妊産婦「旧正月にマートにも行けないのか」防疫パスの不満広がる

韓国政府が１０日から「防疫パス」（接種証明・陰性確認制）を大型マートなどに拡大することにして未接種者の差別をめぐる論議が強まっている。「マートの出入りまで制限するのは過度な措置」という主張が相次ぎ出ているからだ。

新型コロナウイルス感染症（新型コロナ）ワクチンの未接種者は防疫パスの拡大が「基本権侵害」の水準だと主張する。出産を控えて接種を先送りしていた３０代妊産婦Ａさんは３日、「ワクチンを打って問題が生ずれば責任を負う人もいないのに、マートにも行けないのはちょっと寂しい」として「生活のために必要なのに、一人で買い物することまで防ぐのは不当だ。旧正月にマートにも行けないようにするのか」と話した。

子育ての女性たちの情報交換サイトなどにも「妊産婦が何かを買う時、配達だけを利用できるのですか」「未接種者は人権もないですか」「マートにまでワクチンパスを導入すれば、主婦はどうしろということですか」などの批判があふれる。新世界グループのチョン・ヨンジン副会長のインスタグラムにも最近「マート・百貨店のワクチンパス（防疫パス）に声を上げてほしい」と訴えるコメントが書き込まれている。

ワクチンの副作用で２回目の接種を先送りしていた２０代のイさんは「年末に映画館や展示も行けず静かに過ごしたが、生活必需品を買える大型マートにも行くことができなければ苦しくなる」とした。防疫当局は面積３０００平方メートル以下の一般的な商店やスーパーマーケットは防疫パスを適用せず代替手段があるという立場だ。

３日から防疫パスに６カ月の有効期間が適用されるなど技術が高度化しているが、障害者など少数者に対する配慮が不足するという指摘も出る。１級視覚障害者である京畿道（キョンギド）視覚障害者連合会のヒョン・デオク楊州市（ヤンジュシ）支会長は「防疫パスを認証するためにはスマートフォンのＱＲコードをカメラ認識範囲の中に正確に当てるべきだが、視覚障害者が自分の力でこれを合わせるのはほとんど不可能なことだ。防疫パスで視覚障害者の移動権が制限されている」と話した。

防疫パスに有効期間を初めて適用したこの日、所々で混乱が相次いだ。接種完了６カ月が過ぎた人々は食堂・カフェなど大衆利用施設でＱＲコードをスキャンする時、「ピンポン」の音が出て入場が制限される。ところが、現場では防疫パスの有効期間が残っているにもかかわらず、「ピンポン」の音が出るエラーが発生したりもした。予防接種認証電子証明書である「ＣＯＯＶ」のアプリ情報をアップデートする必要があるが、これをそびれたり、訳も分からない理由でアラームが鳴ったたというのが事業主の説明だ。

ソウル鍾路区（チョンノグ）で食堂を運営するチョ・ユンホさん（５９）は「昼間に２人のお客さんが『ピンポン』音がして確認してみたところ、１１人はアップデートせず、他の方は接種して１８０日が過ぎなかったにもアラームが鳴った。システムに誤りがあるようだ」と話した。広津区（クァンジング）のある食堂職員も「ＱＲコードを確認したら接種完了者と出るが、音が鳴るエラーがあった。１０人のうち１人は発生する」と話した。ある自営業者は「ＱＲを確認するのも忙しいが、アップデートしていない方も助けているため人手が足りない状況」と話した。

市民の反応はそれぞれだった。汝矣島（ヨイド）のある食堂街で会ったイさん（６１）は「６カ月ごとに更新のために接種するのは手間がかかる」とした。会社員のチョンさん（２９）は「確認手続きを簡素化して簡単になった」と話した。