韓国HOTニュース
  • <セウォル号>最も悲しい決断(1)

  • 社会・文化 2014年11月12日 11:35
  • 「あなた、あなたはこれが正しいと言って下さいますか。(セウォル号の)水中捜索の終了を要請するのですか。誰かの気持ちを辛くさせることはないでしょうか」。

    天国にいる夫に何度も尋ねたという。セウォル号惨事から209日となる11日、全羅南道(チョンラナムド)の珍島(チンド)室内体育館で不明者家族を代表して捜索終了を要請したミン・ドンイムさん(36)の話だ。夫はセウォル号が沈没する瞬間に生徒らにライフジャケットを譲って「先に船を脱出しろ」と言った後、行方不明になった安山壇園(アンサン・ダンウォン)高校のコ・チャンソク教師(40)だ。

    ミンさんは発表文が書かれたA4用紙1枚を右手に持ってハンカチを左手に握ったまま体育館の壇上に上がった。淡々とした声で発表文を読み始めた。「私どものように愛する家族を失って一生を悲しみにくれて苦痛の中で生きていく人がこれ以上生まれてはいけないと意見を集めました。最も重要なことは、潜水士の方々の安全です。…(中略)いかなる選択も誰かにとって苦痛になるしかないならば、私どもが水中捜索をやめることにしました。…(中略)到底、言葉にできないほどに辛いが、この時間以降、水中捜索を止めてください」。

    時々むせび泣きで言葉が途切れた。ハンカチで時には目を、時には涙がつたう頬をふいた。「まだあの冷たい海の中で私たちを待っている9人の不明者を必ず探してくれるようにと切実な気持ちで呼び掛けます」という時は、感情が込み上げたように声が高まった。

    先月21日、光州(クァンジュ)地方裁判所で開かれた裁判で被害者陳述のために出てきて「初めは発見された遺体が夫でないことを願っていたが、数日後からは、どうか夫であるようにと祈るようになった」と語っていた。当時、彼女は「事故の数日前に取り合った手の感触がまだ残っている」として「骨のかけらでも探したい」と言っていた。ミンさんは11日、中央日報記者の電話取材に「発表文を読んでいる間、夫に初めて会った時からの思い出が走馬灯のように過ぎ去っていった」として「再び一緒にいられないということが、とても心痛くで辛かった」と話した。ミンさんは先月29日にセウォル号から壇園高のファン・ジヒョンさん(17)が発見された後、それまで不明家族代表だったファンさんの父ファン・インヨルさん(51)が帰宅したことから、代わりに代表をつとめた。

    不明者家族は先月末にファンさんが発見される直前にも捜索終了の有無をめぐって話し合ったが、捜索を継続してほしいと要請する結論を出した。だが「セウォル号の船体が急速に崩れている」という汎政府事故対策本部の話で考えを変えた。潜水士の安全を心配してからだった。これまでセウォル号捜索・救助過程で民間潜水士2人が亡くなり、捜索に参加して復帰したヘリコプターが墜落して消防救助隊員5人が死亡した。

注目のニュース