【社説】今度は安養市が１００階ビル？

地方自治体の豪華庁舎建設競争は空の果てまで続くのだろうか。今度は京畿道（キョンギド）安養市（アニャンシ）が「世界最高・最大庁舎」を建設するという野心に満ちた計画を発表した。２兆ウォン（約１５００億円）を投じてなんと１００階超の高層庁舎を建設するということだ。‘豪華版宮殿’という非難を浴びた京畿道の城南市（ソンナムシ）と竜仁市（ヨンインシ）が色あせるほどだ。

李弼雲（イ・ピルゥン）安養市長は先日の記者会見で、２０１４年に着工し、２０１８年までに１００階以上の超高層複合ビルを建設し、庁舎・市議会、ビジネスセンター、コンベンションセンター、ホテル、文化空間として活用すると発表した。予想される事業費２兆２３４９億ウォンは建物の一定部分を住居用として分譲し、国内外の民間資本を集めるという。

安養市はまだ１４年しか経っていない現在の庁舎（地下２階、地上８階）を解体するという。このビルにかかった建築費６３９億ウォンが蒸発するということだ。財政自立度６５％の安養市は７１０億ウォンの莫大な負債を抱えている。住民の血税をこのように浪費してもかまわないのか尋ねたい。

実現の可能性も疑問だ。現在、市庁の向かい側にある４７階建て住商複合ビルにも空き室がある状況で、どの投資家が人口６１万人の中小都市に建築費１兆５０００億ウォンという天文学的な資金を注ぎ込むだろうか。李市長が明らかにした経済効果も全く検証されていない。新庁舎が完成すれば一日５万人の流動人口、５年間に３４７０億ウォンの財政収入が生じると推定したが、これは１００階建てビルを建設した場合に得られる通常的な期待値を単純計算したものにすぎない。

このため本気かどうかという点から疑われる。今年は６月２日に地方選挙がある。李市長の残りの任期は６カ月しかない。事業の性格や規模からみると、現時点で発表すること自体が適切でない。再選を狙った選挙用アドバルーンという指摘が出ている。

地方自治体の首長にお願いしたい。豪華版庁舎のような外形競争でなく現場の民生を重視した内実競争に率先してほしい。中央政府レベルでも交付金支給中断などで豪華庁舎競争に制約を加える必要がある。