ソウルの地下鉄の駅名にもなっている地名「乙支路(을지로・ウルチロ)」。英語では「Eulji-ro」と表記します。
繁華街・
明洞(ミョンドン)と
東大門(トンデムン)の中間に位置し、ソウル都心部を流れる「
清渓川(チョンゲチョン)」の南側エリアに広がります。もともと印刷・金属加工・工具店などが集まるローカルな町工場エリアでしたが、ソウル市の発展とともに町工場はソウルの郊外へと移転。現在、再開発工事が進行中で、古い町並みと新しい町並みが混在しています。

雑居ビルが集まる迷路のようなエリア
そんな乙支路は、韓国では「ニュートロ(뉴토로・ニュー&レトロの造語)」、トレンドを押さえた「HIP」な乙支路こと「HIP支路(힙지로・ヒッチロ)」などと呼ばれ、焼肉店・居酒屋が多く集まっているので夕方以降、ネオンが灯り、華やかな雰囲気になります。
東西に長い「乙支路」の中から、ちょうど中間地点にあたる「乙支路3街(ウルチロサムガ)駅」周辺の人気店舗・スポットをピックアップして紹介しましょう!
乙支路の由来
「乙支」とは、隋の煬帝と戦った高句麗時代の将軍・乙支文徳(ウルチムンドッ)が地名の由来になり、すぐ近くの「忠武路(チュンムロ)」も豊臣秀吉の朝鮮出兵で活躍した李舜臣(イ・スンシン)将軍のおくり名「忠武公」が元になるなど、この辺りは歴上の人物が地名の由来になりました。
「乙支路1街」から「乙支路7街」まである町名(〇街は、日本の〇丁目に該当)であると同時に大通りの名前でもあり、通りの下には、
地下鉄2号線の「乙支路入口(ウルチロイック)駅」、「乙支路3街(ウルチロサムガ)駅」、「乙支路4街(ウルチロサーガ)駅」があります。
行き方・アクセス

「乙支路3街駅」

「明洞聖堂」から徒歩圏内という近さ
また観光客に人気の
明洞(ミョンドン)のアクセス駅「乙支路入口駅」は2号線の隣駅で、「
明洞聖堂」までは約400メートルという近さ。乙支路3街から明洞へは歩ける人は、歩いた方が早い距離です。
乙支路3街駅の一帯に人通りが多くなるのは夕方以降です。
10番出口・11番出口の南側の雑居ビル街には、焼肉店や居酒屋が集まり、夜はとても華やかな雰囲気。古い雑居ビルをうまく活用した味わい深いインテリアのお店ばかりです。
新型コロナウイルスの規制緩和以降、日本を訪問する韓国人が急増したからなのか、日本によくある居酒屋をコンセプトとしたお店が増え、日本語の看板が目立つのも、このエリアの特徴です。また香港料理をモチーフとした居酒屋も多く中国語の表記も多め。東アジアが凝縮したかのような異国的な空間です。
<乙支路エリア街の地図>
「山清炭火ガーデン」(サンチョンスップルガドゥン)
故郷「山清(サンチョン)郡」の黒豚、炭、野菜など、地元の素材にこだわった焼肉店で、美味しい黒豚焼肉を求め、この辺りで最もウェイティングが長い人気店です。初回注文は黒豚のオギョプサル(五枚肉)とモクサル(肩~首肉)のセットメニューが定番。
「全州チッ」(チョンジュチッ)

移転後のお店の入口
左側の壁にはBTSメンバーの写真も

※移転前のお店
BTS(防弾少年団)のメンバーが、お店の前で「2021シーズングリーティング」を撮影して有名になった焼肉店です。お店は再開発の影響を受けて、このレトロ街に移転しましたが、当時の様子が感じられる門構えになっており、ファンが良く訪問します。
「乙支麦屋」(ウルチメゴッ)

ピンクで装飾されたビアホール

ピンク色のネオンが「乙支麦屋」です。
乙支路レトロ街の有名なネオン街を演出しているお店の1つで、種類も豊富なクラフトビールとピザが味わえるPUBです。この通りで記念写真を撮った後、そのまま店内に入ってビールを注文してみませんか?
「乙支OBベアー」(ウルチオービーベオ)

新店舗

かつてノガリ横丁にあった店舗
韓国で初となる生ビール店と知られる「OBベアー」。1980年にオープンし、低温発酵のラガービールが人気を博し、「
ノガリ横丁」を代表するパブの1つでした。「ノガリ横丁」一帯の再開発の影響を受けて閉店した後、「復活してほしい!」という声に応え、2024年2月末に9番出口付近に移転・再オープンしました。
<ノガリ横丁の今>

工事用のプレハブ小屋に囲まれた横丁
※2024年9月撮影
「ノガリ」とは「干し鱈(スケトウダラの稚魚の干物)」を指す韓国語で、「とにかく安く呑みたい」という層に支持されているおつまみです。
この安いノガリを中心としたおつまみを出すビアホール街が、通称「ノガリ横丁」で、乙支路3街駅の北側にあり一世風靡しました。
現在は再開発工事が進められているため、工事現場のプレハブ小屋で囲まれており、営業している店舗も1~2店舗のみ。かつてほどの勢いはなくなりました。
「青瓦屋」(チョンワオッ)
高級韓定食レストランのようなインテリアと、味わい深いスープが特徴のスンデクッパが食べられるお店で、ソウル市に数か所支店があります。11番出口すぐのところにあり、行列ができるウェイティング人気店なので、11番出口を出るなり、入店を待つたくさんのウェイティング客に出会う時間帯もあることでしょう。
「文化社」(ぶんかしゃ)

このビルの2階に上がると

こんなオシャレ空間が
乙支路・雑居ビルの空室を利用したカフェで、2017年にオープンしました。乙支路にはこのような雑居ビルカフェが増え、たくさんありますが、その先駆け的な存在で、店内ではフルーツサンドが味わえます。
「BOING」(ボーイング)

ここは空港ですか?

まるで機内のような店内
雑居ビルの2階にある航空機をコンセプトとした異色カフェで、お店の入口1階にある空港のフライトボードに目を奪われることでしょう。2階にある店内は機内を再現。座席の窓には滑走路や雲の中の映像が流れていたり、レシートが搭乗券だったりと、細部までこだわっています。
「花マッド汗蒸幕」
※女性専用
10番出口近くのビルの地下にある女性専用の汗蒸幕(ハンジュンマク)で、「マッド」という店名からも分かる通り、泥パックが人気。天然の泥はミネラルが豊富で、肌の保湿と毛穴の引き締め効果でスベスベ、ツルツルのお肌美人へ!
「乙支路3街駅」近くのおすすめホテル
この辺りはソウルの都心部の一等地なので、観光客の利用に良い観光ホテルからビジネスホテル、格安ホテルまで様々なランクのホテルが集まっています。
周辺にはこのようなレストランやカフェも多く、地下鉄駅も近いので、宿泊拠点に良いエリアです。
隣駅「乙支路4街駅」には何がある?

清渓川沿いからは、ドラマ「ヴィンチェンツォ」の舞台にもなった広場も確認できる
「乙支路3街駅」から東へ、東大門方面へ進むと「乙支路4街(ウルチロサーガ)駅」があります。
途中には、1970年代に完成した長くて大きな建物「
大林商店街(テリムサンガ)」があり、3階にはおしゃれなレストランやカフェが入店しています。
乙支路4街駅の南側には「
中部市場(チュンブ・シジャン)」という乾き物の購入に良い市場や、「
芳山(パンサン)総合市場」というお菓子の材料やラッピング包装の専門店が集まった市場があり、ローカルな雰囲気です。