美味しいお昼を食べたのか、満足そうな表情のおじさん。色とりどりの看板が林立するこの路地、何か旨いものに巡り合えそうな雰囲気がしませんか?
ここは、ピマッコル(「避馬通り」の意味)と呼ばれる昔ながらの路地。朝鮮時代、王様などの偉い人が大通りを馬で通る際、庶民がそれを避けるために入ったという小道なのです。そして現在、ピマッコルは美味しいお店が立ち並ぶ旨いもん横丁として親しまれています。
そんな昔ながらの古き良き韓国を伝えてくれるピマッコルですが、実はいま、存亡の危機に立たされているのです。再開発のあおりで、この一帯に20階を越える高層建築の計画が着々と進行しているのです。
お店のオヤジさんは向かいを見上げて、つぶやきます。「もう十分に高い建物ならあるだろう。初めて高層ビルが建ったときにはワシらには空がなくなったと思ったが、今度は立ち退かされて、大地すらもなくなるとはなぁ」
そう、周りはオフィス街でもあり、少し見渡せば、高層建築はピマッコルを包囲しています。「経済発展に高層ビルは必要かもしれないけど、ここを潰してしまったら昔ながらの庶民情緒が永遠に失われてしまうよ」 そんな思いを寄せる人もたくさんいるはず。
食事時には、手際よくオーダーをまわすお店の人の元気な声で賑わうピマッコル、なくしてしまうには、あまりに惜しいもの。これからもずっと、こんな笑顔と旨いものを楽しめるように、何とか残してほしいものです。
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