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  • 「BTSの国に行こう」韓国語独学…グローバル「コリア・ファンダム」熱い

  • 社会・文化 2018年12月07日 10:20
  • スモールス・イラナさん(17)はことし8月、故郷(米国・ハワイ)を離れて「防弾少年団(BTS)の国」にやってきた。住む家も学校もすべて変わった。今は京畿道城南市(キョンギド・ソンナムシ)の慰礼(ウィレ)新都市の高層住宅で毎朝6時に起き、8時には制服を着て学校(慰礼ハンビッ高校)に向かう。韓国の高校1年生イラナさんが「ママ、行ってきます」と挨拶するとミン・ジョンエさん(45)が「行ってらっしゃい」と答える。ミンさんはイラナさんが韓国で1学期間交換学生として暮らして来年1月に故郷へ帰るまで世話するホストファミリーの「ママ」だ。ミンさんは「2人の娘(中3・高2)の間に娘イラナがいる」と話す。イラナはこれまでの韓国生活を「クール(cool、すばらしい)」という一言で表現した。「韓国に来てたくさんのことが変わったけれど、それでも私がARMY(BTSのファンクラブ)というのは変わりない」と話した。

    世界中の10代・20代が韓国を知り、さらに韓国行きを決行するのにはK-POPをはじめとするKカルチャー(韓流文化)の影響力が絶対的だ。

    ニコラ・サルコジ元仏大統領のカーラ・ブルーニ夫人が先日訪韓した時に「(BTSに夢中の)7歳の娘が自分をなぜ置いて行くのかと泣いた」と話して話題になった。世界中の10代・20代にとって韓国行きはロマンになっているのだ。

    リヒテンシュタインの高校生ルーベン君(16)も来年1月の韓国行きを夢見ている。ルーベン君はゲームを通じて韓国を初めて知った。オンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」をやっていて韓国人ゲーマーに接した。その後自然とK-POPに親しむようになり、昨年は両親と一緒に韓国にも来た。それから世界中の60カ国余りと交換学生プログラムを運営する民間非営利団体YFU(Youth ForUnderstanding)コリアの交換学生プログラムに申し込んだ。ルーベン君は申込書に「K-POPに完全に魅了された。韓国で生活したい」と書いた。フィンランドの高校1年生キー君(16)もルーベン君同様韓国に来てみた。「再び韓国に来ることができる機会があればK-POPコンサートとファンミーティングに行きたいし、韓服(韓国の伝統衣装)も着たい」と言って交換学生プログラムを申し込んだ。

    慰礼ハンビッ高校1年生のイラナさんも中学校の時にK-POPに初めて触れ、アプリでドラマ『チーズ・イン・ザ・トラップ』を見た。YouTubeで韓国語を習った。読み書きには支障がない。YFUコリアのイ・ヒョク局長は「事前に独学で語学実力をある程度備えて韓国に来るので3カ月で完ぺきに韓国語を駆使する」と言い、「言語を跳び越えて文化を体験するために韓国に来ようとする傾向がある」と話した。

    イラナさんは10代で両親の許しを得て韓国に留学に来て韓国の家庭に滞在して学校に通うなど交換学生生活を通じて韓国について学んだ珍しい事例だ。このような交換学生プログラムが可能にするためには外国学生を受け入れることができる家庭と学校がなければならない。

    イラナさんを受け入れたミン・ジョンエさんは「長女のガヨンが希望してホストファミリーに申し込んだが初めは家の中を露出しなければならないということに対する負担があったが果敢に挑戦した」と話した。ミンさん家族はことしの中秋節に江陵(カンヌン)に帰省する時イラナも一緒に連れて行った。江陵に行ったついでにBTSのアルバム・ジャケット撮影地の注文津(チュムンジン)海水浴場のバス停セットで家族写真も撮った。ミンさんは「同じお皿の食べ物を一緒に食べたり箸とスプーンで食べさせてあげるのが韓国の『トゥギャザー文化』と説明するとよく理解していた」と付け加えた。

    大田(テジョン)に住む主婦キム・ユギョンさん(47)も2015年にマクシーさん(ドイツ)、2016年にミコさん(フィンランド)、ことしエブリンさん(ニュージーランド)を自分の家で世話した。ドイツの女子高生マクシーさんは韓国に来て「サンナクチ(タコの踊り食い)が食べたいです」と言って周囲を驚かせた。キムさんは子供たちのおかげで外国の親たちとも縁ができた。ドイツに旅行に行ってマクシーさんの両親にも会い、その家に滞在した。

    10代の時に触れた韓国体験はその後もずっと続く。ユリア・バルンドさん(25)はイラナさんのように韓国で高校〔野塔(ヤタプ)高校〕に1年近く通い、その縁から漢陽(ハニャン)大学経営学科に留学した。バルンドさんは「韓国で高校に通いながら韓国語を習ったが大学の授業について行くのは容易ではない」と打ち明けた。「相対評価で韓国の学生と競争する試験が大変だ」と話すほどコミュニケーションには支障が全くない。バルンドさんは韓国に留学に来る時フィンランドの友人2人と一緒に来た。「中学校の時に両親と韓国に来て、韓国がとても好きで高校生活を韓国家庭で過ごした。友人と一緒に韓国の大学に留学を決めたが皆韓国生活に満足している」と付け加えた。

    このような点でイラナさんやバルンドさんは運が良いケースだ。外国人学生を受け入れようとする韓国家庭を探すのは容易ではない。ホスト・マザーのキム・ユギョンさんは「ホストファミリーになってみると子供たちを通じて学ぶことがとても多かった。それで周りの人達にホストファミリーを薦めてはいるが、そのような誘いを受け入れることは現実的に容易ではない」と話した。

    YFUコリアが韓国家庭で受け入れることが確定した来年の交換学生は11人。1年または1学期間韓国生活をする学生たちだ。イ・ヒョク局長は「インターネット等で留学情報を知った10代が韓国に来ると言って申し込み、50人程度が待機しているが彼らを受け入れられる韓国家庭を募ることが難しい」と話した。交換学生プログラムは15~18歳を対象としているがこの時期が韓国の高校在学期間に該当する。家庭全体が自分の子供の大学入試に気を遣っているのに外国の学生を受け入れて自分の子供のように世話しなければならないことを負担に思う。

    このように韓国行きがロマンになっているのにも関わらず、いざ国内ではこのような現象を体感することができずにいる。先月、中央アジアのアルメニアを訪問した国際協力救護団体ヒューマンインラブのキム・ヨンフ理事長はロシア・アルメニアの大学生100人余りが防弾少年団(BTS)やEXO(エクソ)の歌を歌うのを見た。キム理事長は「韓国海外同胞が少ない国でも大学生が歌も完ぺきに歌う上に韓国語学科の学生たちは韓服を着て扇の舞いまで踊っていた」と言い、「過去には想像もできない風景」と驚いていた。理事長は「現地の大学は韓国の大学と韓国学研究を一緒にしたいと言ってパートナー大学を探しているが韓国の大学は学生数が減っていると心配している」とし、「大学が外国の10代・20代誘致をもっと考慮してほしい」と話した。

    海外大学の学生を誘致するために60カ国余りを訪れた全北(チョンブク)大学国際協力処ユン・ミョンスク処長も実際に外国で韓流体験をした。ユン処長は「ジョージアやインドネシアの山奥に住む女子学生がインターネットで韓国の放送を見て韓国語能力試験(TOPIK)5級(最も高い級は6級)に合格することもある」と話した。ユン処長は「世界中にあるドイツ文化院・フランス文化院のように私たちも文化院が中心となって10・20代を対象とするターゲットに合わせた韓流広報をすべきなのに韓国では世宗(セジョン)学堂、韓国文化院、韓国語教育院などに分かれてそれぞれ違った広報をしている」と指摘した。

  • 米国・ハワイから留学来たスモルス・イラナさん(真ん中)がミン・ジョンエさん(右)とクォン・ガヨンさん(慰礼ハンビッ高校2年)と一緒にリビングでBTSの動画を見ている。イラナさんはことし8月に韓国に来た。

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