韓国で日本の統治時代についてどのように教育されているのか関心があり、現地に行けば現地でしか得られない情報があると思い、こちらの歴史館を訪ねました。
今回の釜山旅行前に森万佑子先生の中公新書「韓国併合・大韓帝国の成立から崩壊まで」を読みました。
歴史館は、正直言いますと森万佑子先生の新書ほどの情報はなく、拍子抜けしてしまいました。
最寄り駅から15分程歩き、かなり急な坂道をさらに10分歩いた上にようやく建物の入口が見えるという立地です。
私が訪問した時は海外からの団体旅行の方たちが観光バスに乗って見学に来ていました。

1階のイントロダクションの映像はもの悲しい音楽が流れる中、いわゆる、日帝時代の象徴的なできごとをサンドアニメーションで紹介。
エレベーターで上階の展示室に行くと、近年、日韓間で懸案とされていた徴用工について訴える文章が韓国語・英語・日本語で書かれていました。
日本語での詳細な説明は最初のこの一角だけで、ほかの展示はたった一行のタイトルがついてる程度で解説らしいものはほぼありませんでした。
歴史館を紹介するパンフレットのようなものは見当たりませんでした。

展示を見ているうちに、こう言ってしまうのは大変申し訳ないのですが、ここが国立の歴史館でありながらこんなにも内容が薄く、日本人にわかりづらい展示なのはなぜだろうと思えてきました。
6年前、私は中国・南京にある虐殺紀念館を訪れたことがありますが、そちらは全て日本語の解説がありました。このため、自国民はもちろんのこと、日本人に最も訴えたいことであるはずの内容が、日本人にわかりづらい展示になっていることが些か疑問でした。
それに対する自分なりの答えがタイトルの「国内向けの史料館」でした。

日本人が歴史をあまり勉強していない(学校で教えられていない)ことに近隣国からの批判がありますが、それに対する態度と歴史教育のあり方について考えさせられる訪問となりました。

利用時期：2023.04

韓国のための歴史館。
当日は午前中に鳩山氏が訪問したそうです。

日帝に強制連行され自由なく慰安所で働かされた少女のアニメがプロジェクター上映され、現地の親子連れも多く訪問しています。
一方で日本語で書かれた戦時中のノンフィクションの史料は一見の価値があります。
韓国の歴史感を知るには良い場所かと思いますが、戦後70年以上過ぎグローバルな時代にこのような施設が将来に渡り次世代を担う子供にどのような影響を与えるのか考えさせられます。

利用日：2019.10.12

■2017年8月31日(金)16:30訪問　無料

　日本語パンフレットは用意されており、サブタイトルとして「共に記憶し、広く伝えていく歴史館」とあります。
　日本人には耳の痛い内容もありますが、日韓関係を学ぶ一助となる博物館だと思います。

　いつも思うことですが、学生時代の日本の歴史教育って「近代史」が著しく乏しいと・・・・
　今の教科書はだいぶ違うのでしょうが、70年代に中学・高校を過ごした年代としては、「近代史欠乏症」です。
　縄文/弥生/古墳/飛鳥時代など古代は丁寧に、中世でやや盛り上がり、明治大正は駆け足となって、昭和に入る時点で３学期後半となり、はいおしまい・・・

　「世界恐慌～満州事変」から「太平洋戦争/戦後」は極めて薄い教育でした。朝鮮戦争やベトナム戦争については皆無に近い教育状況でした。

　そこで、学校教育以外の書籍/映像で知ることになるわけですが、特に日韓関係については、どちらかに偏る傾向があり、大人になってから実際に訪韓して各博物館に行ったり、韓国の友人に尋ねたりして検証することになります。

　実際に、戦争記念館、西大門刑務所歴史館、独島体験館（各ソウル）、独立記念館（天安）、仁川上陸作戦記念館（仁川）などを訪ねて、色々と勉強しているところです。

　場所は、地下鉄2号線213大淵駅から徒歩で15分～20分かかります。今回は釜山博物館とセットで訪問しました。
　
　大淵駅～釜山博物館は徒歩12～13分、釜山博物館～国立日帝強制動員歴史館は徒歩6～7分かかり、結構急坂を上ります。近くに釜山文化会館、隣は国連平和記念館があります。

　1階エレベーターで4階へ上がって下さい。中で5階に上がれます。都合２フロアがメインの展示スペースです。
　「いつでも最上階から下へ」の行動パターンの私たちは、「カフェテリア」表示のある7階へ上がってみましたが何もありません。
　んっ？そんじゃ次「マルチメディアルーム」とある6階へ。ここもなにも無し・・・・
　
　再度フロアガイドを確認すると、4階に「インフォメーション」がっ！気を取り直して、4階で日本語パンフレットを頂いて見学開始となりました。

　展示物の日本語説明はありませんが、ほぼ内容は理解できます。日帝時代の悲しい歴史が次々と・・・
　
　右とか左とかではありません。また、100％どちらかが正しいとも言い切れないと思います。但し、色々と見聞きして学ぶことは、お互いを知る良い機会で、自分自身で独自の歴史認識を作っていけると思います。

■日本語パンフレットから

　国立日帝強制動員歴史館は、日本によって行われた強制動員の惨状を国民に広く知らしめ、正しい歴史意識を鼓吹し、人権と世界平和に対する国民教育の場を提供することを目的に設立されました。
　植民地期に強制動員された人の約22％が慶尚道の出身であり、そのほとんどが釜山港を経て国外に動員されました。こうした歴史性を考慮したうえで、韓国政府は2008年9月、釜山に国立日帝強制動員歴史館の設立を確定しました。

　国立日帝強制動員歴史館は、522億ウォンの事業費を投じ、75,465㎡の敷地に地上７階、施設面積12,062㎡という規模で2015年12月10日に会館しました。歴史館には強制動員当事者の手記・写真・所持品など、多くの遺物が展示されています。