江原道の道庁所在地である春川市の「国立春川博物館」には、江原道の人々の生活に関する展示室があります。
読み書きのできない人々が土地の売買を行なう際のサイン代わりに使われた「手形(手の輪郭を筆でなぞっただけのような、楽勝で偽造できそうなもので他人事ながら心配になりましたが)」、植民地時代に制作された観光写真ハガキ(日本語です)などの資料、この地方独特の家具や冠婚葬祭道具も面白いのですが、韓国の他都市の博物館であまり見たことがないのが、スキー、ソリ、かんじき等の「積雪時用
の道具」です。冬季五輪開催予定地・平昌を抱える地域ならではの展示物といえましょう。
6月25日直前の訪問だったためか、特別展示室では「朝鮮戦争と東部戦線」展が開催中でした。
写真資料は、5月中旬にソウルの歴史博物館で見た「AP通信が見た激動期のソウル」と同じものも多かったですが、韓国軍・北朝鮮軍それぞれの軍服や兵器の比較展示(北朝鮮軍の装備は社会主義っぽい)などあって、興味深いものでした。
この博物館、美術品や歴史資料を展示するだけでなく、文化施設としても活用されているようです。うす暗い2階の展示室で朝鮮戦争の資料を見ていたら、突然「フニックリ フニックラ フニックリ フニックラ~♪」という男声が響きわたり
室外に出てみると、1階ではその日の夕方に開催予定らしき合唱コンサートの練習中でした。
「地方都市の博物館にしては観覧者がいるな。しかも若者が多いし」と驚いていたのですが、観覧者だと私が思っていた人々の大半は、じつはコンサート関係者だったような気も
市街地中心部ではなく、複数の大学に囲まれた丘の上という感じで、訪ねるにはさほど便利なところではないのですが、春川でゆっくりできる時間のある方はぜひ。