人の年齢で100歳…激ヤセ「カルビライオン」が７年ぶり引っ越し＝韓国

◆金海から清州へ　「ライオン移動作戦」７時間

５日午後、忠清北道清州市上党区（サンダング）の清州（チョンジュ）動物園。山の中腹でトラックが停止し、ケージの中で伏せていた高齢ライオン１頭が頭を上げた。ライオンは肋骨が浮き出るほど痩せている。たてがみはふさふさだが、体は細い。

分厚いはずの脚も筋肉が落ちていた。「カルビライオン」と呼ばれ、金海市（キムヘシ）の釜慶動物園で過ごしていた高齢の雄ライオンだ。２００４年にソウルオリニ（＝子ども）大公園で生まれ、今年２０歳になった。人の年齢に例えると１００歳ほどという。釜慶動物園で過ごしたのは２０１６年からだ。動物団体などからは「ライオンを助けてほしい」という声が出ていた。

清州動物園は先月、釜慶動物園と話し合い、このライオンを受け入れることにした。狭い檻の中ではなく、広くて快適な環境で余生を送れるようにするためだ。清州動物園は２０１４年、環境部生息地外保全機関に指定され、自然に放すことができない動物を保護している。清州動物園側は「ライオンはあまりにも高齢であり、今後どれくらい生きるかはよく分からない」と話した。

この日午前１１時に始まったライオン移動作戦は７時間後の午後６時に終わった。ライオンが運送用のケージに入らず、トラックに乗せるのに２時間以上もかかった。移動場所は釜慶動物園から２７０キロほど離れている。

◆人の年齢で１００歳、退行性関節炎の症状

前日に釜慶動物園で運送作戦の準備をした清州動物園の獣医キム・ジョンホ氏は「健康上に大きな問題はないが、高齢のため退行性関節炎など老患があるようだ」とし「構造物から降りるのをためらう姿を見ると、足が不自由とみられる」と話した。

清州動物園はライオンを移すためにケージを特別製作した。横２．５メートル、縦１．５メートルの大きさで前後が開く。ライオンが暑さにばてないようにケージの温度を２５度に維持し、終始、ライオンの状態をチェックした。乗り物酔いを防ぐため無振動トラックに載せた。低速走行（時速８０－９０キロ）のため移動時間は普段より１時間半ほどかかった。

清州動物園に入ったライオンは野生動物保護施設に移され、当分は休養する。昨年建設されたこの施設は室内動物園や劣悪な飼育環境で過ごす動物を保護するのが主な目的だ。釜慶動物園と比較すると「ホテル級」といえる。

このライオンはガラスの外壁から見ることができる室内展示場にいたため十分な運動ができなかった。床はコンクリートで、関節に負担がかかった。

◆「カルビライオン」に友達…７年ぶり独房から出る

新しく移った場所は１６５０平方メートルと、従来の場所に比べて２０倍ほど広い。土を踏むこともでき、木の構造物で簡単な遊びも可能だ。清州動物園はこのライオンが高齢であるため、血液検査、断層撮影、超音波検査など健康診断をする。牛肉や鶏肉などの餌を与え、栄養剤も周期的に注射する方針だ。ライオンは「パラム」と名付けられた。

ライオンは群れをなす動物だ。清州動物園には１２歳（雌）、１９歳（雄）のライオンがいて、新しく入ってきたライオンが無事に適応すれば共に過ごすことが期待される。高齢ライオンはひとまず隔離された場所（４９５平方メートル）で慣れた後、以前からいたライオン２頭と共に過ごすことになる。キム・ジョンホ氏は「清州動物園のライオンと向き合うことができる隔離場所にしばらく置いた後、慣れれば共に過ごすことになる予定」とし「木陰で休んだり、土を踏んで行動同化プログラム治癒も進める」と説明した。

２０１３年にオープンした釜慶動物園は古くて狭い施設ばかりで、動物をまともに管理できないという声が出ていた。特に狭い檻の中で無気力に過ごす痩せたライオンを助けてほしいという要請が多かった。