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  • 「不良チップ」捨てずに再利用…アップルがサムスンより原価が安い秘訣

  • 経済 2025年03月14日 08:33
  • 半導体事業部とスマートフォン事業部がそれぞれ生き残る術を模索している。サムスン電子が11日に公開した事業報告書にはサムスン電子の2大事業部の悩みが見える。昨年、サムスン電子がモバイルAP(スマートフォンの頭脳の役割をする半導体)の購入の支出額は10兆9326億ウォン(約1兆1118億円)。ギャラクシーフォンなどスマートフォン事業を担当するモバイル経験(MX)事業部の昨年の営業利益(10兆6000億ウォン)より多かった。

    ◇スマホAP外部調達に10兆ウォン…営業利益より多い

    サムスン電子は半導体設計・生産能力を共に備えた総合半導体会社だが、チップの性能と歩留まり(良品生産の割合)問題で独自のチップと外部チップを混合して使用してきた。そして、今年のギャラクシーS25には全量を外部チップを買って使用した。クアルコムが設計し、台湾TSMCが生産したAPだ。今年、サムスン電子のAP買収費用は昨年よりさらに増加する見通しだ。このような状況で半導体設計を担当するシステムLSI事業部は事業不振問題で1月から経営診断を受けている。

    専門家らはサムスンの半導体設計問題がスマートフォン事業の収益性悪化につながりかねないと懸念している。モバイルAPはスマートフォン部品単価で最も高い割合を占めるだけに、原価競争力の確保が重要だ。業界によると、ギャラクシーS25に搭載されたクアルコムの「スナップドラゴン8エリート」チップの単価(約190ドル)は、iPhone16「A18」のチップ(約45ドル)の4倍に及ぶ。

    ◇アップルの最新チップセット、安くて高性能の秘訣は「チップビニング」?

    このような違いは、チップ設計能力によるものだというのが専門家らの分析だ。嘉泉(カチョン)大学半導体大学のキム・ヨンソク碩座教授は「アップルはチップビニング(Chip binning、チップ保管)方式を活用して歩留まり問題を解決すると同時に、チップの設計段階から一つのチップで複数の製品ラインナップに適用する戦略を効果的に駆使することができる」と述べた。

    いわゆる「カットチップ」とも呼ばれるチップビニングは、半導体生産過程でチップの一部コア(core、演算を遂行するユニット)が性能基準に達していなくても、これを廃棄せずに低仕様製品などに活用する方式だ。一例としてiPhone16プロ(高級型)、iPhone16、iPhone16e(普及型)には全てA18チップが搭載されるが、チップのグラフィック処理装置(GPU)コア数は各々6個、5個、4個で差別化した。コアが多いほどチップの性能が良い。

    業界ではアップルがA18チップ一つだけを生産しながらも、チップビニングによって収率を高め、原価も節減した可能性が高いと分析する。アップルは、MacBook ProとMacBook Airに搭載される独自設計のMチップでも、同じ方法で性能に差をつけている。一方、サムスン電子のギャラクシーフォンは量産型チップの納品を受けて使うため、このような原価節減戦略を適用するのは容易ではない。業界関係者は「チップビニングはインテルなどCPU(中央処理装置)メーカーも多く活用した費用節減生産方式」とし「サムスンはエクシノス(独自設計チップ)の活用度が低く、この戦略を積極的に活用しにくい状況だろう」と述べた。

    サムスン電子はシステムLSI事業部について「オンデバイスAI基盤高仕様製品の供給拡大を推進しながら2ナノエクシノスのサンプルを確保するなど未来成長持続のための踏み切り台を設けている」と述べた。

  • サムスン電子のロゴ

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