全羅南道(チョルラナムド)・麗水(ヨス)市の北部にそびえる山「霊鷲山(ヨンチュィサン)」の西側登山道入口に位置するお寺「興国寺(フングッサ)」。韓国の最大仏教宗派である曹渓宗(チョゲジョン)の第19教区末寺で、興国という寺の名前からわかるように国の繁栄を祈願するため1195年、普照国師(ポジョクッサ)によって創建されました。韓国の南海岸らしい大らかな雰囲気が漂うこの寺の入口にあるのが「宝物 第563号」の「虹橋(ホンギョ)」です。

長さ11.8メートル、高さ5.5メートルで、アーチ形の石橋としては韓国最大のものです。1639年、戒特大師(ケトゥッデサ)が築造し、美しい虹を思わせる姿から「虹橋(ホンギョ)」と名づけられたと言われています。約86個の花崗岩を絶妙に積み上げた輪石 (アーチを構成する基礎の石)がしっかりと橋を支え、橋の両側面は乱れ積み(自然石をそのまま不規則に積み上げること)で仕上げてあります。要石(アーチの最高部にある輪石)の両脇には、鬼面像(クィミョンサン)という鬼の顔を彫刻したヨンモリ(龍の頭)と呼ばれる装飾が施してあります。これは厄運を追い払い、橋を渡る人々の安全を願うためのもので、素朴な表情が特徴です。

「興国寺」には「虹橋」を含め「大雄殿(宝物 第396号)」、「大雄殿 後仏幀画(宝物 第578号)」など９点の「宝物」のほか、多くの文化財があります。また「霊鷲山」はチンダルレ(山ツツジ)の群落地として知られており、４月になると約１ヶ月間チンダルレで山全体が淡いピンク色に染まり、この時期に開かれる霊鷲山ツツジ祭りには、多くの観光客が訪れます。