韓国の国宝1号・崇礼門(スンネムン)―。「南大門(ナンデムン)」の別名で親しまれ、600年以上もソウルとともにあった、ソウル最古の木造建築物。その崇礼門が、2008年2月10日の夜、なんと「全焼」―。あまりに突然、むごすぎる最期を迎えてしまいました。
火災の原因についてはさまざまな噂が飛び交っていますが、目撃者の証言から、警察は放火説が有力と見ているようです。一方、国宝1号の文化財に対して「入ろうと思えば入れる」ような防犯・安全対策の至らなさ、不手際な消火作業ぶりが、警察や消防署、文化財庁への批判を招いてもいます。
「大韓民国の自尊心が崩れた」「胸が痛い」「あり得ないこと」―。わずか5時間で、無残にも黒い炭の塊となってしまった600年の歴史。残骸の隙間を、冷たい風が吹き抜けます。
「国宝1号が崩れるなんて―」愕然とし呆然とするしかない韓国国民たち。若者ももちろんですが、とくに半生をともにしてきた年配の方たちの精神的衝撃はいかほどでしょうか。復元は技術的には何年かで可能ということですが、人々の心の衝撃は修復が難しいでしょう。
火災現場、そして焼け跡には、心配した多くの人々が駆けつけました。しかし崇礼門は周りから隔離され、一般人は近寄れないので遠巻きに見守るしかありません。
ソウルの「顔」として、韓国人だけでなく外国人にも親しまれてきた崇礼門。こんなことが起こるとは、誰が予想したでしょうか…。炎上の真相究明を、ただただ待つばかりです。 ありし日の崇礼門を見る
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