1990年代半ばから2000年代前半にかけて韓国に吹き荒れたヒップホップブーム。今ではヒップホップは、ビッグネームから若手まで着実に厚みを増す代表的な音楽ジャンルとなりました。日本では
YGエンターテイメントの
BIGBANGや、
2NE1、
SE7EN、1TYMEがよく知られていますが、韓国にはまだまだヒップホップアーティストが大勢!2011年は「再びヒップホップが来る」という声もあるので、大物から若手まで、さくっとご紹介いたしましょう!
K-POPシーンのおなじみヒップホッパーたち!
ヒップホップは、K-POPシーンでダンスミュージックと
バラードソングに匹敵するほど定番の音楽ジャンル。ヒップホップミュージックを専門としてメジャーシーンで活躍するアーティストはたくさんいます。アイドルグループにもラップ担当メンバーがいるように、特に若い世代に支持を得ている音楽ジャンルと言えるでしょう。ここでは、メジャーシーンで名前が知られているアーティストをご紹介します。
【Epik High(エピック・ハイ)】 独創的・叙情的な詩と音楽でブレーク!
2人のMCと1人のDJで構成されたヒップホップトリオで、2003年のオーバーグラウンド進出前からさまざまなアーティストのアルバムに参加し注目を集めていた。「詩に酔いしれた状態」「叙事詩的な偉大さ」というグループ名の通り、叙情的で文学的な歌詞と表現力を重視している。またその点では類を見ないほどずば抜けた実力を持ち、大衆・専門家ともに高い評価も得ている。斬新でウィットに富んだ社会風刺の歌詞と、それに対する詩的なアプローチが特徴。
MCのタブロは米スタンフォード大学院で英文学を専攻したエリート、同じくMCのミスラ・ジンも高校からの長いラップ歴を持ち、DJのトゥーカッツは大学で音響製作を専攻、トレンドに縛られない独創的な音楽を見せている。最近は、ボーイズアイドルグループINFINITEのプロデュースも行なっている。タブロは2007年にAnyCallの携帯電話ミュージックビデオCMで「AnyBand」として
BoAやジュンス(
JYJ)と共演、また女優カン・ヘジョンとの結婚も話題になった。
デビュー年:2003年
メンバー:(左から) タブロ(MC)、ミスラ・ジン(MC)、トゥー・カッツ(DJ)
代表曲:「Fly」「Fan」「Love Love Love」「One」
主な受賞歴:2008年韓国大衆音楽賞ネチズンが選ぶ今年の音楽人ヒップホップ部門、2009年デジタルミュージックアワードマニア今年のアルバム賞、
2009年ゴールデンディスク賞ヒップホップ賞
【Leessang(リッサン)】 着実にヒットを飛ばす、ヒップホップ・デュオ
ヒップホップグループ「Honey Family」出身のキルとゲリーによるヒップホップデュオ。デビュー当時は「Leessang Trio」という3人組だった。2人組となって初のアルバム「Leessang Of Honey Family」(2002)が大ヒットを記録し、瞬く間に有名アーティストの仲間入り。タイトル曲の「Rush」は、アメリカのブラックミュージックグループ「The Stylistics」をサンプリングしたもので、大衆的なメロディとチョンインのフィーチャリングが心地よい曲。
2人は幼い頃からヒップホップミュージックを手当たり次第聞き真似して育ったというほどヒップホップへの愛情が深く、アルバム製作時はどの曲もタイトル曲水準を目指すこだわりを見せているとか。アルバムに毎回大物アーティストがゲスト参加することでも有名。また、リュ・スンボム主演の映画「死生決断」「史上最強スパイ Mr.タチマワリ」の
サウンドトラック(OST)を歌ったのをはじめ、MVにリュ・スンボムが出演するなど、リュ・スンボムとも親しい間柄のよう。
デビュー年:2002年
メンバー:(左から) キル、ゲリー
代表曲:「Rush」「俺は笑っちゃいない」「Ballerino」「
別れられない女、離れられない男」
主な受賞歴:2009年Mnetアジアンミュージックアワードヒップホップ音楽賞、2009年MelOnミュージックアワードSudden Rise賞
【Dynamic Duo】 韓国ヒップホップを大衆化に導いたグループ出身!
往年のヒップホップグループ「CB MASS」のメンバー、チェザ(左)とケコ(右)が結成。空白期間中もフィーチャリングなどで活動を続け、デビュー直後から大衆的な人気を得た。人生の多様な姿を解いた歌詞が多い。2011年3月現在、2人一緒に兵役服務中。
デビュー:2004年
代表曲:「告白(Go Back)」「出席チェック」「殺すべき奴」
主な受賞歴:2009年韓国大衆音楽賞最優秀ヒップホップソング賞
【MC】モンバラエティでも活躍!ヒップホップ界のエンターテイナー
「モンスタイル」と自称する、耳に残りやすいアップテンポの軽快なリズムとメロディの曲を多数輩出している。
キム・テウとコラボした「I LOVE U OH THANK U」「So Fresh」などヒット曲も多数。
バラエティにも出演しエンターテイナーとしても有名。2011年3月現在兵役逃れ疑惑で自粛中。
デビュー:1999年
代表曲:「
I LOVE U OH THANK U」「サーカス」「アイスクリーム」
主な受賞歴:2008年ゴールデンディスク賞デジタル音源部門本賞
【ヤン・ドングン】歌にドラマに映画に!旋風を巻き起こした個性派ラッパー!
子役として俳優デビューし、2001年のファーストアルバム発売以後は二束のわらじの道を歩む。ドラマ「勝手にしやがれ」で一躍スターとなり、ラッパーとしても一世を風靡した。軍除隊後は主演映画「グランプリ」のOSTを歌うも、本格的な音楽活動再開は未知数。呼び名は「YDG」。
デビュー:2001年
代表曲:「路地」「青春」「俺は悪い」「犬を飼う」
主な受賞歴:2002年MBC演技大賞ネチズンが選ぶ今年のタレント賞
【チョPD】 「国民的ラッパー」!韓国ヒップホップブームの功労者
バークリー音大卒の音楽エリートで、韓国ヒップホップブームを牽引した人物の1人。デビュー前からネット上で注目を浴び、ファーストアルバムからヒットした。
インスニとのコラボ作「友よ」(2004)の爆発的ヒット後はコラボ作が多く、受賞も多数。自身のレーベルも設立している。
デビュー:1999年
代表曲:「Hold The Line」「友よ」「これ見よがしに」
主な受賞歴:2004年SBS歌謡大戦ヒップホップ部門賞
【ウン・ジウォン】 アイドルグループ出身!バラエティでも人気者
往年のアイドル「Sechs Kies(ジェクスキス)」のラップメンバー。解散後ラッパーとしてソロデビューし、2011年にはヒップホップグループ「クローバー」も結成した。子どもっぽいキャラクターがバラエティでヒットし、ついたあだ名が「ウン・チョディン(小学生の俗語)」。朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の血縁者でもある。
デビュー:2000年
代表曲:「Siren」「Dengerous」「酒の勢いで…」
主な受賞歴: 2003年コリアンミュージックアワードヒップホップ部門人気賞
【MCスナイパー】 アンダーグラウンド出身のラッパーからプロデューサーに!
アンダーグラウンドで大衆的なラップを披露するアーティストとして知名度を上げ、オーバーグラウンド進出後もヒット曲を多数生み出した。坂本龍一など他アーティストのフィーチャリングや、最近はドラマ「
チュノ~推奴~」などOSTも行っている。また自身のレーベルを設立しプロデューサーとして人材育成にも着手。
デビュー:2002年
代表曲:「For You」「BK Love」「ミンチョの乱(「チュノ~推奴~」OST)」
主な受賞歴: 特になし
これからは彼らの時代?ヒップホップ界のニュースター
ヒップホップジャンルではまだまだ「若手」ですが、K-POPシーン全体で見るとかなり「旬」という売れっ子ヒップホップアーティストもいます。さっそくご紹介しましょう!
【SUPREME TEAM】 彼奴らを知らねばスパイ!?ヒップホップ界の超新星
(左から)Simon D/1984年、E-Sens/1987年
アンダーグラウンド時代から有名アーティストのアルバムにフィーチャリングするほどのスターだった若手ヒップホップデュオ「SUPREME TEAM(スプリーム・チーム)」。その実力と人気に注目したDynamic Duoが自分たちのレーベルにスカウトしたことで、2009年にオーバーグラウンド進出を果たした。ファーストEPアルバムのタイトル曲「Supermagic」が新人にしては異例のヒットとなり、Mnetアジアンミュージックアワードで男性グループ新人賞を受賞。
その後放送活動と公演を活発に行ない、正規ファーストアルバム「Supremier」、リパッケージアルバム「Spin Off」、
Brown Eyed Soulのヨンジュンと共同製作した「Ames Room」などヒットを連発している。Simon D(サイモン・ドミニク)は「サムディ」の呼び名の方が有名。
【Mighty Mouth】 明るいポップチューン!新たな潮流を切り拓くヒップホップデュオ
(左から)237 AKA サンチュ/1982年、
SHORRY J/1982年
2008年、シングルアルバム「愛してる」でセンセーショナルなデビューを飾ったMighty Mouth(マイティ・マウス)。キャッチーなポップチューンのメロディラインに、軽快でさわやかなMCとゲストシンガーのヴォーカルがプラスし、ヒップホップが苦手な人でも聴きやすい、新しいパターンのヒップホップミュージックを発表している。
デビュー年にソウル歌謡大賞で新人賞を受賞後、移り変わりの早いK-POPトレンドに常に新鮮な風を吹き込んでいる。
【Outsider】 1秒に17音節!?韓国最高スピードを誇るマシンガンラッパー!
Outsider/1983年
2004年のファーストEPアルバム「Come Outsider」リリースから数百回ものステージをこなし、着実に実力と舞台感覚を磨き続けてきたOutsider(アウトサイダー)。2007年に正規ファーストアルバムをリリースするや、タイトル曲「男らしく」の超高速ラップが話題となり、瞬く間にK-POP界の注目を集めるようになった。
某CMで110ヶ国の国名を45秒間休まず吟じ、1秒間に17音節を吐き出すとしてギネスブックの記録も破っている。早くても詩を聴き取ることができる滑舌の良さが特徴で、今後の活動が注目されている1人。MCスナイパーの弟子でもある。
歴史を築いた大御所ヒップホッパーは、今も健在!
近年は明るいラブソングも多いヒップホップジャンルですが、韓国導入初期は社会的メッセージ性の強い詩が多く、韓国音楽界から警戒されていたと言います。当時の先駆け的アーティストたちは、放送禁止処分、未成年有害物のレッテルを貼られることもあったよう。しかし今なお独自のスタンスを維持しながら韓国音楽界で活動しています。ここで紹介する4組は日本への露出もあるため、「名前知ってる」という人もいるのでは?
【Drunken Tiger(タイガーJK)】 韓国ヒップホップ界の歴史を塗り替え続ける大物ラッパー
アメリカ移民のタイガーJKとDJシャインのデュオでデビューし、現在はタイガーJKのみがこの名で活動している。韓国に本場アメリカのヒップホップを浸透させた立役者の1人。
その独特のスタイルは、他アーティストへの影響力はもちろん、熱狂的なマニア層を獲得している。父は音楽評論家のソ・ビョンフ、妻はユン・ミレ(右の紹介欄参照)。
デビュー:1999年
代表曲:「俺はお前が欲しい」「Monster」「True Romance」
主な受賞歴:2010年ソウル歌謡大賞最高アルバム賞
【t(ユン・ミレ)】 韓国女性ラッパーの憧れ!大物女性シンガー
往年のヒップホップグループ「Uptown」出身で、韓国では珍しい女性ラッパーとして2001年にソロデビュー、並居る男性アーティストの中で成功している実力派の女性アーティスト。
ヒップホップとR&Bを主なジャンルとし、韓国女性ラッパーでユン・ミレの右に出るものはいないとされている。アメリカ生まれ。夫はタイガーJK。
デビュー:2001年
代表曲:「時が流れた後」「忘れたの…」「Baby Bye Bye」
主な受賞歴:2008年韓国大衆音楽賞最優秀R&B・ソウルソング賞
【ボビー・キム】 韓国ヒップホップ界のゴッドファーザー!
トランペット奏者の父の影響で、移民先アメリカでラップの実力を磨いた。韓国ではゲストラッパーとして活動後1998年にソロデビュー、2001年には「Buga Kingz」というグループを結成し、歌謡界に幅広いラップを伝導した。ソウルフルなヴォーカルで、R&Bでも大御所。「魔王」 「銭の戦争」などOSTも多く、日本公式ファンクラブもある。
デビュー:1998年
代表曲:「男らしく」「愛…そいつ」「一年を一日のように(「銭の戦争」OST)」
主な受賞歴:2011年ソウル歌謡大賞公演文化賞
【DJ DOC】 「K-POP界の悪ガキ」と呼ばれた不滅のヒップホップトリオ
90年代K-POPシーンを代表するDJ DOC(ディージェイ・ディーオーシー)。自由奔放なメッセージと耳に残るヒップホップダンスミュージックで若者から絶大な支持を得て、数多くのヒット曲を世に送り出した。軽快な夏ソングが多い。
また、その音楽スタイルとパフォーマンスからついたあだ名が「悪ガキ」。「DJ DOC」は「ディージェイ・ドック」とも呼ぶ。
デビュー:1999年
代表曲:「海辺に行こう」「DOCとダンスを」「Run To You」「俺はこういう人間だ」
主な受賞歴:2010年大韓民国芸能芸術賞新世代歌謡部門大賞
今月の人気アルバム
出典:HANTEO CHART
順位 |
歌手名 |
アルバム名 |
1 |
東方神起 |
「Keep Your Head Down:これだけは知っておいて」(リパッケージ) |
2 |
BIGBANG |
「4th Mini Album」(ミニアルバム4集) |
3 |
キム・ジュンス |
「君が恋しかった:Levay With Friends」(SRN) |
NaRoのおすすめK-POP
DJ DOC「DJ DOC BEST」
2010年夏、K-POPシーンの「悪ガキ」こと、DJ DOCが帰ってきました!みんなで汗だくになって盛り上がれる、そんなヒップホップソングを数多く輩出した伝説のグループです。2000年前後のK-POPシーンを知る方なら、カムバックの知らせにウズウズしたかもしれませんね。NaRoもそんな1人です。
7thアルバムタイトル曲「俺はこういう人間だ(ナ イロン サラミヤ)」も期待を裏切らないノリノリの曲で、年末歌謡祭ではアラサー同士で盛り上がったの何のって(笑) 恐ろしいことに6thアルバムから6年の沈黙を破ってのアルバムリリースですので(NaRoもまさか活動再開するとは思っていませんでした)、彼らの「武勇伝」をご存知ない方も、あるいはバラエティ番組を見てコメディアンだと思われていた方も多いかもしれません…。
そんな方には、こちらのベスト盤がおススメ!代表的なヒット曲が詰まっているので、「どんな人たちなのかしら?」と気になった方は、ぜひ一度聴いてみてください。また、MVやライブ動画も合わせて観ると、雰囲気がよく分かると思いますよ。
※一部歌手イメージは所属事務所およびEVAN RECORDSの提供によります。