尹氏「面目なく、いつも申し訳なく思っていた」　朴氏「良い大統領として残ってほしい」

韓国の尹錫悦（ユン・ソクヨル）次期大統領が１２日午後２時ごろ、大邱市達城郡（テグシ・タルソングン）の朴槿恵（パク・クネ）前大統領の私邸を訪れて探して約５０分間話を交わした。２人が直接対面したのは初めてだ。この席には旧親朴系出身の権寧世（クォン・ヨンセ）議員（国民の力）と朴氏の側近である柳栄夏（ユ・ヨンハ）弁護士が同席した。

会合を終えた後、どのような話をしたかという取材陣の質問に、尹氏は「（朴前）大統領の健康に関して話をした」と言って３秒ほど空を見つめた。続いて「いずれにしても過ぎ去った過去というものがあるじゃないですか」とし「人間的な遺憾と心の奥に持ち続けていた申し訳なさを申し上げた」と明らかにした。また「現在の生活に不便な点はないかどうかについて話を交わした」とした。

尹氏が席を離れた後、権議員と柳弁護士が会合内容について伝えた。権議員は「尹氏が、特検（尹氏）と被疑者（朴氏）として生じた一種の悪縁に対して『申し訳ない』と話した」と伝えた。

◆尹錫悦氏「当選したところ眠れない」　朴槿恵「大統領は重職」

柳弁護士は「尹氏が『食事がちゃんと取っているか』と聞くと、朴氏は『病院がきちんとしてくれている。当選者時期から激務だが、健康をしっかり気を配ってほしい』と呼応し、これに対して尹氏が『本当に面目がなく、いつも申し訳ないと思っていた』と話した」とし「朴氏は淡々と聞いていた」と説明した。朴氏は尹氏にミントティーと韓菓でもてなしたという。

この日の会合で尹氏は朴氏に５月１０日に開かれる大統領就任式に関連して「健康が許せば出席してほしい」と要請した。これに対して朴氏は「現在の健康状態では自信はないが、可能なら出席するように努力する」と答えた。この過程で尹氏が「顔が少し腫れているようだ」と言うと、朴氏はハンナラ党（現国民の力）代表時期の２００６年地方選挙の時に襲われたことを取り上げて「その時のことで腫れている」という趣旨で説明した。朴氏は尹氏に「初めてお目にかかる方だが、テレビ画面でよく見ていたせいかずっと前から知っている方のようだ」と話した。

尹氏は「朴氏が在職中に行った政策や業績を見て、なぜこういうことが国民に広く知られなかったのか残念に思う」とし「今後、国民にきちんと知らせて、十分に評価され、名誉を回復することができるようにしたい」と強調し、朴氏は感謝の気持ちを表わした。

朴氏の父親である朴正熙（パク・チョンヒ）元大統領に関する話もあった。尹氏は「朴正熙元大統領が内閣と青瓦台（チョンワデ、大統領府）をどのように運営したのかについて資料を見たり当時勤務した人々を訪ねたりして国政を学んでいる」とし「当選したところ心配で眠れない」と話した。これについて朴氏「大統領という職は重くて大きい。使命感が恐ろしい」と話したという。

２人は大邱地域を主題にした話も交わした。尹氏が「大邱・慶尚北道から票を集中的にもらって当選した。票差はそれほどなかったが、大邱の開票が遅れているのを見て当選すると思った」と言うと、朴氏は「地域の発展に多くの関心を持ってほしい」と話した。これに対して尹氏は「権泳臻（クォン・ヨンジン）大邱市長が請求書を持ってきた。福祉問題は慶北（キョンブク）大病院長を保健福祉部長官に任命したので福祉はうまく解決するだろう」と笑って話した。あわせて「ソウルの病院に通っている時、前職大統領として警護など問題がないように最大限措置を取る考え」と話した。

朴氏は「今後の激務で多くのことがあると思うが、良い大統領として残ってほしい」と話した。尹氏は「多くの教えを請いたい」とした。

この日、私邸周辺には１５００人余りの市民で込み合い、尹氏の訪問と朴氏の私邸入居を祝う花輪と横断幕が並んだ。

尹氏が「過ぎ去った過去」と表現した２人の関係は２０１３年に尹氏が国家情報院不正書き込み工作事件捜査のチーム長に任命されてから９年間の悪縁が始まった。

当時尹氏は「捜査外圧」を主張して左遷されたが、３年後に朴氏がかかわった崔順実（チェ・スンシル）国政壟断特検チームの捜査チーム長として復活した。特検チームで朴氏の拘束収監に関与したし、文在寅（ムン・ジェイン）政府ではソウル中央地検長に昇進して「積弊清算」捜査の陣頭指揮を取った。尹氏側はこの日の会合が２人の旧怨を解消する次元を越えて国民統合の象徴的な契機になるだろうと説明した。国民の力内部では「６・１地方選挙を控えて保守支持層を結集する意味もある」という反応も出てきた。