穏やかな乳白色と滑らかな曲線をもつ韓国伝統の焼き物・白磁。今から100年前、白磁に惹かれ、またそれを生み出す朝鮮半島の自然と文化を愛した日本人をご存知でしょうか。
浅川巧(1891-1931)は、日本支配下にあった朝鮮半島で技師として林業に従事。緑を戻そうと山々を歩くと同時に、白磁をはじめ朝鮮の民衆工芸の良さを見出しました。彼の人生を描いた日韓共同制作映画「道─白磁の人」が、さきごろ日本と韓国で公開されました。
キャストも日韓気鋭の俳優たち。主演の吉沢悠は、かつての浅川のように韓国語の会話も披露。彼と運命を分け合った李青林(イ・チョンニム)は、韓国ドラマ「トンイ」などで人気のペ・スビン(写真)が演じています。
映画や原作の小説の影響で、日本からの訪問客が増えたといわれる場所があります。それがソウル市の端、忘憂里(マンウリ)に位置する浅川巧の墓。緑に囲まれた共同墓地の一画に、ひっそりと佇んでいます。
現地の暮らしに馴染もうと努力し、人々にも親しまれたという浅川巧。墓前には職場であった林業試験場の現地職員による碑文がたてられています。彼の歩んだ道からは、時代を超えて響くものがみつかるかもしれません。
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