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  • ソウル市長の実験、政府とは異なる「共生防疫」カード

  • 政治 2021年04月13日 16:28
  • 呉世勲(オ・セフン)ソウル市長が新型コロナウイルス感染症「共生防疫」カードを取り出した。呉市長は12日の記者会見で「きょう午前の中対本(中央災難安全対策本部)会議で自家診断キットの導入を積極的に検討してほしいと中央政府に要請した」と述べた。このキットでは10-30分後に新型コロナに感染しているかどうかが判明するが、食品医薬品安全処の承認を受けていない。6時間以上かかる一般的検査(RT-PCR)とは違う。また呉市長は「医療スタッフが活用できるよう食品医薬品安全処が承認した迅速抗原検査をカラオケボックスに試験的に適用する」と明らかにした。

    呉市長のカードは就任4日目に出てきた。57.5%という圧倒的な得票率が根本にある。呉市長は政府に「期限」を提示した。「1週間ほどでマニュアル(ソウル型社会的距離指針)を用意し、来週初めに中対本と協議する。少なくとも10日間ほどの準備期間が必要になりそうだ」と述べた。呉市長は「現場で受け入れ可能な『ソウル型社会的距離指針』を設けて従来の守則を変える」とし「マイウェイ」の意向を表した。

    呉市長のカードは自家診断キットと迅速抗原検査の2つ。自家診断キットは李洛淵(イ・ナギョン)前共に民主党代表が昨年12月に全国民自家診断検査案を出したが、鄭銀敬(チョン・ウンギョン)疾病管理庁長の反対にぶつかった。正確度が低いという理由のためだ。今回は違った。鄭庁長は12日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が開いた新型コロナ対応特別防疫点検会議で「PCR検査より正確度が落ちるが、接近制と高めるのに活用する」と述べた。食品医薬品安全処も2カ月以内に自家診断キットを開発するよう支援すると明らかにした。

    しかし政府はこの日、呉市長の迅速抗原検査を通じたカラオケボックス試験事業には一言も言及しなかった。これを受け、政府が10日以内に行政手続きを用意しなければ独自の試験事業に動き出すと予想される。ソウル市の関係者は「迅速抗原検査は医療関係者だけができるが、研究用では一般人も可能だと聞いている」と話した。ソウル市は今後、カラオケボックス以外の業種に拡大したり、営業時間を延長したりするとみられ、政府と摩擦が生じる可能性が高い。

    呉市長は「民生現場の苦痛があまりにも大きい。涙を流して訴えている。これ以上遅らせることはできない」と述べた。

    しかし「呉市長があまりにも急いでいる」という指摘が出ている。鄭ギ碩(チョン・ギソク)元疾病管理本部長(翰林大聖心病院呼吸器内科教授)は「自家診断キットや迅速抗原検査は偽陽性や偽陰性があまりにも多い。10人のうち1人でも誤った結果が出れば大混乱になる」とし「偽陽性なら深刻な不安で社会生活がまひするが、市長としてやるべきことだろうか」と指摘した。また「私なら半月ほど脆弱な現場に出て判断する。誰が検査するのか、正確度をどう確保するのかを見なければいけない。カラオケボックスに行こうと新型コロナ検査する国がどこにあるだろうか。防疫は科学的に接近する必要がある」と述べた。

    一方、ソウル大医大医療管理学科のキム・ユン教授は「これまで特性を考慮していない規制の問題点を指摘してきたが、政府がまだ解決策を出していない。呉市長の提案はこれの解決に向けた意味のある試みと考えられる」とし「迅速抗原検査や自家診断キットは正確性が落ちるが、ウイルス量が多く伝播力が強い感染者は確認できる」と話した。続いて「幼稚園や学習塾など集団感染が発生するところにまず導入するのがよい」と提案した。

    呉市長のカラオケボックス試験事業はソウル市だけにとどまらない。京畿道(キョンギド)・仁川(インチョン)なども同じ状況だ。文在寅大統領は12日の会議で「K防疫」を自慢した。国民の力はワクチン導入失敗を取り上げてK防疫を絶えず攻撃している。今回の衝突の後には不動産政策の衝突が待っている。防疫衝突が来年3月の大統領選挙まで政界の力比べになるのは明らかだ。

    ソウル大社会福祉学科のク・インフェ教授は「政府の防疫措置のために負担が生じれば補償しなければいけないが、政府がそれに背を向けて便宜的にしてきた側面がある」とし「今回の自家診断検査の提案は発展的な案を議論するきっかけになるべきだ。政治的利害に埋没せず、市民の生活の便宜を高める方向で議論することを望む」と述べた。

    キム・ユン教授も「(呉市長の提案は)非常に政治的な発言のように聞こえるが、今回の件をめぐり政治的に対立するのは望ましくない」とし「双方(鄭銀敬疾病管理庁長と呉世勲市長)が合意する形が望ましい」と話した。

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