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韓国文化と生活

  • 韓国のメディアをはじめ、グルメブロガーの間で話題になっているパン屋があります。藤原保真さんが代表を務める「TOKYOPANYA」。ありそうでなかった日本スタイル専門のパン屋で、確かな味と日本での流行をいち早く届けるスタイルで若者や味にこだわりのある韓国のグルメファンを掴み、2010年には3店舗を出店する急成長ぶり。パン職人として自ら毎朝パンを作りつつ、オーナーとして4店舗を経営し大忙しの毎日を送る藤原さんに「TOKYOPANYA カロスキル店」で急成長した人気の秘密と韓国のパン事情などについて伺いました。

    名前 藤原保真(ふじわらやすま)
    職業 パン職人(TOKYOPANYAオーナー)
    年齢 32歳(1978年生)
    出身地 東京都
    在韓歴 3年
    経歴 2000年から2004年まで音楽活動と留学のためニューヨークに滞在。滞在中にニューヨークで日本スタイルのパン屋の起業を決意し、パン職人修行のために帰国。下北沢の有名店「アンゼリカ」で修行を経て、2007年に渡韓し、カフェのパン担当となる。2008年にソウル市江南(カンナム)区鶴洞(ハットン)に「TOKYOPANYA」をオープン。2011年現在ソウル市内に4店舗。若き日本人パン職人として韓国のメディアから注目を浴びている。
    HP http://tokyopanya.co.kr/
    日本のパンは世界で勝負できる。 ニューヨークでパン屋開業を決意
    ニューヨークに留学していた時にアメリカはパン文化なのに美味しいパン屋がなく、また多様な文化のニューヨークなら種類の豊富な日本のパン屋が受けるのではないかと思ったのが始まりです。

    ニューヨークの魅力の虜になり、絶対にニューヨークで何かやりたいと思っていたのでパン屋を開くことを決意し、日本に帰国後、味噌パンやカレーパンで知られる下北沢の「アンゼリカ」という人気のパン屋で修行を始めました。
    その後、留学時代に知り合った友人を通じて、ソウルのカフェでパン部門を担当しないかと言われ、ニューヨークに行く前に韓国で挑戦してみようと思って韓国に来たのが2007年です。
    カロスキル店
    カロスキル店
    カフェは残念ながら1年ほどで閉店となりましたが、カフェでは日本スタイルのパンを提供して好評だったので、僕が個人で店をやろうと決めて、2008年10月に「TOKYOPANYA」を立ち上げました。

    パン職人は僕一人、アルバイトが一人の小さな店舗で初めは人気がありませんでしたが、日本人が日本スタイルのパンを作っていると徐々に口コミで広がり、昨年、現代百貨店COEX店、現代百貨店木洞店と立て続けに出店し、カロスキル店を11月にオープンし、1年間で一気に3店舗増やしました。
    韓国のメディアから日本のパンとは何かとよく質問をされます。日本も韓国もパンは外国の食文化なので真似て作ることから始めていますが、日本の場合はカレーパン、焼きそばパン、メロンパンなど様々な食材とコラボレーションしてバリエーション豊かなパンを作っています。

    これが日本スタイルかなとは思いますが、実際に「TOKYOPANYA」を始めて改めて考えてみると、フランスならバゲット、ドイツならライ麦パンのように日本のパンはこれだというのはまだないし、日本のパンが知られていないと思います。だから僕らが韓国をはじめ世界中の人たちに、日本で食べられているパンをひとつひとつ紹介するために、海外で日本スタイルのパン屋をやる意味があると感じています。
    日本の「TOKYO」の味でありながら、韓国マーケットをリサーチした商品づくり
    視聴率50%を超えパンブームを作ったドラマ「キム・タック」▶
    視聴率50%を超えパンブームを作ったドラマ「キム・タック」▶
    僕が修行した下北沢の「アンゼリカ」は有名店で韓国や中国の旅行者もたくさん訪れていました。韓国人の味覚は日本人に似ていると感じていたし、友人が「日本はコンビニのパンも美味しくてすごいね」と言うので韓国でやっていけるだろうと予測は立てていました。

    しかし韓国はパンの味よりもパワーのあるチェーン店が優勢で、個人経営のパン屋が閉店に追い込まれているという状況でした。ところが昨年ドラマ「製パン王キム・タック」の大ヒットにより、パン職人に注目が集まり少し風向きが変わったようです。
    僕も日本人のパン職人ということでよい意味でブームに乗った気がします。また海外で修行した韓国人のパン屋も増え、最近は韓国でも美味しいパン屋が増えてきました。
    オーブンで焼いたカレーパンが人気
    オーブンで焼いたカレーパンが人気
    店名に「TOKYO」とつけるのは結構勇気が要りました。「TOKYOPANYA」のキャッチフレーズが日本に行かなくても食べられる日本の味だったので、日本の流行が常に反映されていることや日本人のお客様が食べても美味しい、日本の味だと評価されるクオリティがなければいけないと思っています。韓国向けだからと言ってキムチを使ったパンなどは作っていません。ただし、韓国市場を調査して、女性はカロリーを気にする人が多いのでカレーパンは揚げずにオーブンで焼く、韓国の人たちは色んな材料が入っていることにお得感を感じるので、ロールケーキのフルーツの種類を増やす、カレーパンの具を増やす、アンパンの餡を増やすなど、歩み寄れる範囲で韓国のお客様に喜んでいただける工夫はしています。
    「東京バナナ(東京土産の人気菓子)売ってますか?」とお客様に尋ねられることが多くてびっくりしました。店名にTOKYOとありますが、全然違う会社ですからね(笑)。

    はじめは驚きましたが、韓国の人たちが好きな日本の味、イメージする味ということにヒントを得て「TOKYOPANYA」のバナナロールケーキを作りました。また日本の流行はリアルタイムにどんどん取り入れて、スタッフと新商品を研究しています。
    韓国の人は新しいもの好きで飽きやすいので、いつも新鮮味があり、今日も何か新しいものがあるという期待感を抱かせる「TOKYOPANYA」を目指しています。
    実は韓国では材料が手に入らない!?
    日本に居れば世界中の材料を手に入れることができますが韓国では日本の50%くらいの材料しか手に入りません。例えば日本では生クリームの脂肪分がパーセンテージごとに分かれて販売されていますが、韓国では36パーセント以下のものしか手に入りません。

    小麦粉やバターのクオリティも全く異なります。ケーキに欠かせないイチゴも年中手に入りません。だから韓国で手に入る材料を常に研究し、妥協を惜しまず、味を探っていく努力が欠かせません。
    以前、知り合いのおじいちゃんシェフが、イタリアンが日本で全く知られていなかった時代、材料も道具もなく苦労したけど、そんな時代にやるからこそチャンスがあるんだよと話してくれました。今の僕がまさにその立場なんだと思います。あるものでベストを届ける。こんな状況だからこそ、自分の力を試すことができると思います。逆におもしろいですよ。
    毎日「同じもの」を作る難しさとやりがいを伝えたい
    難しいのは韓国人スタッフの教育です。日本の職人は見て体で覚えろというのが基本にあり、修行期間があることは覚悟の上で仕事を始めますが、韓国では少しでも辛いと感じるとすぐに辞めてしまいます。

    また一通り教えると、新しいことを教えてくれと言われます。知識として得たことと、技術として身に着けたことは別問題ですが理解してもらえないようです。僕は毎日同じものを同じレベルで作ることは、非常に大変なことだと思っています。

    正直100点のパンを毎日作るのは不可能です。でも毎日100点に近いパンを出していくのがプロのパン屋であり、日々精度を高めてレベルを上げていくのが僕らの仕事です。韓国人スタッフにそれをどう理解してもらうか、僕が同じ職人としてどうやって見せていくか、今、葛藤しているところです。

    朝も早いし休みもないし暑いし大変ですが、美味しいものを作る楽しい仕事、人に誇れる仕事だとわかってもらえるようになりたいですね。あとは「予備訓練なので明日休みます」と男性スタッフに急に休まれると、仕方がありませんが、必要人員だけでやっているのですごく困ります(笑)。
    美味しい、もう一度食べたいと言ってもらえることが何よりの幸せ
    日本旅行以来メロンパンが気に入って、毎日メロンパンを買いに来られる僕と同じ年くらいのお客様がいました。仕事先にメロンパンを持って行ったら好評で、「TOKYOPANYA」のメロンパンのお陰で契約が取れたよ、と大変喜んで報告してくれたことがありました。

    そのお客様がある日すっかり痩せて、癌を患っているということでお店に来なくなりました。しばらくして、すっかり病みやつれた様子にも関わらず、もしかしたら最後になるかもしれないからと、遠い病院から無理をしてメロンパンを買いに来て下さったんです。

    本当に感動しました。幸い回復されて、最近、また来て下さるようになったのですが、美味しいと言ってまた来て下さるお客様が一番うれしいですね。作った甲斐があります。今はパン屋が僕に与えられた天職だと思っています。
    日本の若きパン職人へ! 自分を試すなら、今、海外へ出よう!
    お客様が増えて、美味しいと言ってもらえ、店舗が増えて、自分で言うのも何ですが、日本では考えられない成功体験だと思います。貴重な体験を韓国でさせてもらっています。「TOKYOPANYA」は味にはもちろん自信がありますが、日本の菓子パンに特化していること、日本人が作っていることで韓国ではオンリーワンな存在です。

    日本人は私を含めパン職人は2名、パティシエが2名です。「TOKYOPANYA」と日本スタイルのパンの認知度を高めようと昨年は急ピッチで出店しましたが、チェーン展開をするつもりはありません。韓国では、流行に敏感で海外文化に関心の高い若者が集まる弘大(ホンデ)梨大(イデ)にもう1店舗出したら、次は中国もしくはニューヨークを目指していきたいです。

    日本のパンを食べたいなら「TOKYOPANYA」に行けばいいよ、と世界の人たちに言ってもらえるようになりたいとパン屋を始めましたが、日本のパンの技術を証明し、日本のパンはこんなに美味しいということを広めたいと思っています。

    日本のパン市場は成熟していて、既存のチェーン店や有名店の間をぬって、個人の資金で新しいブランドのパン屋を開業するのは至難の業です。日本で自分の店を持つことに対して夢を描けないでいる僕ら世代のパン職人は多いと思います。でも、今、世界は日本のパンを求めています。
    だから、僕と同じ考えを持っている人がいたら一緒にやっていきたいです。また、自分の店を持とうか悩んでいる人がいたら、韓国しかり、中国しかり、世界に出ていくことをおすすめします。パン作りに対する情熱さえあれば、勇気と行動力ですね。今やれば、きっと成功できると思います。
    インタビューを終えて・・・
    韓国メディアの取材、テレビ出演などが目白押しの藤原さん。「TOKYOPANYA」で検索するとブログがずらっと出てくるほど、今、韓国で最も注目を集めているパン職人の1人です。「韓国は本当に食べ物がおいしいですよね。でも美味しいお店に行かないと韓国料理の本当のうまさがわからないので、適当なところに入ったらだめです」というアドバイスはさすが食のプロ。忙しい毎日の中、パンやお菓子だけでなく、韓国料理の食べ歩きもしているそうです。

    日本の技術、日本スタイルにこだわりながらも、韓国の人たちに喜ばれるよう最善を尽くしていることが人気の秘訣ではないでしょうか。日本のパンが美味しいと認められ、それが韓国の人たちに喜ばれ、そしてソウルで購入できることは在韓日本人にとっても嬉しい限りです。パン作りにかける思いを全身から発散している藤原さんなら、これからも世界に「TOKYOPANYA」のファンを広げていかれることでしょう。
    TOKYOPANYA カロスキル店
    ソウルの最新ファッションやグルメ情報の発信地であるカロスキルエリアにあります。メインストリートから一筋路地に入った静かな立地で「TOKYOPANYA」で唯一イートインが可能なカフェスタイルの店舗。人気の味噌パン、カレーパン、メロンパンなどが毎日、時間ごとに焼きたてが出されています。パン以外にも日本人パティシエが作るロールケーキが人気。ケーキセットもあります。

    住所:ソウル市 江南区 新沙洞 543-8(位置)
    電話:02-547-7790 営業時間:11:30~23:00
    休日:不定休、旧正月・秋夕(チュソク)
    「TOKYOPANYA」その他の店舗
    ・鶴洞本店 
    電話:02-540-7790 
    営業時間:12:00~20:00 
    休日:日曜、祝日、旧正月・秋夕(チュソク)(位置)
    ・現代百貨店COEX店(位置)
    ・現代百貨店木洞店(位置) 
    ※営業時間、休日は百貨店に準ずる

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                最終更新日:11.05.30
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