現実になった極限豪雨と日照り…韓国、気候対応ダム１４カ所に作る

極限豪雨と日照りに備えるため韓国政府が１４カ所に気候対応ダム建設を推進する。国の主導で新規ダム建設が推進されるのは２０１０年の普賢山多目的ダムの着工から１４年ぶりだ。

韓国環境部の金琓燮（キム・ワンソプ）長官は３０日に会見し、ダム建設候補地１４カ所を発表した。▽江原道楊口郡（カンウォンド・ヤンググン）の水入川（スイプチョン）多目的ダムなど漢江（ハンガン）圏域４カ所▽慶尚北道醴泉郡（キョンサンブクド・イェチョングン）の竜頭川（ヨンドゥチョン）洪水調節ダムなど洛東江（ナクトンガン）圏域６カ所▽忠清南道青陽郡（チュンチョンナムド・チョンヤングン）の之川（チチョン）多目的ダムの錦江（クムガン）圏域１カ所▽全羅南道和順郡（チョンラナムド・ファスングン）の同福川（トンボクチョン）用水専用ダムなど栄山江（ヨンサンガン）・蟾津江（ソンジンカン）圏域３カ所だ。

金長官は、「最近極限豪雨被害が増加し、昨年は南部地方で気象観測以来最も長い２２７日間の日照りが発生した」とし、ダム建設を通じて一度に８０～２２０ミリの雨が降っても防御できる洪水調節能力と２２０万人が使用できる年間２．５億トンの水供給能力を確保するのが目標だと明らかにした。

１４カ所の候補地のうち最も規模が大きいのは漢江圏域の水入川多目的ダムだ。総貯水容量が１億トンで、１日７０万人に供給する飲料水を貯蔵できる。民間人立ち入り統制線とＤＭＺの間に建設され、ダム建設により水没される民間家屋は１戸もないと環境部は明らかにした。

環境部はダム建設の効果について「慶尚北道浦項（ポハン）の冷川（ネンチョン）上流に恒沙（ハンサ）ダムが建設されていたなら２０２２年の台風１１号の被害を予防できた」と明らかにした。また「全羅南道和順郡に用水専用ダムがあったなら昨年南部地方最悪の日照りの時に住岩（チュアム）ダムの用水供給状況は『深刻』ではなく『注意』の段階にとどまっただろう」とした。

環境部は８月から地域説明会と公聴会などを経て、ダム建設が確定すれば後続手続きを進め、早ければ２０２７年に着工する計画だ。金長官は「ダム建設はいま始めても１０年ほど必要となる。最近の気候危機を考慮するとさらに遅らせる余裕はない」と強調した。

だが環境団体は反発している。錦江や洛東江の堰撤去を求めている市民団体で室長を務めるイム・ドフン氏は、「日照りなどの被害が起きるのは川の本流ではなく海岸や島しょ地域。実効性のない大規模土木建設事業が進められないか懸念される」と話した。別の市民団体関係者も「予測不可能な最近の豪雨を防止するためにはダム建設ではなく、堤防補強と都市計画を立て直すパラダイム変化が必要だ」と主張した。

◇気象庁「事実梅雨明け」＝韓国気象庁はこの日、「２７日を最後に全国が梅雨明けした」と明らかにした。今年の梅雨は先月１９日に済州（チェジュ）から始まり１カ月以上続いた。梅雨明け後は体感温度が４０度まで上がる猛暑が次第に強まるものとみられる。気象庁のキム・ヨンジュン予報分析官は「昼の気温が３６度以上と平年をはるかに上回る日々が続くと予想される。熱帯夜になる地域もますます増加するだろう」と明らかにした。