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  • コロナで苦境の映画館 さまざまな試みで活路模索

  • 経済 2022年01月17日 17:19
  • 新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)とオンライン動画配信サービス(OTT)の急浮上により前例のない不況に直面した韓国映画界が、空間の多角化を図ることで活路を模索している。

    韓国映画振興委員会によると、昨年映画館を訪れた観客の数は約6050万人だった。新型コロナウイルスの感染拡大以前の2019年(2億2670万人)に比べると4分の1の水準だ。

    各映画館はパンデミック初期には座席間隔を空けたり、ドライブインシアターをオープンしたりして安全な環境を作ることで突破口を見いだそうとしたが、近ごろでは映画というコンテンツに縛られることなく、多彩な活動が可能な空間へと様変わりしつつある。

    複合映画館(シネコン)最大手のCGVは、ソウル市内の店舗の一部を改造してクライミングジムをオープンした。映画を見ない人も利用でき、利用料で収益を上げている。

    CGVは昨年も大型スクリーンでゲームを楽しめるプログラムを実施するなど、空間の多角化を進めている。

    ロッテシネマは、ソウル・ワールドタワー店のファミリー向け映画館を6年ぶりにリニューアルオープンした。館内に4~6人が入れる個別のブースを設置し、より安全で便利に映画を鑑賞できるようにした。

    また、ソウル・建大入口店のロビーにはさまざまな撮影機材を備えたオープンスタジオを設置。ユーチューバーなどの映像クリエーターに有料で貸し出している。

    メガボックスのソウル・COEX店は、昨年からスポーツ競技場を運営しており、格闘技、ポールスポーツ(ポールダンス)、腕相撲、ビーボーイング(ブレイクダンス)など幅広いスポーツの大会が開かれている。

    メガボックスはこれに先立ち、クラフトビールブランドの済州ビールとタッグを組んでフラッグシップストアをオープンしたほか、ゲーム対戦競技「eスポーツ」のプロチーム、DWG KIAと業務協約を結んだ。

    シネコン関係者は「映画館の変身は、新型コロナで話題作の公開が難しい時期にどうすれば観客を映画館に来させられるかという悩みから始まった」と説明。人々に忘れられゆく映画館の存在を喚起させる一方、家で受動的に鑑賞するOTTとは差別化するための試みだと述べた。

    映画館では空間の変化にとどまらず、上映されるコンテンツも多様化している。

    オペラ、ミュージカル、K―POPコンサートなど各種公演の中継に始まり、スポーツや経済などにも領域を広げた。

    CGVは先ごろ、サッカー・フランス1部リーグのパリ・サンジェルマンとサンテティエンヌ戦を生中継し、ロッテシネマは有名経済ユーチューバーを招いて講演会を行った。

  • 映画館内にオープンしたクライミングジム(資料写真)=(聯合ニュース)