韓国次期大統領と初の電話会談バイデン・岸田氏が一斉に「３国協力」

日米首脳が韓国次期大統領に当選した尹錫悦（ユン・ソクヨル）氏に対する韓日米３国協力に対して期待を表わした。尹氏が韓日関係改善に対する強い意志を数回表明したことから、これを基に韓日米共助もその水準を引き上げることができるだろうとの判断だとみられる。実際、尹氏は大統領選挙翌日である１０日、記者会見を通じて「未来志向の韓日関係を築く」と強調した。

◆尹氏、日米首脳との電話会談で４強外交始動

尹氏は受諾演説から５時間後の１０日、米国のジョー・バイデン大統領と電話会談を行い、韓半島（朝鮮半島）周辺４強外交をスタートさせた。国民の力によると、この電話会談でバイデン大統領は今年に入って相次いだ北朝鮮の弾道ミサイル発射に言及して「米日韓３国の対北朝鮮政策関連の緊密な調整が重要だと考える」と述べた。韓日米協力を核心に据えて対北政策と非核化プロセスを設計するよう要請したものだ。

尹氏は１１日、日本の岸田文雄首相との電話会談では自ら韓日米協力の必要性に言及した。「（大統領）就任後、韓日米３国が韓半島（朝鮮半島）事案に関連する共助をさらに強化していくことを期待する」としながらだ。また、韓日関係に対しては「両国の懸案を合理的に、相互共同利益に符合するように解決していくことが重要だ」とし、関係改善に向けた意志を再確認した。

尹氏が韓日関係改善に言及するときに使った「合理的解決」という表現は、現文在寅（ムン・ジェイン）政府の対日アプローチとは差別化した戦略を取るという意味に解釈することができる。尹氏は大統領候補時期から「理念偏向的な竹槍歌を歌ってここまできた」とし、文政府が韓日関係を国内政治に引き込んだと批判してきた。尹氏が国内の世論とは関係なく、日本との協力分野を広げて関係を改善する実用的対日アプローチに出るだろうという分析が出ているのはこのためだ。

◆「３国協力」の足を引っ張ってきた韓日関係

バイデン政府は昨年１月の発足から、北朝鮮の威嚇対応を含むインド太平洋戦略の一環として韓日米の共助に取り組んできた。日米豪印戦略対話（ＱＵＡＤ＝クアッド）や米英豪３カ国（ＡＵＫＵＳ＝オーカス）など、米国主導の領域内協議体に属していない韓国も韓日米協力が持つ意味とその重要性を高く評価した。

だが、問題は最悪な状態まで冷え込んだ韓日関係だった。韓日米共助を強化するために米国が韓日関係を取り持ったが力が足りなかった。慰安婦・強制徴用など歴史問題を巡る両国の立場は鋭く交錯し、日本の福島汚染水海洋放出決定や佐渡金山世界遺産搭載推進など関係改善を遮る悪材料はその後も重なっていった。

◆バイデン氏５月訪韓の可能性

昨年１１月には韓日米外相会談後に予定されていた３国共同記者会見が取りやめになり、韓日関係が韓日米協力に悪影響を及ぼすシグナルが感知された。

当時日本側は金昌竜（キム・チャンリョン）警察庁長官の独島（トクド、日本名・竹島）訪問を理由に共同記者会見を拒否し、結局、米国のウェンディ・シャーマン国務副長官が単独記者会見に出席した。当時シャーマン副長官は記者会見形式に変更になった理由に対して「日本と韓国の間で一部異見が続いている」とし、韓日関係によって派生した問題である点を明示した。尹氏の韓日関係改善意志が韓日米の共助強化を追求できるという期待が出ているのはこのためだ。

これに関連して、バイデン大統領は今年５月末のクアッド首脳会議参加のために日本を訪問し、その足で韓国を訪れる日程が確定するなら、本格的な韓日米協力構想が推進されるだろうという分析がある。尹氏が同月１０日に大統領に就任する点を勘案する場合、バイデン大統領としても５月末の訪韓日程は新政府発足後に韓日米協力を含む両国主要懸案の下絵を描くための機会とすることがきる。