容は予告なく変更される場合があり、完全性・正確性を保証するものではありません。掲載情報は自己責任においてご利用ください。