韓国が国連総会で脱北者の強制送還に抗議 「人権に関する重大な事態」

韓国の黄浚局（ファン・ジュングク）国連大使は１８日、国連総会第３委員会（人権）で脱北者の強制送還について「人権に関連する重大な事態」と規定し、強く抗議する立場を表明した。黄氏が言及した脱北者の強制送還は、先ごろ韓国の民間団体が明らかにした中国・遼寧省と吉林省で拘束されていた脱北者約６００人の強制送還を指すとみられる。

黄氏は、北朝鮮の人権問題を担当する国連のサルモン特別報告者ら専門家が国際法上の強制送還禁止の原則に基づき脱北者を北朝鮮に送還してはならないとの立場を示したことに触れた後、国際社会が強制送還を容認してはならないと指摘した。そのうえで「国際社会は脱北者の人権保護のために声を上げるべきだ」と述べ、強制送還が再び行われてはならないと強調した。

また、「全体主義政権の下で疎外された人々に光をあてるべきだ」とし、「北の体系的で広範囲かつ重大な人権侵害に対し特に憂慮を表明する」と述べた。

一方、中国と北朝鮮は脱北者の強制送還問題について言及しなかった。

北朝鮮の金星（キム・ソン）国連大使は前日の発言で「北朝鮮では全ての人民が政治的自由を謳歌（おうか）しながら和やかに暮らしている」と反発した。そのうえで「米国と西欧諸国は自分たちの価値と政治システムをほかの国に強要し、これを拒否した場合は二重の物差しを突き付ける偽善的な姿を見せる。特に原住民を抹殺して建国した米国は人権について述べる資格がない」と主張した。