韓国、「不況型貸付」急増…カードローン延滞率3.4％で10年来の高水準

ソウル・江南区（カンナムグ）で４年にわたり惣菜店を運営するカンさんは最近カードローンで２０００万ウォン（約２３０万円）を借り入れた。昨年ある銀行ですでに事業者向け融資を受けたが、売り上げ不振が続きカードローンにまで手を出したのだ。カンさんは「他の借入ができずやむを得ずカードローンを使った。元金と利子を合わせて毎月約１００万ウォンずつ返済しているが利率が高く、商売が振るわない時は何度も延滞した」とため息をついた。

高物価と高金利にともなう景気悪化が長期化しカードローンと保険約款貸付に代表される「不況型貸付」が増加している。最近銀行のキャッシングサービスとカードローンの延滞率まで１０年ぶりの高水準に上がるなど借主の憂いが大きくなっている。

韓国与信金融協会が２９日に明らかにしたところによると、中低信用者などが集まるカードローン残高は過去最多を記録した。４月末基準で韓国のカード９社のカードローン残高は３９兆９６４４億ウォンと集計された。これはこれまで過去最多だった３月の３９兆４８２１億ウォンより４８２３億ウォン増加した数値だ。１年前と比較すると７．３％増えた。カードローンは別途の審査なく簡単に借りられ、保険約款貸付とともに代表的な不況型貸付に挙げられる。ただ平均貸出金利が年１４～１５％水準で不良化の可能性が高い。

保険加入者が解約還付金の最大９５％の範囲で貸付を受けられる商品である保険約款貸付残高の増加傾向も急だ。「共に民主党」のオ・ギヒョン議員が金融監督院から取り寄せた資料によると、昨年末基準で生命保険・損害保険会社の保険約款貸付残高は７１兆ウォンとなった。前年の６８兆ウォンから３兆ウォン増え過去最大を記録した。家計の支出負担が大きくなり未来に受け取るお金を担保にお金を借りる人が増えたのだ。

延滞率は高止まりしている。１日以上の元金延滞を基準とする普通銀行（カード業兼営）のクレジットカード貸付金延滞率は２月末基準３．４％で、２０１４年１１月の３．４％から１０年ぶりの高水準だった。昨年上半期に２％台序盤に上がった延滞率は下半期に２％台後半、今年に入ってからは３％台を超えた。延滞率が３％後半まで上がればカード大乱以降の最高値を更新する可能性もある。これまでの最高値は２００５年８月の３．８％だった。

これは高金利状況で銀行と貯蓄銀行が貸付の敷居を高めたのに伴った影響と解説される。銀行とノンバンクで家計向け貸付を引き締め資金調達が息詰まった庶民が急場しのぎにカードローンのような小額借入にまで手を広げているという意味だ。

銀行は昨年から貸付審査を強化して、信用度が良い借主を中心に信用貸付を行っている。貯蓄銀行はプロジェクトファイナンス（ＰＦ）不良と高い調達金利に苦しみ健全性管理に向け新規貸付営業を控えてきた。その上最近は保険会社まで保険約款貸付販売を中断したり大きく減らしており、可能な貸付を最大限使っていた脆弱借主が違法金融業者に流れて行く懸念も大きくなっている。

漢陽（ハニャン）大学経済金融学部のユ・ヘミ教授は「２０２１年に法定最高金利が年２４％から年２０％に引き下げられてから貸金業者の貸付が縮小された点も中低信用者の資金調達の門戸を狭めさせた原因」と解説した。