「Ｋ－ＰＯＰのジャンル化」…韓国人でも韓国語の歌でもないのに「Ｋ－アイドル」

次のうち、Ｋ－ＰＯＰアイドルは？（１）９人の日本人で構成されたガールズグループＮｉｚｉＵ（ニジュー）、（２）ポルトガル・クロアチア・米国出身者で構成された４人組ボーイズグループＥＸＰ　Ｅｄｉｔｉｏｎ、（３）英国でデビューした３人組ガールズグループＫＡＡＣＨＩ、（４）米地上波ＮＢＣ音楽オーディション番組『アメリカン・ソング・コンテスト』優勝者の米国人ＡｌｅＸａ（アレクサ）。

正解は、（１）から（４）まで全て。国籍・人種・言語がすべて異なるが、彼らは皆、Ｋ－ＰＯＰアーティストだ。特に、中でもＡｌｅＸａはＫ－ＰＯＰジャンルアーティストとしては初めてＮＢＣ製作音楽オーディション番組で１位を記録し、Ｋ－ＰＯＰの歴史の新章を開いた。

ただし、一部のＫ－ＰＯＰファンは疑いの目を向けた。ＡｌｅＸａがオーディションで歌った『Ｗｏｎｄｅｒｌａｎｄ』は２言、３言の合いの手を除けば全て英語の歌詞で構成されているためだ。また、ＡｌｅＸａは米国人家庭に養子縁組された韓国系の母親とロシア系の父親の間に生まれ、家庭で韓国文化に接することがほとんどできなかった。オクラホマ・タルサの小さな田舎町で成長し、韓国系の友人もいたこともないという。

このような疑問に対してＡｌｅＸａは１９日、ソウル龍山区（ヨンサング）ブルースクエアで行った懇談会で「音楽において言語は重要ではないと思う」とし、「言語を超越して音楽を楽しんでほしい」と話した。続けて、オーディション番組優勝の秘訣について「すべての参加者の中で唯一のＫ－ＰＯＰ歌手だったから」とし「Ｋ－ＰＯＰの強烈な舞台とパフォーマンスを披露したから優勝できたと思う」と語った。

◆Ｋ－ＰＯＰ・ロック・ヒップホップ、どれも音楽のジャンル

Ｋ－ＰＯＰのグローバル化で国境がぼやけ、定義が曖昧になっている。韓国の企画会社が生み出したアイドル歌手が中国・日本などアジア国家に進出する時代を越え、今や世界中のどんな歌手でも望めばＫ－ＰＯＰアルバムを製作することができる。ロック・ヒップホップ・クラシックのように個人の好みによって選択する１つの音楽ジャンルになったのだ。

このような流れを主導するのは大手企画会社だ。アイドル市場がグローバル舞台に市場を広げたことを受け、韓国人メンバーのいないＫ－ＰＯＰグループが頭角を現している。ＪＹＰエンターテインメントが日本のオーディション番組を通じて製作したＮｉｚｉＵはデビューと同時にオリコンチャート１位を記録した。ＣＪＥＮＭの世界最大Ｋコンテンツ行事である「ＫＣＯＮ２０２２プレミアイン東京」に登場したＩＮＩ（アイエヌドアイ）とＪＯ１（ジェイオーワン）にも韓国人メンバーはいない。両グループとも１１人組で、ＩＮＩに中国人メンバー１人いるだけで、後はすべて日本人だ。彼らを見るために、２日間で４万人余りのファンが駆け付けた。

ＳＭエンターテインメントは２０１９年、メンバー全員が中国人または中国系で構成されたＷａｙＶをデビューさせた。このグループはＮＣＴから派生した４番目のユニットだ。また、ＳＭは米国の大手メーカーＭＧＭと提携し、米国に基盤を置いて活動するボーイズグループ「ＮＣＴハリウッド」を準備している。　同時に日本で活動する「ＮＣＴ東京」もできる予定だ。ＨＹＢＥ（ハイブ）傘下のレーベル、ＨＹＢＥジャパンもオーディション番組『＆ＡＵＤＩＴＩＯＮ－Ｔｈｅ　Ｈｏｗｌｉｎｇ－』で日本でデビューするグループを作っている。

◆現地アーティストを発掘するＫ－ＰＯＰ３．０時代

このようなＫ－ＰＯＰ産業の変化について、ＳＭ総括プロデューサーのイ・スマン氏は、Ｋ－ＰＯＰ韓流３．０時代と定義している。韓国でアーティストとアルバムを企画して海外市場に進出するのが「１．０」、海外現地会社と合作したり海外メンバーを迎え入れて韓国アーティストと混合するのが「２．０」だった。今や合弁会社を作って現地アーティストを発掘し育成する「３．０」の時代が開かれたということだ。

専門家らはＫ－ＰＯＰは韓国で誕生したが、韓国人だけが歌えるとか、韓国語だけで具現しなければならない概念ではないと指摘した。韓国ジョージメイソン大学のイ・ギュタク教授は「グローバル舞台でＫ－ＰＯＰの個性は韓国的な、民族文化的なものではない」として「強烈な舞台パフォーマンスと振り付け、衣装、ミュージックビデオ、企画会社とアイドルのシステムなどが結合された独特な特徴」と説明した。

実際、Ｋ－ＰＯＰはもはや「韓国人が歌うポップス（米国の大衆音楽）」を指していない。米国でＫ－ＰＯＰ混成グループとして活動中のＬａｌａｒｙのリーダー、エディ（２３、メキシコ系）は「Ｋ－ＰＯＰほど音楽とビジュアル的な要素が１つに調和するジャンルはない」とし「米国ポップスと差別化される総合芸術」と評価した。

◆「肌の色に関係なく、誰でもＫ－ＰＯＰ歌手になれる」

外信もＫ－ＰＯＰのジャンル的特性に注目していた。米ワシントンポスト（ＷＰ）は昨年、「Ｋ－ＰＯＰはどうやって世間を征服したのか」というタイトルの記事でＫ－ＰＯＰジャンルの主要特徴かつ成功要因として、中毒性のあるサビ、華麗なビジュアル、真似しやすいポイントダンス、ＳＮＳ（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）を活用して構築した強力なファンダムを挙げた。

Ｋ－ＰＯＰのジャンル化は今後、グローバル市場でＫ－ＰＯＰ成長の起爆剤になる見通しだ。アレクサの所属事務所ビジーレーベルのキム・ジュンホン代表は「ヒップホップをやるアーティストが必ずしも黒人である必要がないように、Ｋ－ＰＯＰ歌手が韓国人なのかどうかを問いただすのは消耗的な論争に過ぎない」とし「『文化鎖国政策』のように閉鎖的になるよりは開放することがＫ－ＰＯＰが一層光を放つことができる方法だと思う」と述べた。続けて「誰でもＫ－ＰＯＰアーティストになれる時代が開かれた」と強調した。