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朝鮮半島は南北の気温差が激しいことから、多様な種類の森林が形成され、韓国ではこうした森林資源を活用した、シンプルで素朴な木工芸品が数多く生み出されてきました。魔よけやお守りの意味が込められた置物や装飾小物、家具など芸術性の高い工芸品があり、お土産としても人気です。 |
木彫りの仮面であるタルは、 仮面劇(タルチュム)と呼ばれる伝統芸能で使われてきたもので、ユーモラスな造形美は装飾品としても人気です。仮面は主に人間の顔を表現したもの。登場人物の姿や込められた意味によってその表情は異なりますが、人物の姿を象徴的に表すために、目や鼻、口を誇張し濃い彩色を施しています。特に、タルのなかで代表的なものは、慶尚北道(キョンサンプット)・安東(アンドン)地方の河回(ハフェ)地域で発展した河回タル。口元の部分から上下に二つに分かれているのが特徴です。観光地の土産店などでは、河回タルをモチーフにしたキーホルダーやバッチなどがよく販売されています。 |
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ユーモラスな表情が魅力のタル |
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国宝第121号に指定された河回タル |
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河回タルのモチーフがついたループタイ |
古来より人々の日常生活に息づいてきた木工芸品には、チャンスンや雁の置物があります。チャンスンは、 厄病や悪鬼を追い払うため村の入口に守護神として置かれた男女一対の木像です。胴体部分には「天下大将軍」や「地下女将軍」と刻まれてあり、おどけたような表情がユーモラスな印象を与えます。ミニチュアの置物は土産店で気軽に購入できます。雁の置物は夫婦円満の象徴として、伝統婚礼式では一対で飾られ、贈り物としても人気です。 |
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村の守護神であるチャンスン |
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夫婦円満の象徴である雁の置物 |
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朝鮮時代より土葬の文化が残る韓国で、死者を運ぶ輿(こし)である喪輿(サンヨ)の装飾品として使われた木彫りの人形を木人(モギン)といいます。虎や馬に乗った人物像や龍や鳳凰など、多様な形の木人は 死者が寂しくないように送り出す思いやりと同時に魔よけの意味などを込めて飾りました。現在残っているものは朝鮮時代後期以降に製作されたもので、博物館などで鑑賞することができます。 伝統葬礼具の木人 |