「子どもたち、外出恐怖に思春期早発症も」…コロナ禍３年の恐ろしい後遺症

小学校３年生のイムくん（９）はエレベーターで見知らぬ人に会うと母の後ろに隠れる。イムくんは新型コロナが発生した２０２０年に小学校に入学した「新型コロナ新入生」だ。母親のクォンさんは「息子が外に出ることを恐れて対人恐怖症が生じ、心理相談を受けている」とし「幼稚園の時までは明るい子だったが、非対面授業が長期化し、絆の断絶によって生じた症状のようだ。心が痛い」と話した。

コロナ禍の長期化が子どもの発達に及ぼした悪影響が深刻ということが確認されている。世界児童権利専門ＮＧＯ「グッドネーバーズ傘下の子どもの権利研究所」（以下、子どもの権利研究所）が行った「新型コロナと児童の災難反応研究」でコロナ禍の長期化が子どもの身体・認知・感情・行動発達に及ぼした否定的影響を確認した。研究は子どもの権利研究所が新型コロナの流行が始まった２０２０年と翌年の２０２１年の２回にわたって進めた「児童災難対応実態調査」の結果に基づいて行われた。実態調査はそれぞれ満４歳～高校３年生と３３０８人、３９２７人および彼らの保護者を相手に実施されたが、研究は２年間の調査に全て応じた子ども１３６７人およびその保護者の回答を対象とした。

回帰分析によって点数で表現された研究結果では、２０２１年には子どもの不眠、食欲低下、頭痛のような否定的身体反応が２０２０年に比べて増加（１．１８点→１．２５点）したことが分かった。不安、憂うつのような否定的な感情反応（１．２８点→１．３９点）や集中力低下など否定的な認知反応も（１．１６点→１．３０点）の全年齢帯で増えた。警戒心と対人関係の回避など否定的な行動発達は満４～９歳の場合１．１５点→１．１２点に減少したが、学齢期の満１０～１７歳では１．０５点→１．１０点に増えた。

防疫対応がウィズコロナ（段階的日常回復）局面に入り対面活動が増えたが、ここ３年間の余波は続いている。ソウル江北区（カンブクク）で小学校５年生と小学校２年生の２人の娘を育てるチョンさん（４２）は「新型コロナの初期には子どもたちが１日に４時間以上タブレットＰＣとスマートフォンなどを利用した。今は１時間にやっと減らしたが、その時の習慣が残っていて断ち切りにくい」として「思春期早発症が現れ、本を読む集中力も落ち、映像をしきりに見たがって心配だ」と話した。

報告書は災難発生時、子どもの否定的な発達が深刻化しないようにするためには規則的で栄養の取れた食習慣を維持でき、保護者の不安・育児ストレスを引き下げて管理できる環境が作られる必要があると分析した。研究チームは地方自治体レベルの保育支援の拡大が必要だという意見を出した。また、子どものメディア環境と活用に対する基準準備および保護者と子どもの年齢別目の高さに合わせたインターネット・スマートフォンメディアの使用ガイドを製作し配布する方法などを検討することを提言した。

報告書には保護者の育児ストレスの増加は子どもの発達阻害に直結するので保護者に対する支援が必要だという声も盛り込まれた。３人の子どもを育てるキム・ジュヒさん（３２）は「共働きの親に保育支援が必要だ」とし「何より親の心理相談支援が必要だ。新型コロナで子育てへの負担が大きくなり、敏感になった人が少なくない」と吐露した。

研究に参加したグッドネーバーズ子どもの権利研究所のイ・ファジョ研究員は「新型コロナという災難状況で子どもが属した家族の人口社会学的背景を見過ごしてはならない」とし、「子どもの年齢別カスタマイズ型支援が拡大される必要があり、脆弱階層子どもとの教育格差が広がらないよう対策を講じるべきだ。今後、このような災難状況に対する備えが必要だ」と述べた。

ソウル大学社会福祉学科のイ・ボンジュ教授は、「新型コロナが終息しても子どもの発達に対する否定的な影響は大人、またはその後にも発達の結果が蓄積される可能性があるため、新型コロナが子どもに与える否定的な影響を理解し、中長期的な対応を準備することが大事だ」とし、「公共相談インフラの拡充など保護者の不安を解消するための支援策作りも必要だ」と強調した。