東洋の伝統衣装など刺繍作品を展示

「淑明女子大学校鄭英陽刺繍博物館」は、淑明(スンミョン)女子大学構内に2004年に開館した織物および刺繍専門の博物館です。長年アメリカにおいて刺繍芸術家・研究者として活躍してきた、鄭英陽(チョン・ヨンヤン)館長が40余年にわたって収集した約800点の東洋の刺繍作品を所蔵しています。

博物館のある淑明女子大学はソウル駅のお隣、地下鉄４号線淑大入口(スッテイック)駅から徒歩12分のところにあります。地下鉄６号線孝昌公園前(ヒョチャンコンウォンアッ)駅からもアクセスできますが、いずれもゆるやかな坂道を歩くため、孝昌公園前駅からバスを利用すると便利です。大学の周辺は、女子大らしくカフェや飲食店が集まる学生街となっており、散策がてら女子大周辺の雰囲気を味わうのも楽しそうです。

◀博物館がある第２創学キャンパスの正門

～鄭英陽(チョン・ヨンヤン)館長の略歴～

「淑明女子大学校鄭英陽刺繍博物館」の鄭英陽(チョン・ヨンヤン)館長は、韓国において「国際刺繍学校」や、国内最初の女性のための刺繍教育機関を設立するなど、女性の手仕事である刺繍の大衆化や人材育成に努めてきました。その後、アメリカに渡りニューヨーク大学で博士号を取得するなど研究者として多くの著書を残すと同時に、刺繍芸術家としても活躍。2004年に、自身のコレクションを寄付する形で開館した「淑明女子大学校鄭英陽刺繍博物館」では、刺繍文化の保存や普及のための講義やワークショップなど様々な教育的活動も行なっています。

◀鄭英陽館長の作品「鯉図屏風」

展示品を紹介

常設展示品は約60点以上。中国を中心に韓国や日本など東洋の刺繍作品が展示されており、１年に１～２回ほど展示品の交代が行なわれます。中国の官服として皇帝や皇族が着る龍袍（りゅうほう）など、東洋の伝統衣装をはじめ、胸や背につける胸背（ヒュンベ）や帽子などの装飾品があります。そのほか、所蔵品または外部の貸出品による企画展示会も不定期で行なわれます。




着物 (左)白色丹風紋打掛、(右)紅色鶴紋打掛＜日本・江戸時代＞	礼服＜オスマントルコ・19世紀＞	皇太子龍袍＜中国・清代＞




礼式用の甲冑（かっちゅう）＜中国・清代＞	女性用衣装＜モンゴル・19世紀＞	婚礼服＜中国・清代＞

装飾品



子ども用の帽子＜中国・清代＞	胸背（龍匊節日補子）＜中国・清代＞	象模様の装身具＜中国・清代＞

刺繍教室やワークショップも

博物館としては小規模ながら、歴史的に価値の高い東洋の貴重な刺繍作品を鑑賞できる「淑明女子大学校鄭英陽刺繍博物館」。展示のみならず、韓国伝統の刺繍やキルトの教室、不定期でワークショップなども開かれています(韓国語のみ、HP参照)。人々の祈りや情緒が込められた刺繍作品にぜひ触れてみてはいかがでしょうか？

淑明女子大学校 鄭英陽刺繍博物館

淑明女子大学校 鄭英陽刺繍博物館

淑明女子大学校鄭英陽刺繍博物館

淑明女子大学校鄭英陽刺繍博物館