ソルロンタン老舗店の味が明洞でも食べられる!牛骨や牛肉を窯に入れグツグツ煮込んだスープを、ご飯と一緒に味わうソルロンタン。韓国を代表するスープ料理の一つで、日本からの観光客にもファンの多い韓国料理です。ソルロンタンの有名店「以南場(イナムジャン)」の本店は、1974年にオープンした老舗店。昔ながらの伝統的な技法で48時間じっくり煮込み、濃厚かつマイルドで胃腸に優しい味わいは、50年以上もの間、地元の人や観光客に愛され続けてきました。そんな有名店が2021年、ソウルの人気繁華街・明洞(ミョンドン)に進出。観光客が利用しやすい立地で朝食、昼食、夕食どのタイミングでも食べられます。韓国ひとり旅でも気軽に利用できるほか、全メニュー・テイクアウトOKなので宿泊施設に持ち帰って味わう方もいます。
お店の特徴
1920年代のソルロンタンの味を再現
ソルロンタンは、古くから豊作祈願の
祭祀(チェサ)の際に一般の民に振舞われてきた料理ですが、朝鮮時代の終わりと共に祭祀が廃止され、1920年以降に牛の飼育数が増えると、ソウル(当時の名称を京城)でもソルロンタンを出す店舗が増え、庶民らの代表的な外食メニューになりました。
1950年代の朝鮮戦争の後はしばらくの間、外食が難しい時期が続きますが、1970年代からはじまる高度経済成長期に入ると外食産業が復活。ソルロンタンや
ジャージャー麺などが当時の人気外食メニューとなりました。

1階には創業当時の厨房を再現したコーナーも

真心を込めてじっくり煮込んだスープ
その1970年代に
乙支路(ウルチロ)の路地裏でオープンしたのが「
以南場(イナムジャン) 本店」です。かつて市民らが好んで食べていた1920年代のソルロンタンの伝統の味を復活させようと研究に研究を重ね、作り方にこだわりました。2021年にオープンした「明洞(ミョンドン)店」でも、本店と同じ伝統の味を守っています。
韓国の伝統が感じられるインテリア

1階の様子
「以南場」の「伝統」は味だけでなく「インテリア」にも反映。「お客さまに最高のおもてなしを」をモットーに、外国人観光客の多い明洞のお店では、店内を韓国の伝統家屋・
韓屋(ハノッ)の家を現代風にアレンジ。
1階の中央は中庭を、小高いカウンター席は楼閣を、壁側は離れをイメージしたものにするなど、韓国の伝統が感じられる雰囲気を演出。店内の装飾をバックに記念写真をとる観光客の姿もよく見かけます。

時代劇ドラマでも見かける、朝鮮時代の伝統的な帽子「カッ」をアレンジした照明

2階お手洗い前には、昔のミシンや韓服(ハンボッ・チマチョゴリ)のフォトスポットも

同じくお手洗い前には螺鈿漆器の展示も
人気メニュー
ソルロンタン 12,000ウォン

ソルロンタンのセット例
「以南場(イナムジャン)」のソルロンタンは、牛の各部位の骨はもちろん、牛胸肉、ともばら肉、肩ばら肉、ツラミ(頬)、タン(舌)、トガニ(牛膝軟骨)、牛足、筋などを真水で48時間ほどじっくり丁寧に煮込んで仕上げているのが特徴です。
煮込む前には各部位の衛生管理を徹底し、化学調味料を一切加えず、水と牛骨・牛肉だけで味を完成させます。
煮込んでいる途中で食材が窯に焦げ付かないよう、水量と火加減をこまめに調整しながら完成させたもので、1920年代の昔の味を知る人たちから、いつの間にやら「ソウル式ソルロンタンの元祖」と呼ばれるようになりました。

スープの中には肉、ご飯、素麺が入っています

お好みでネギを投入して味わうのが韓国式
ソルロンタンはご飯は別で運ばれたり、素麺は入っていなかったりと、お店ごとに中身が異なりますが、「以南場」ではスープの中にスライスされた牛肉、ご飯、素麺の3つが入ったものが運ばれてきます。お好みで刻みネギをスープの中に入れて頂きましょう。

(左上から)胡椒、塩、コチュジャン

キムチやカットゥギは食べやすい大きさにカット

キムチやカットゥギのお代わりはセルフサービス
ソルロンタンは、一般的に牛肉と牛骨だけを煮込んだものなので、いざ食べるとなると味が薄いと感じる方も多い料理です。そんな時は卓上の塩や胡椒をスープの中に入れて味を調整しましょう。ただし最初からたくさん入れてしまうと一気にしょっぱくなってしまうので、味の調整は少しずつ行いましょう。
なお付け合わせの、
キムチや
カットゥギ(カクテキとも)はおかずとして食べても、ソルロンタンのスープの中に入れて食べてもOKです。
牛ホルモンスープ(ネジャンタン) 12,000ウォン

牛ホルモンスープのセット例
ソルロンタンのスープに、ミノやセンマイ、ヒモ(コプチャン)といった
牛のホルモンの各部位がたくさん入ったスープご飯で、下処理がされているので匂いもほとんどなく、ホルモン好きにオススメ。
ソルロンタン同様にお肉の下にはご飯と素麺が入っていて、好みで刻みネギを入れ、塩や胡椒で味を調整しながら頂きます。
ぷりぷりとした食感のホルモンはスープご飯と一緒に味わっても良し。セットで運ばれてくる特製タレにつけて味わえば、噛めば噛むほど、より濃い味が口の中に広がります。

ホルモン、ご飯、素麺が入っています

ホルモンは特製タレに付けて
混ぜ冷麺(ビビンネンミョン) 12,000ウォン

冷麺と砂糖、からし、お酢
※スープは季節ごとに変わります
冷麺(ネンミョン)の麺は、蕎麦とじゃがいものでん粉を混ぜ合わせてもので、ほのかに蕎麦の香りが漂う一品。2種類あってピリ辛の混ぜ冷麺(ビビンネンミョン)と、水冷麺(ムルレンミョン)から選べます。
冷麺のだし汁はソルロンタンベースの物を使い、トッピングにはきゅうりなどの野菜の他に、牛胸肉、牛肩ばら肉、豚肉などを煮込んだものを軽く味つけしたものが乗っています。
冷麺を注文すると、砂糖・からし・お酢がセットで運ばれてくるので、好みにあわせて味を調整して味わいましょう。

ハサミでカットして

お箸でかき混ぜていきます
人気のサイドメニュー
茹で牛肉(スユッ) 大 60,000ウォン

スユッと特製タレ、おかず
スユッと言えば、豚肉を出すお店が多いですが「以南場」のスユッは牛肉を茹でたものになります。熱湯で茹でるとお肉の脂肪とナトリウムが落ち、脂身は少なくタンパク質多めに仕上がるので、ダイエットが気になる方でも安心して注文できます。
お肉は部位ごとに茹でる時間を変え、最もおいしく食べられる状態に茹で上げます。どの部位も厚切りですが、柔らかいのでハサミでカットしやすく、特製タレや付け合わせのおかず、キムチなどと一緒に食べると、ボリューム満点。
ビール、
焼酎、
マッコリといったお酒のおつまみにもピッタリで、ソルロンタンは注文せずに、スユッとお酒だけ注文する客もいます。

食べやすい大きさにカット

特製タレにつけて
ユッケ 大 40,000ウォン

ユッケ
牛肉専門店という特徴を活かし、日本からの観光客にも人気の
ユッケもメニューにあります。
運ばれて来たユッケは卵の黄身を崩して良くかき混ぜればOK。お好みで梨(千切り)やカイワレ大根、ワサビなどと一緒に頂きましょう。
お店の様子

お店入口
日本からの観光客にもお馴染みのエリア・
明洞(ミョンドン)にもオープンした「明洞店」。場所は繁華街の北側、
地下鉄2号線の乙支路入口(ウルチロイック)駅方面の「ハナ金融グループビル」の向かい側にあって訪問しやすい便利な立地です。
店舗の入口には本店と同じデザインの看板が掲げられ、店内は1階と2階の2フロア構成で、お手洗いは2階席の奥にあります。カウンター席、テーブル席、お座敷席、グループ席があり、韓国ひとり旅のおひとりさまからグループ旅行まで、どなたでも気軽に利用できます。
朝食、昼食、夕食どの時間帯でも全メニュー食べられますが、12時~13時のランチタイムは地元の会社員でやや混み合います。お食事はもちろん、中にはお酒とおつまみだけで利用される方まで幅広い客層に愛されている人気店です。

会計カウンターと、礼(禮)を尽くしておもてなしをするという意味が込められた装飾

お座敷席。無病息災を願う螺鈿細工が店内あらゆる所に並べられ、記念撮影をする客も

1階窓側席は、おひとりさまにも良いカウンター席

2階席へは階段で

広い2階席

2階にはパーティションで区切られたグループ席も完備