ナッツリターン事件の当事者、１２年ぶりに離婚…「常習暴行」ｖｓ「アルコール中毒」

趙顕娥（チョ・ヒョナ）元大韓航空副社長が４年７カ月にわたる離婚訴訟の末に、夫のパク氏と離婚せよとの判決を受けた。１審裁判所は趙元副社長を双子の子どもの親権と養育権者に指定した。

◇夫に財産分与１３億ウォン

ソウル家庭裁判所は１７日、趙元副社長とパク氏が互いに起こした離婚請求訴訟を受け入れこのように判決した。

裁判所は趙元副社長がパク氏に財産分与として１３億３０００万ウォン（約１億３９６２円）を支払うよう命じた。また、趙元副社長を子どもの親権者と養育者に指定し、パク氏は今月から毎月末日に子ども１人当たり１２０万ウォンを養育費として支払うよう命じた。これとともにパク氏は子どもたちと交渉が可能だと付け加えた。

ただパク氏と趙元社長が互いに請求した慰謝料は認めなかった。パク氏が趙元社長から子どもを引き取るという請求や趙元社長がパク氏に過去の養育費を求める請求も棄却した。

趙元副社長は２０１０年１０月、小学校の同級生だった整形外科専門医のパク氏と結婚し双子の子どもを持った。

パク氏側関係者はこの日中央日報との通話で「判決文を見て控訴するかなどを検討する予定」と話した。趙元副社長とパク氏はこの日裁判所に姿を表わすことはなかった。離婚訴訟当事者は判決宣告日に出席する義務はない。

◇「妻が常習暴行」ｖｓ「夫は深刻なアルコール中毒」

パク氏は結婚８年後の２０１８年４月に離婚を求めて訴訟を起こした。彼は結婚生活の間に趙元副社長が自身に暴言と暴行を振るい、双子の子どもも虐待したと主張し子どもの養育権を主張した。

これに対し趙元副社長はパク氏のアルコール中毒のため結婚生活が難しくなり、児童虐待の主張は根拠がないと反論し２０１９年６月に離婚と慰謝料を請求する訴訟を起こし対抗した。

これら離婚訴訟は２０１９年に刑事事件に広がった。パク氏は、腹が立つという理由で趙元副社長に首を締められ、タブレットを投げ付けられ足の親指の肉がはがれたという内容（特殊傷害）などで趙元副社長を告訴し、趙元副社長に罰金３００万ウォンが宣告された。ただ趙元副社長が双子の子どもに「ごはんを食べるのが遅い」として箸とスプーンを投げつけた（児童虐待）とも主張したがこれに対しては検察の段階で無嫌疑処分が出た。

裁判が進む間にパク氏が「裁判所が趙元副社長側に偏向している」として裁判所忌避申請を出し約２年間にわたり裁判が中断されたりもした。これに対し趙元副社長は「パク氏がメディアに動画を公開したのは児童虐待」と対抗し親権剥奪を要請している。

趙元副社長は２０１４年に米ニューヨークのジョン・Ｆ・ケネディ国際空港から仁川（インチョン）に向かう大韓航空の機内でサービスがまともになされなかったという理由で怒り航空機を強制的に引き返させるいわゆる「ナッツリターン」事件により懲役１０月と執行猶予２年の判決を受けた。