飛揚島

済州島北西部の翰林(ハルリム)地区、透明で美しいコバルトブルーの海が広がる挟才(ヒョプチェ)海岸に浮かぶ飛揚島(ピヤンド)は、飛んできた島という意味を持つ小島です。二つの噴火口を持つほぼ円形の火山島で、島の中央に高さ114mの噴石丘である飛揚峰(ピヤンボン)を抱き、噴火口近くには、冬に一見カイガラムシがついたような奇妙な実をつけることで知られるイワガネの群落地があり、市道指定文化財のひとつである済州記念物第48号に指定されています。

約千年前の火山爆発によってできた飛揚島では、天然記念物第439号に指定されているホーニトと呼ばれるハチの巣のような形をした隆起物を見ることができます。ホーニトは火山が噴出した溶岩が作り出したもので、韓国では飛揚島でのみ見ることができる自然の産物です。飛揚島民の間ではホーニトにお祈りをすると赤ちゃんを授かるという言い伝えがあり、｢赤ちゃんをおぶっている石｣とも呼ばれています。

飛揚島へは翰林港から１日３回運航している小型旅客船を利用します。乗船時間は約15分。島の南側の土地は平坦で、150名ほどの島民が暮らす集落が形成されています。島周辺には約80種類の魚や海藻類が生息しており、煮干しや太刀魚が特産物として知られ、夏は多くの釣り客でにぎわいます。島には島内を一周できる道路が整備され、1時間30分あれば歩いて回ることが可能です。また、港から飛揚峰の灯台までは約30分のハイキングコースとなっており、頂上からは360度の大パノラマが楽しめ、天気のよい日には漢拏山(ハルラサン)も見渡せます。一年中花の咲き乱れる翰林公園(ハルリムコンウォン)、美しい海が広がる挟才海水浴場と合わせて訪れれば、済州島が｢南国のリゾート｣たる所以を肌で感じることができるでしょう。