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医療空白事態で初の大型連休…診療危機
- 政治 2024年09月14日 13:03
- 13日午前、ソウル城東区(ソンドング)漢陽(ハンヤン)大病院圏域応急医療センターの前に救急車5台が入った。救急室の前の駐車区域が救急車で埋まった。救急車1台から降りた60代の女性Aさんが救急室のベルを押した。しばらくして受け入れ可能という信号が出ると、担架に載せられた80代の女性患者が救急隊員の助けを受けながら中に移された。Aさんは「療養型病院にいた母の状態が突然悪化してこの病院に来ることになった」と伝えた。
この日午後、ソウル広津区(クァンジング)建国(コングク)大病院救急室(地域応急医療センター)。ソンさん(58)は「同僚の職員が突然、胸の痛みを訴えて保護者として来たが、診療する医師がいないため1時間ほど待っている。大きな病院でもこれなら地方の病院はどういう状況だろうか」と話した。救急室には軽症とみられる患者も多数いた。診療を終えて出てきた40代の女性Bさんは「腹痛のために救急室を訪れたが、医師が1人しかいないのでかなり待った」と伝えた。
秋夕(チュソク、中秋)連休を迎え、国民が「救急室非常事態」を心配している。専攻医の離脱による医療空白事態が長期化している中、専門医の疲労蓄積や辞職などが重なり、救急室の勤務者が不足しているからだ。特に救急室は急病患者には最後の砦という点で「たらい回し」が発生しないよう政府も多角的な対策の準備に苦心している。長い連休期間中、多くの医療機関が閉まるため、患者が診療をする一部の病院に集中するという懸念の声が少なくない。こうした中、医療の空白を解消するきっかけとして注目された与・野・医・政協議体の構成もこの日、医療界8団体が参加を拒否して難航している。
連休を控えたこの日、中央応急医療センター総合状況ホームページにも複数の病院が「専門医1人が診療、119番搬送前に確認必要」「一部科目の診療不可」などの案内メッセージを載せていた。ソウル「ビッグ5」病院の関係者は「救急室の状況が厳しいが、現在の人員状況上、秋夕連休に応急医学科専門医の当直を増やしたり他の診療科の専門医を投入したりするのは難しいのが実情」と吐露した。
全国医科大学教授協議会(全医教協)が9、10日、全国53カ所の修練病院の救急室現況を調査した結果、救急室勤務医師は昨年の914人から535人へと41.5%も減少した。全医教協は調査参加病院のうち7カ所は救急室勤務医師が5人以下で24時間運営が難しく、部分閉鎖を考慮する水準と明らかにした。
政府は応急医療体系維持のために総力を挙げている。保健福祉部のチョン・ユンスン保健医療政策室長はこの日の記者会見で「秋夕連休中、全国409カ所の救急室のうち2カ所を除いた407カ所が毎日24時間運営される」と明らかにした。
また政府は11日から25日までの2週間を「秋夕連休非常応急対応週間」として非常体制に入った。
政府はこの連休期間に全国で一日平均7931カ所の病院・医院が診療可能と把握している。旧正月連休(約3600カ所)の倍以上だ。150カ所ほどの分娩病院も運営を継続する。政府は連休の前後を含めて診療報酬も一時的に引き上げることにした。圏域応急医療センター専門医の診察料を平常時の3.5倍に引き上げ、救急室診療後手術・麻酔なども引き上げる。人員の離脱で状況が厳しい応急医療センターには新規採用人件費を支援し、軍医官・医師・診療支援(PA)看護師の代替人員も可能な限り投入することにした。
国民には総合病院や救急室に行くよりも「重症度」を判断して医療機関を訪れるよう呼びかけた。韓悳洙(ハン・ドクス)首相は「重症救急患者は圏域・拠点地域センターで優先して受け入れて、軽症・非救急患者は中小病院の救急室や付近の当直病院・医院で治療し、救急室への集中を最小化する」と明らかにした。軽症・非救急患者が総合病院の救急室を利用する場合、診療費の本人負担率を50-60%から90%に引き上げる制度も導入した。こうした患者が圏域応急医療センターを訪問する場合、従来より9万ウォン(約1万円)ほど高い平均22万ウォンを負担することになる。
実際、連休中には軽症患者を中心に救急室の訪問が増える。福祉部によると、2022年の秋夕連休に圏域・地域応急医療センターを訪れた患者は平日に比べ2倍近く増えた。その多くは傷・捻挫・風邪のような軽症患者だった。各地方自治体も忙しい。自治体の首長の責任下で「非常医療管理状況班」が運営され、地域別の応急医療体系を点検する。ソウル市は秋夕連休中に医療機関を最大限に確保するために16-18日に診療をする病院・医院と薬局には一日最大100万ウォンの運営費を支援することにした。
現場でも多くの医療スタッフが黙々と患者に対応している。小児青少年科専門病院のウリアイドゥル病院は秋夕連休中も診療を続ける。これまでも連休中の診療をしていたが、今回は医療空白状況を考慮して診療室の運営をさらに増やすことにした。ソウルのある病院の応急医学科教授は「夜間・休日・連休も勤務し、体力が限界に近づいている。いつまで持ちこたえられるか分からない」としながらも「いつもと同じくこの連休中にも救急室を守る。救える患者を救えないことがないよう最善を尽くす」と話した。
与・野・医・政に協議体構成も難しくなる状況だ。大韓医師協会・大韓医学会・全医教協など8つの医療界団体はこの日、協議体への参加を拒否する内容の立場表明をした。医師協のチェ・アンナ報道官は「政府が間違った政策を認めなければ事態は解決しない」とし「政府が真摯に対話を望むのなら、専攻医辞職関連の捜査を中断すべきであり、2025年度の増員を無理に強行してはいけない」と述べた。
一方、13日午後、ソウル地域で119番通報に一時障害が発生した。ソウル市はこの日、安全案内文字メッセージを送り、「今日午後8時30分ごろからソウル地域119番通報に障害が発生し、火災など緊急状況発生時には112番通報をしてほしい」と伝えた。障害は45分間ほど続き、午後9時15分ごろ復旧した。ソウル消防災難本部側は「現在は復旧が完了して119番通報が可能。システム上のエラーと考えられるが、正確な原因は把握中」と伝えた。 - COPYRIGHTⓒ 中央日報日本語版