子どもから大人まで楽しめるテコンドー体験教室 韓国を代表する武術、テコンドーの楽しさを多くの人に知ってもらおうと、ソウル市と国技院が2007年から始めた外国人テコンドー体験プログラム。南山コル韓屋マウルで実施されています。外国人観光客、韓国在住外国人を対象にし、体験の他に演武公演もあり、テコンドーの魅力を存分に味わえるように構成されています。外国人テコンドー体験プログラムは春から秋の毎週水・木曜日、1日1回各1時間で実施されており、事前予約制で運営されています。胴着を着用希望の場合は、現地で購入する必要があります。小学生以上なら誰でも参加できるので、気軽に体験してみてはいかがですか?
テコンドーの魅力を世界にアピール
「テ、コン、ドー、ヤアッ!」と気合の声が静寂な韓屋マウルにこだまし、鋭い蹴りが空を切る。嗚呼、痛快!日ごろの憂さも吹き飛ぶような爽快感が体の中を駆け巡る。そして流れる汗…。
テコンドーって、こんなに楽しかったの?!と多くの人々にテコンドーの楽しさを知ってもらおうと、ソウル市と国技院が2007年から始めた外国人テコンドー体験プログラム。
以前は古宮のひとつである
慶熙宮(キョンヒグン)で実施されていましたが、2011年度からは
南山(ナムサン)のふもとにある
南山コル韓屋マウルで行なわれています。
テコンドーの普及啓発のために外国人観光客、韓国在住外国人を対象にしたこのプログラム、体験の他に演武公演もあり、テコンドーの魅力を存分に味わえるように構成されています。
※体験内容及び写真は2008年度の慶熙宮で行なわれたものです。
テコンドー(跆拳道)とは?
テコンドーは「跆」の文字が示すように蹴りを中心とした足技の種類の豊富さが特徴です。蹴りなどの足技と突きなどの手技、防御の3つからなっています。
1988年のソウルオリンピックで公開競技となって以来世界に知られ、現在は179カ国5,000万人を超える競技人口がいます。
起源については、韓国の伝統武芸テッキョンから派生した、少林寺や空手の影響を受けた等、諸説あります。いずれにせよ国技として韓国の人々に親しまれ、韓国を代表するスポーツであることは間違いありません。
習い事の王道、テコンドー
小学生の習い事の代表格テコンドー。韓国の住宅地を歩けば、あちこちにテコンドーの道場や少し派手めの送迎車を見かけ、トボッ(道服、道着のこと)を着た子どもたちに出会います。月謝は8万~10万ウォン程度。英語教育熱の高まりとともに、英語テコンドー道場なるものも登場。
また、テコンドーとボクシングを組み合わせたテボはダイエットや健康によいとスポーツクラブでもメジャーなメニュー。因みに
軍隊ではテコンドーが必須で、韓国の男性はテコンドーを避けては通れないようです。
外国人テコンドー体験プログラムに挑戦
春から秋の毎週水・木曜日、1日1回各1時間で、事前予約制で実施されています。小学生以上のテコンドーに関心のある人なら誰でも参加できるプログラムです。プログラムは初心者が楽しく参加できるようになっており、板割りにだって挑戦できます。
今回は、テコンドー歴10 ヶ月と無理やり参加させられたコネスト記者2名が基本動作に護身術を少し加えたプログラムを1時間体験してきました。受講内容はある程度のリクエストも可能なので、予約時に相談してみてください。
受付
待機しているスタッフに名前を言い、参加の確認をしてください。余裕を持って開始30分前に行くと良いでしょう。
準備
受付を終えたら、トボッ(道服、道着のこと)を着用希望の方は現地で購入し着替えます。サイズもひと通り揃っており、子ども用もあります。
柔道着のように前であわせるのではなく、頭からすっぽりと被ります。ティ(帯)はもちろん白。結び方がわからなくても大丈夫。スタッフが正しい形に結んでくれます。
着替える場所はプレハブ小屋ですが、中から鍵をかけられるので、ご心配なく(別途、更衣室となるテントを設置する場合もあります)。トボッは前が大きく開いているので、女性はTシャツ(できれば白が望ましい)を必ず着用してください。
会場へ移動
あとでこの子らに笑われるとは…
トボッ姿は目立つので、道行く観光客にじっと見られたり、遠足の小学生に「白帯だ~(=初心者だ~)」と笑われたりしながら、会場に向かいます。体験は基本的に裸足で行いますが、石畳の古宮内を移動することを考えると、運動靴で参加しましょう。
まずは基本姿勢と拳の握り方から
テコンドーは親指を揃えて立つ。すると丹田(おへその下)に力が入り、安定する。
講師は6段のパク・チョルン先生。指導は英語、もしくは韓国語で行われます。ところでテコンドーでは先生のことをソンセンニム(先生)と呼ばずにサボムニム(師範)と呼びます。
もちろん体験プログラムなので、呼び方の指導まではされませんが、「サボムニム!」と呼びかけると先生も「お!」と思って、喜んで下さると思いますよ。
準備運動。体をほぐします。
手首から手の甲が直線になるように。
続いて呼吸のしかたと準備姿勢
準備の姿勢。足を軽く開き、拳を丹田のあたりに軽く置きます。
「鼻から吸って~口から静かに息を吐く~」サボムニムの声に合わせ、丹田に気を集中させて呼吸を整えます。この呼吸をするだけでも健康によいそうです。
突き(チルギ)と防御(マッキ)
拳を交互に突く動作を習います。だんだん、テコンドーをやってるぜ!という感じが出てきましたよ。サボムニムがお手本を示して下さる時は本当に拳が空を切るシュッ、シュッという音がするんですよ。
「突く手に力を入れるのでなく、引く手に力を入れるんですよ。」
言われたとおりにやってるつもり。
その猫手は何ですか?
「手が反対ですよ~。」
「あれ?」
そして一番大事なのは防御。無防備な姿勢を作らないのが防御の基本。ということで、防御の姿勢を作るまでの流れを何度も練習します。
サボムニムの説明で相手のパワーを減らす腕の角度があることを知り、なんて論理的なんだと感心することしきり。しかし、聞くとやるとでは大違い。
蹴り(パルチャギ)とコンビネーション
いよいよクライマックス。蹴りの動作です。基本となる前蹴り(アプチャギ)を習いました。蹴ろうとする目標に意識を向けるのではなく、膝を元の位置にすばやく戻すことが重要なのだとか。
膝を上げて、
前に蹴る!
歪んでますが…
上げてみた!
猫パ~ンチ!
最後に突きと蹴りと防御を組み合わせて、ひとつの流れで練習します。「右、左、蹴って、よけて、飛んで~!」蹴りがミットにうまく当たるとパン、という張りのある音がして、気持ちも高揚しますが、次の瞬間には攻撃のミットが飛んできて、よけきれず撃沈…。よけるという動作は護身のために重要な動作だそうです。
いざ、という時のためにも、特に女性が講習に来た時には強調して説明されるのだとか。よけ方の練習やポイントも習います。
修了式
礼に始まり、礼に終わる。
あっという間に1時間のプログラムが終了。じんわりと汗が出て、体もすっかりほぐれました。体の使い方をかなり本格的に解説して下さいましたが、例え話を交えての説明はとてもわかりやすく、実生活でも役立つように関連づけてお話して下さったので、実りの多い1時間でした。
出来なくても辛抱強く、そして決して手を抜かないサボムニムの指導姿勢に何よりも心を打たれ(ちょっと惚れたかも)に、テコンドーの楽しさを伝えたいという真摯な姿勢を感じました。
お疲れ様でした。
最後に修了証書と記念バッジがもらえます。
パク・チョルン師範(サボム二ム)にインタビュー
どんな国の人が体験プログラムに参加していますか?
アメリカ、ヨーロッパ、アラブ諸国、中国、日本と様々です。皆さんが貴重な時間を割いて、テコンドーに関心を持って来て下さることに本当に感謝しています。
今まで、どれ位の人が参加しましたか?
私が担当を始めた2008年3月から6月現在のところで、ざっと500人位でしょうか。
イギリスから来られたこの男性も経験者
印象的な参加者はありましたか?
先日、中国から30名ほどの団体客が来られましたが、全員70代の方でした(笑)。太極拳に馴染んでおられるので、ゆっくりとした動作を中心に講習をしました。
一般の観光客を対象に始まったプログラムですが実際にやってみて驚いたのが、海外の有段者が数多く参加されることです。本場で学びたいと、旅行の際に立ち寄られる方が意外と多いです。私よりも上の有段者が来られることもあり緊張しますね。
どんな点に気をつけて指導されていますか?
テコンドーは人と争うものではなく、自身の鍛錬のためにするもの。しかし、パンチやキックを習いたいと言ってやってくる方も少なくありません。もちろん体を動かす楽しさもありますが、テコンドーの原理も知ってもらいたい。その両方を合わせて参加者に伝えたいと思っています。
参加者に一言お願いします。
このプログラムには参加条件がありません。子どもからお年寄りまで、参加者の体力や体の状況、興味にあわせてテコンドーを体験して頂けるように考えています。テコンドーとはこうだ!ではなく、参加者にテコンドーを楽しんでもらうために柔軟にプログラムを作っていますので、ぜひ、参加してみてください。
テコンドーのみならず、合気道、警護武術の有段者でもあるパク・チョルン師範(サボム二ム)はボクシングなど、種類の違うスポーツも勉強されているのだとか。参加者のスポーツ経験が把握できれば、その人の興味や経験に沿った説明ができるから、とのこと。サボム二ムは、英語が堪能でユーモアたっぷり、笑顔が素敵な方(独身ですって!)でしたよ。
若手トップ選手の華麗な技を堪能
体験プログラムの他に、国技院に所属する有段者のうち、特に選ばれた25名によって無料の演武公演が行われています。公演はテコンドーの構成要素である、型(プンセ)、護身、組手、撃破(板割り)が組み合わされており、テコンドーの魅力を総合的にわかりやすく楽しめるようになっています。
※公演内容及び写真は2008年度の慶熙宮で行なわれたものです。
オリンピック競技の印象があるため、テコンドーは組手が中心かと思いましたが、この公演の指導コーチによると、この公演に出るためには、組手だけでなくテコンドーのすべての要素において高い技術を持っていることが必須条件で、真に韓国のトップレベルの選手たちが集まっていると言えるそうです。
これまでは国家行事や海外公演が中心だったので、定期公演は選手たちのよい修練になっているとのこと。私たちも間近でその迫力とスピードを感じることができます。
公演では観客が参加するコーナーも設けられています。基本動作の体験や撃破(板割り)もあり、参加者には記念品も配られます。
南山コル韓屋マウルの中でテコンドーをするなんてめったに経験できることではなく、記念撮影をするにも最高のロケーション、きっと旅のよい思い出となるでしょう。体を動かした後は、韓国料理もますます美味しくいただけるというもの。演武公演も見ごたえ十分です。
子どもからお年寄りまで、性別、世代を問わず楽しめるこのプログラムは家族連れやちょっと違った経験をしたい方に、是非、おすすめです。それでは最後にご一緒に、「テ、コン、ドー、ヤアッ!」。
掲載日:08.07.14 最終更新日:17.01.18
更新履歴を見る
・一部記事内容を更新しました(20170502)
・一部記事内容を更新しました(20170118)
・プログラムの内容、期間を更新しました(20150603)
・プログラムの期間、料金を2013年度のものに更新しました(20130520)
・電話番号、営業時間、休日、その他外国語を更新しました(20120417)
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