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韓国の「あのご飯の銀色の器」、コンギパッはいつからある?
- 社会・文化 2020年06月17日 15:17
- 食堂のアジュンマ(おばちゃん)が平気な顔をして素手で持って来るステンレスの銀の器。
テーブルの上に出されたそれに何気なく触れると、やけどをするかと思うほど熱い!
驚きながら蓋を開けるとのぞくのはホクホクの白米-。
韓国旅行で食事の際に必ずと言っていいほど見かけるこのご飯の器、韓国語では「공기밥(コンギパッ)」と言う。
その誕生の背景をご存じだろうか?
■朝鮮時代のご飯は山盛り?!
「コンギパッ」の誕生前の話から始めよう。時は朝鮮時代。
朝鮮時代の韓国ではもともと、ご飯を器に山盛りにして食べる「ゴボンバッ(高棒飯/고봉밥)」が一般的だった。
まさに「うず高く盛り捧げる」という意味から来ている。
朝鮮末期当時の茶碗に入れられたご飯の量は480~640グラムほどあったと言われる。
このようなご飯を1日に2回程度食べることが多かったそうだ。
ところが日本の植民地時代と朝鮮戦争を経験しながら、米の生産量が1950年代に大きく減少することで山盛りの「ゴボンバプ」は姿を消す。
■「コンギパッ」の誕生
月日は流れ、 1960~70年代の経済開発で賃金水準が上昇し、外食需要も増えた。そんな中、飲食店では差別化のためにご飯の量を競い合い始め、ご飯の量がどんどん増えていく状況にあった。
そんな中、当時の朴正煕(パク・チョンヒ)政権では米消費量の増加を解決しようと、飲食店で売ることのできるご飯のサイズを調節する政策を展開する。
1974年にソウルの飲食店でステンレス茶碗にのみご飯を入れて販売できるように行政命令を発動、「空の器」という意味から転じて「ご飯をよそって食べるための器」という意味の「공기밥(コンギパッ)」という言葉が生まれた。
さらに1976年には飲食店で販売している「コンギパッ」の規格は直径10.5cm、高さ6cmで定め、この5分の4ほどにご飯を入れなければいけないとした。
これに違反すると、1回の違反で1ヶ月の営業停止、2回の違反で営業許可取消しにするほどの厳しい行政措置を課した。
1981年にはこの決まりが全国的に義務化され、ご飯を扱うすべての飲食店では「コンギパッ」は、統一された量と器を使用することになった。
このような措置により、米の消費量は大幅に減少した。最高値だった1979年には1人当たり年間平均約135キロの米を消費したが、今日では85キロほどにまで減ったそうだ。
「コンギパッ」の大きさと量は時代とともに変遷しており、2012年からは、直径9.5cm、高さ5.5cmの大きさのステンレス茶碗を使用するお店が増えている。
ちなみに韓国の「コンギパッ」1杯のご飯の量は約180~190グラム、日本のお茶碗1杯のご飯の量は大体約150グラムと言われている。
同じ「ご飯1杯」でも韓国ではつい食べ過ぎてしまうことになるので注意が必要だ。 - COPYRIGHTⓒ konest