韓国マンション団地に現れたシカの群れ…住民「人を攻撃するのではないか怖い」

全羅南道順天市（チョルラナムド・スンチョンシ）のマンション団地の内外に角のついたシカが出没し、住民たちが不安を訴えている。

１７日、順天市によると、最近、インターネットコミュニティとソーシャル・ネットワーキング・サービス（ＳＮＳ）に、竜塘洞（ヨンダンドン）のあるマンションで、シカが走り回る動画や画像が出回っている。「順天のあるマンション団地の近況」というタイトルの掲示文には烽火山（ポンファサン）の下に位置したマンションに大きな角がついたシカが群れをなして歩き回っている様子が紹介された。

ネットユーザーは該当掲示文に賛否のコメントを残し、高い関心を示している。「やはり生態首都の順天」というコメントから「水原（スウォン）・広橋（クァンギョ）のニホンジカ事件を忘れたのか」「子供たちが下校時にシカの群れに遭遇したと思えば怖い」などの反応もあふれている。

順天市によると、シカの群れは烽火山周辺をのんびりと歩き回ったり、近くの東川（トンチョン）まで降りてきたりする。一部の市民の間では「トゥルレキル（散策路）を歩いていると、運が良ければシカにも会える」という肯定的な反応も出ている。

反面、多くのネットユーザーは「市民の安全に脅威になるだけに、対策を立ててほしい」というコメントを書き込んでいる。ニホンジカは普段はおとなしいが、交尾時期（１０～１月）には攻撃的な行動を見せるからだ。

これに先立って昨年１１月、京畿道（キョンギド）水原ではシカが市民２人を襲い、重軽傷を負わせた。順天でも２０２３年４月、烽火山付近でシカが暴れて出動した消防隊員が肩などに負傷した。「シカが近くの車道まで降りてきてロードキルが懸念される」という声も出ている。

烽火山一帯のシカは２０１０年代初め、朝礼洞（チョレドン）のシカ農場から脱出した４頭が繁殖し、群れをなすことになった。　シカは朝礼洞と竜塘洞一帯を中心に個体数を増やし、現在は６０～７０頭（推定）が生息中だ。

順天市はフェンスの設置やシカへの餌やりなどの対策作りに苦心している。畜産物衛生管理法上、シカは野生動物ではなく家畜に分類され、深刻な農作物への被害などを与えなければ捕獲・殺傷が不可能であるためだ。家畜は決まった屠畜の手続きに従わなければならず、動物保護法によって狩りも不可能だ。シカの増加の根本原因である繁殖そのものを防ぐことも難しく、順天市は環境部と動物団体などと協議を進めている。順天市関係者は「現行法上、シカによる苦情が寄せられても救助した後、再び放生する方法以外には明確な対策がない状況」とし「万が一の事故に備えて環境部などとの協議を通じて正確な個体数の把握と管理方法を講じている」と話した。