韓国「シンクホール通報のほとんどが『ポットホール』」…713件に711件が誤通報

ソウル永登浦区（ヨンドゥンポグ）に住む会社員のソンさん（２７）は、運転中に道路の亀裂による衝撃で、ドライブレコーダーの通知が鳴るたびに胸をなでおろす。ソさんは「以前は大したことではないように見過ごしたが、明逸洞シンクホール事故以降、関連ニュースを聞いてシンクホールに関心が大きくなった」として「ソウル都心は混雑して車を止めて道路状態を綿密に注意することも難しいが、アスファルトのあちこちに亀裂が見えて不安だ」と話した。

「シンクホール恐怖症」によって市民の誤通報が急増したことが分かった。共に民主党のヤン・ブナム議員室に消防庁が提出した資料によると、ソウル江東区明逸洞（カンドング・ミョンイルドン）のシンクホールが発生した先月２４日から今月１７日まで全国で受け付けられたシンクホール関連通報は１２４件で、昨年同期（２２件）に比べて約６倍増加した。このうち３３件は、ポットホール（道路の凹み）などをシンクホールと誤認したものだった。全体のシンクホール通報４件のうち１件は誤通報だったわけだ。

行政安全部、安全申聞鼓などに受け付けられる通報まで含めれば、数値はさらに増える。ソウル市によると、先月２４日から今月１７日まで受け付けられたシンクホール関連の通報件数は７１３件に達し、このうち実際にシンクホールと確認された事例は２件にとどまった。残りの７１１件は誤通報だった。同期間、安全申聞鼓に「シンクホール」という言葉が含まれた掲示件数も６３７件で、昨年（３３７件）より約２倍増加した。

代表的なシンクホールの誤通報タイプは、ポットホール、老朽化したアスファルトの破損、マンホール蓋の離脱、歩道ブロックの脱落などがあった。ポットホールは地下に空いた空間ができて急に地面が崩れるシンクホールとは異なり、道路表面だけが凹んだ小さな穴をいう。シンクホールが大型人命被害につながりかねない反面、ポットホールは比較的に浅く小さいため、車の破損にとどまる場合が多い。

消防庁関係者は「シンクホール発生通報を受けて出動してみると、ほとんどがポットホール」とし「４日には水原（スウォン）で道路のアスコン（アスファルト舗装）が剥がれているのを見て市民がシンクホールと誤通報し、区役所担当に引き渡したことがある」と話した。

延世（ヨンセ）大学土木環境工学科のチョ・ウォンチョル名誉教授は「シンクホールは地盤が下に脱落することであり、ポットホールはアスファルトが割れて上に上がったり横に散らばったりする、力学的に正反対の現象」とし「シンクホールは車が通る時に道路が揺れることを肉眼でも分かる」と説明した。

専門家は市民の不安を根本的に解消するためには、「地中地図」を精密に作り、シンクホールの発生原因を明確に糾明しなければならないと指摘する。関東（クァンドン）大学土木工学科のパク・チャングン教授は「シンクホールは地下工事などで発生する明白な人材」とし「ソウル市は責任回避に汲々とするのではなく、原因究明と妥当な対策を立てて市民の信頼を得る必要がある」と指摘した。

ソウル市立大学土木工学科のイ・スゴン元教授は「土木が工法を使って工事する外科医のような役割を果たすとすれば、地質はレントゲンや血液検査を担当する内科医に比喩することができる」として「わが国は、土木技術は世界的な水準だが、人件費削減を理由に地質調査を疎かにする構造的問題がシンクホールにつながっている」と指摘した。また「トンネル・地下鉄など開発だけに没頭するのではなく、今からでも市直属で公務員を体系的に支援する研究組織が必要だ」と指摘した。