深川(シムチョン)駅は、
忠清北道(チュンチョンプット)永同(ヨンドン)郡深川面(シムチョンミョン)にあり、ソウルと釜山(プサン)を結ぶ京釜線(キョンブソン)の駅のひとつです。1905年1月1日、京釜線開通と同時に簡易駅として開業した深川駅は、1934年9月に新築移転。現在もなお当時の面影をそのまま残しており、2006年12月に登録文化財第297号に指定されています。
こぢんまりとした駅舎は、切妻屋根(四角い建物の上に三角の屋根がついたもの)の木造平屋建てで、外壁はコンクリート。目を引くのが駅入口部分の高い三角屋根と、リズミカルに並んだ3つの縦長の窓。緑色の瓦屋根も駅舎全体をすっきりと見せています。駅のホーム側には日よけ用の屋根があり、こちらも木造です。待合室はパステルカラーで統一、人々が長いベンチに座ってゆったりと列車を待っています。駅には1日に上下線合わせて7本の列車が止まり、周辺に住む人々の重要な交通手段となっています。
永同は有名なぶどうの産地。秋にはぶどう祭りも開かれます。ぶどう畑を舞台にしたKBSドラマ「
ぶどう畑のあの男(2006)」では、主演のオ・マンソク、ユン・ウネのキスシーンなどに深川駅が登場します。ゆったりとした時間の流れる駅舎と周辺の風景をカメラに収めようと、わざわざ足を運ぶ観光客も多く、週末はにぎやかになるといいます。どこか郷愁を誘う深川駅、今まで行き来してきた人々の足音がどこからか聞こえてくるようです。