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  • 韓国の半地下とは?半地下住宅から半地下カフェへ変わるソウル

  • 社会・文化 2020年02月14日 10:13
  • 賃貸中の半地下物件
    賃貸中の半地下物件
  • カンヌやアカデミー賞など世界を代表する映画祭で各賞を受賞したポン・ジュノ監督の韓国映画「パラサイト 半地下の家族」で話題となった「半地下(반지하/パンチハ)」。半地下とは、半分ほど地下に埋まった形態の部屋で、窓からは通行人の足元や駐車している車のタイヤが見える。日当たりと通気性が悪い、虫が出る、浸水する、賃貸が安いなど、日ごろ陽の目を見ることのない家に、スポットライトが当たっている。

    韓国にはなぜ半地下の家があるのか?歴史を紐解いていくと、韓国で半地下のある家々が建てられたのは1970年代だと伝えられている。1950年代に勃発した朝鮮戦争後、都市が再生されていく中で、万が一の事態に備え、住居の下に防空壕の役割を持つ空間が設けられた。当時は居住目的ではなく、キッチンもトイレもない、倉庫的な役割に過ぎなかった。

    80年代に入り都心部の住宅不足問題が深刻化すると、1984年に地下層に関する住宅関連法案の規制が緩和。半地下空間を居住空間にリフォームしながら、半地下住宅として利用が開始される。しかしながら現実的に暮らすとなるとデメリットが多く居住条件が厳しいため、一般的な住宅よりも賃貸料は低い。以降、低所得者層を中心に契約が増え、2015年の調査では約36万世帯が半地下住宅に居住していると報じられた。

    その後、半地下を持つヴィラ型建物が取り壊され、新築ビルが建てられていくと、半地下空間を離れる人々が増え始め、半地下空間に空室が目立つようになる。と同時に、都心部では若年層の起業ブームが起こっており、比較的安く賃貸できる半地下物件に目を付けたオーナーが、半地下空間をカフェやレストラン、雑貨・ファッションショップなどにリフォームし、入店しはじめるようになる。建築家や工務店は半地下施設を商業スペースに変えたいというオーナーと打ち合わせる際は、図面デザインの良さはもちろん、湿度対策と床下換気、防水対策の重要性を強く説明している、という。

    そのため、1970年代に建てられた住宅街が、繁華街やカフェ通りへと成長した、ソウル市内の「新沙洞(シンサドン)カロスキル」や、「弘大(ホンデ)」から「延南洞(ヨンナムドン)」~「望遠洞(マンウォンドン)」一帯、「梨泰院(イテウォン)」・「漢南洞(ハンナムドン)」一帯では、半地下カフェ、半地下ショップが多く誕生し、半地下のオシャレなお店が良く見かけられる。

    実際に住民が暮らす一般の半地下のある家に入るのは難しいが、半地下のお店には日本からの観光客も含めた全ての客が利用できるとあって話題を呼んでいる。映画のような古めかしい雰囲気ではなく、おしゃれで清潔な雰囲気のお店ばかりであるが、映画さながらの「韓国の半地下をプチ体験」できるというわけだ。
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