ソウルの歴史と共に歩む、悠久の河ソウル市の中央を東西に流れる大河・漢江(ハンガン)。古代より大事な水資源であり、現在はソウル市民の生活と密着した憩いの場になっています。複数の橋梁がソウル市内を南北を結ぶことで移動と物流が便利になりました。漢江沿いの観光名所としては「漢江遊覧船」「63ビルディング」「噴水ショー」「ロッテワールドタワー」などが挙げられ、四季折々の花やイベントもたくさんあるので、一年中楽しめる場所です。韓国ドラマや韓国映画、プロモーションビデオの撮影なども頻繁に行われているので、お気に入りの俳優や歌手が出演した場所を探しにロケ地巡りをする観光客も少なくありません。
漢江とは
地理
ソウル市の中央を東西に流れる大河が「漢江(ハンガン)」です。
江原道(カンウォンド)の北部を源とする川が「北漢江(プッカンガン)」。同じく江原道の東部を源とする川が「南漢江(ナマンガン)」と呼ばれ、2つの川は
京畿道(キョンギド)の「八堂湖(パルタンホ)」で合流。合流ポイントは「
トゥムルモリ」と呼ばれ、風光明媚な景色が広がっています。
合流した「漢江」はソウル市を東から西へ流れ、
坡州(パジュ)市で「臨津江(イムジンガン)」と合流した後、韓国の西海岸・黄海へと流れていきます。
歴史
かつて
百済(ペッチェ・くだら)の時代には、現在のソウル東南部一帯に「
夢村土城(モンチョントソン)」「
風納土城(プンナットソン)」という城を構え、漢江沿いを都としていました。
現在のソウル市は「漢江」で南北を分け、川の北側を江北(カンブッ)エリア、南側を
江南(カンナム)エリアと大きく2つのエリアに分けて呼ぶことが多く、江北エリアは朝鮮時代には都も置かれ古くから栄えてきたエリア。
江南エリアは1988年に開催されたソウルオリンピックをきっかけに急速に発展してきたエリアです。なお、1960年代の韓国高度経済成長期は「漢江の奇跡」と呼ばれますが、この川の名前が由来になっています。
現在
川の北側には「江辺北路(カンビョンプンノ)」、南側には「オリンピック大路(デロ)」と呼ばれる無料の都市高速道路があり、ソウル市を東西を移動する大動脈になっているほか、ソウル市を南北に結ぶ橋梁は、東の「広津橋(クァンジンギョ)」から西の「傍花大橋(パンファテギョ)」まで25の橋(漢江全体では31)によって車や
タクシー、
バス・
地下鉄などで南北を行き来できるようになっています。
漢江市民公園と、漢江に架かる橋梁
ソウル市内の「漢江」沿いには11の「漢江公園」が造成されており、ソウル市民たちの憩いの場になっています。
天気の良い日にはピクニックや公園で遊ぶ家族連れやスポーツに励む市民たちの姿が確認できます。公園内にはコンビニやお手洗い、レンタサイクルなどの施設があり、観光客も訪問できる観光公園になっています。
ソウル市の漢江上流(東部)
蚕室(チャムシル)のランドマークになっている「
ロッテワールドタワー」がよく見えるエリアです。夏季限定のプールや、週末マラソン大会など様々なイベントが開催される市民公園です。
地下鉄2号線が「蚕室鉄橋(チャムシルチョルギョ)」を、7号線が「清潭大橋(チョンダムデギョ)」を通過します。
ソウル市の漢江中流(中部)
汝矣島(ヨイド)の「
63ビルディング」がよく見えるエリアです。汝矣島では「
漢江遊覧船」に乗船でき、「
盤浦(バンポ)漢江公園」では噴水ショーが見られるなど観光客にも人気のエリアです。
地下鉄3号線が「東湖大橋(トンホデギョ)」、4号線が「銅雀大橋(トンジャッテギョ)」、KTXや1号線が「漢江鉄橋(ハンガンチョルギョ)」を通過します。
ソウル市の漢江下流(西部)
主に地元住民向けの漢江公園になっています。
ソウル市西部にある赤色の「傍花大橋」は、
仁川(インチョン)国際空港や
金浦(キンポ)国際空港から空港リムジンバスに乗車し「漢江」で最初に見える橋梁です。この橋を見るとソウルに来たな、と実感する観光客も少なくありません。
また、このエリアの鉄橋では、地下鉄2号線が「堂山鉄橋(タンサンチョルギョ)」を、
空港鉄道A’REXが「麻谷鉄橋(マゴッチョルギョ)」を通過します。
漢江展望台カフェ
2009年に実施された「漢江ルネッサンスプロジェクト」の一環として、6箇所の橋梁に休憩スポットが設置されました。橋梁ごとに内容が異なりますが、カフェや軽食、ギャラリーなどになっていて、漢江公園からエレベーターを利用して簡単にアクセスできます。窓側の席から漢江を眺めながら、休憩してみるのも良いでしょう。
映画・ドラマ・PV撮影地
![汝矣島にある映画「グエムル」の像 汝矣島にある映画「グエムル」の像]()
汝矣島にある映画「グエムル」の像
2006年に公開された韓国映画「グエムル‐漢江の怪物‐」をはじめ、韓国映画、韓国ドラマやコマーシャル、K-POPミュージシャンのプロモーションビデオ撮影など様々な作品が撮影されます。お気に入りの俳優や歌手・アイドルが撮影したスポットにロケ地巡りするファンも少なくありません。
![ロケ地の定番・城山大橋(ソンサンデギョ) ロケ地の定番・城山大橋(ソンサンデギョ)]()
ロケ地の定番・城山大橋(ソンサンデギョ)
![汝矣島漢江公園内にある記念撮影ポイント 汝矣島漢江公園内にある記念撮影ポイント]()
汝矣島漢江公園内にある記念撮影ポイント
漢江の観光名所
漢江遊覧船
「漢江」での観光で最も人気あるのが「漢江遊覧船」です。漢江クルーズは午前から夜まで様々な形態の船で出航。夜、噴水ショーの時間に合わせて出発するナイトクルーズや、船上で食事もできるディナークルーズなどが特に人気です。
人気の便は当日券が売り切れることも多いので、乗船チケットは事前に予約しておきましょう。乗船場所は、汝矣島からの便、蚕室からの便があります。
63ビルディング
60階の展望台にあがれば、漢江はもちろん、ソウル市内も一望できる人気の観光スポット。天気がよければ昼間は遠くの山々まで、夜は夜景が見事でロマンチックです。
「63ビルディング」の入口近くに、「漢江遊覧船」の汝矣島乗船場があるので、2つをセットに観光する観光客が少なくありません。
月光レインボー噴水
江南の
高速ターミナルや
GOTO MALL近くにある盤浦漢江公園に架かる盤浦大橋から流れる噴水ショーです。噴水の稼動時期は例年4月から10月まで、時間は昼に1度、夜に数回あるので、事前に稼働時間を確認の上、7色に輝く華麗な演出を見てみましょう。
ロッテワールドタワー
![※写真提供:ロッテワールドタワー ※写真提供:ロッテワールドタワー]()
※写真提供:ロッテワールドタワー
蚕室にそびえる高さ555メートル、123階立ての超高層タワーで、ソウルはもちろん韓国で最も高いビルです。
2017年の時点では世界第5位、アジア第3位の高さを誇り、117階から123階まである展望台「SEOUL SKY(ソウルスカイ)」からは漢江や周辺景色はもちろん、天気の良い日は遠くまで見渡せます。
漢江の四季とお祭り・イベント
<春>
3月にはケナリというレンギョウ、4月にはサクラやツツジ、5月には菜の花が咲き、色とりどりな春の色が感じられます。中でも汝矣島で開催されるサクラ祭りは全国から花見見物客が訪れる一大イベントです。
<夏>
6箇所の漢江公園に屋外プールが設置されており、毎年7~8月になるとプールを利用するカップルや家族連れで賑わいます。また涼しくなる夜には夜市も人気です。
<秋>
毎年9月末~10月初頃に汝矣島で開催される花火大会が最も有名です。花火と言えば日本では夏によく開催されますが、韓国では花火は秋の風物詩として知られています。また漢江沿いにはススキやコスモスが咲き、公園の芝生でピクニックする市民もたくさん見かけられます。
<冬>
極寒の冬のソウルでは、日中の気温がマイナスの日が続くと、漢江の川の表面が凍結することがあります。冬になると漢江を訪問する人は少なくなりますが、冬季限定で運営される雪そり場で元気いっぱいに遊ぶ子どもたちの姿が印象的です。
<その他>
漢江は南北それぞれサイクリングロードや歩道が東西を一本で繋がっており、ロングライドやロングランニングができるようになっているため、漢江公園をスタート・ゴール地点にしたマラソン大会も週末の午前に頻繁に開催されています。
大会毎に距離は異なりますが、5kmコース、10kmコース、ハーフマラソン、フルマラソンなどがあるので、韓国在住者はレベルに合わせて参加してみては?
掲載日:08.01.24 最終更新日:18.09.12
更新履歴を見る
・記事全体を更新しました(20180912)
・一部記事内容を更新しました(20170725)
・エレベーター、スロープの情報、ホームページを更新しました。(20120406)
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