歴史都市である
慶州(キョンジュ)市の中心から約20キロメートル離れた郊外、「心を洗う」という意味を持つ洗心(セシム)マウルに位置する玉山書院(オッサンソウォン)。朝鮮王朝時代後期、
興宣大院君(フンソンデウォングン、1820~1898年)による書院撤廃令を免れた47の書院のうちのひとつで、史跡第154号に指定されています。
16世紀、儒学の一派である性理学の先駆を成した李彦迪(イ・ウォンジョッ、1491~1553年)の学徳を称えるため廟が建てられましたが、後に朝鮮王朝時代の第14代王、宣祖(ソンジョ、1552~1608)より玉山書院という扁額を下賜された儒学者養成機関です。
玉山書院内の扁額の字は、李彦迪を先生と呼んでいた儒教の大家、韓国の1,000ウォン札紙幣でおなじみの
退渓李滉(テゲイファン) 、書家韓石峰(ハン・ソッポン)や書芸家金正喜(キム・ジョンヒ)らの筆によるものです。他にも名筆が書いた懸板があるので探してみるとよいでしょう。
書院近くには洗心台(セシムデ)をはじめ、観魚台(クァンオデ)、澄心台(チンシムデ)、濯纓台(タギョンデ)、詠帰台(ヨングィデ) と呼ばれる岩があり、美しい景観を作っています。紫玉山(チャオッサン)から流れてくる清らかな水音は、来る者の心を癒します。なお、無辺楼(ムビョンル)の2階からは、渓谷の美しい景色を眺めることができます。
玉山書院から北に約700メートル離れたところには、李彦迪が俗世を離れ隠遁生活を送った古宅である独楽堂(トンナッタン)があります。また、慶州市の江東面(カンドンミョン)に位置する伝統民俗村である
良洞村(ヤンドンマウル) も比較的近いので、足をのばして訪れることをおすすめします。