「逝きたくないのに夫はなぜ呼ぶのか…死亡した８０代の母の言葉で冷凍保存」＝韓国

昨年５月に死亡した８０代の母を冷凍保存した韓国国内の冷凍人間第１号申請者キム・ジョンギルさん（仮名）は「１００％の回復や復活を望むのではなく、１％でも可能性があることに期待をかけるということ」と話した。

キムさんは２２日、ＳＢＳスペシャル番組「不滅の時代２部：冷凍人間」編で、「今はまだ解凍技術がないが、ひとまずこのように保存しておいて、未来の医術を期待して待つ」とし、このように伝えた。

◆「生きようという意志がこれほど強いとは」…冷凍保存を決定

母の生に対する意志を感じたというキムさんは母を冷凍保存することにした。キムさんは「（母は）救急車に乗って行ったが、救急車が大きく揺れるほどもがいた」と当時を振り返った。続いて「『私はまだ逝きたくないのになぜお前たちの父さんは私を呼ぶのか』と言ったが、私は母と長く共に暮らしながらそのような姿を初めて見た」とし「生きようという意志がこれほど強いのかと思った」と話した。

父の死から６カ月後に母まで亡くすのがつらかったキムさんは冷凍保存を決めた。キムさんは「弟は『自分は反対』と言った。私が思うに費用のためにそう話したようだが、『父の葬儀を経験したが、あれは違う』『（母を）粉にするのは私が耐えられない』と言って強行した」と伝えた。

◆冷凍保存の契約期間１００年

キムさんの母は死亡直後、１次冷凍処理された後、冷凍保存用タンクがあるロシア・モスクワに移された。母の冷凍保存契約期間は１００年だ。医療技術の発展速度と冷凍保存患者の再生の可能性などが考慮された期間だ。

キムさんはその機関に、解凍技術と血液がん治療法まで開発されることを祈っている。現地から送られてきた映像で母の遺体が保存された冷凍タンクを確認すること以外にできることはないが、キムさんは自分の選択を後悔していなかった。キムさんは「いま母はモスクワにいるが、私が行っても解決策があるのではない」とし「ここで心から祈っている」と話した。

◆「これほど早く逝くとは思っていないかった」

キムさんは「これほど早く逝くとは思っていなかった。私は心の準備が全くできていなかったので、天が崩れ落ちるようだった。親不孝だったので、なおさらそうだった」とし「私は崩れ落ちる天を支えてはいる。個人的にはそういうこと」と語った。

キムさんは「私は胸の中で母にこう言った。『現代医学の恩恵はここまでだ。誰かが良い技術を作っておいたので、それを一度やってみよう』」と伝えた。

◆「母によく眠れたかと声をかけたい」

「お母さんにまた会えれば何の話をしたいのか」という制作スタッフの質問に対し、キムさんは「よく眠れたかと声をかけたい」と答えながら涙を流した。続いて「（母が）亡くなったとは思っていない」とし「また会うことができると考えている」と話した。

◆気になる視線…「母は同意したのか」

キムさんの選択に共感する人もいるが、冷ややかな視線を送る人たちもいる。一部はキムさんの行動を非難し、死を受け入れるべきだと忠告した。キムさんは「お母さんは同意したのか」「お母さんを凍らせたのか」「お母さんは知っているのか」「誰が勝手に」などのコメントに衝撃を受けたという。

◆最も深刻な問題「脳損傷」

冷凍保全の可能性に懐疑的な立場の専門家らはこの日の放送で「ガラス化技術は卵子や単細胞など組織が非常に小さい時に使う。数十億個、数兆個の細胞がある体をどうガラス化するのか」と反問した。また、最も深刻な問題は脳損傷だと強調した。

ケネス・ヘイワース脳保存財団（ＢＦＦ）共同設立者は「冷凍保存技術は脳のシナプス連結を保存するということを示していない。神経連結の部分で多くの収縮が起きたが、損傷したとみられる」とし「それで私は公開的に冷凍保存会員資格を撤回した」と説明した。

◆永遠の生とは何か

法医学者のユ・ソンホ・ソウル大教授は放送で「死ぬことがなく永遠に生きるのなら、お互い温かい言葉をかける必要もなく、すぐに出勤する必要もなく、愛する必要もない。千年後、万年後にしてもかまわないため」とし「トルストイの人生論で私たちが永遠になれるのは、私たちは死去するが、残った人たちが自分に対して持つ温かい記憶と愛情のため」と述べた。続いて「私たちが持つ人間性が他の人に施され、その人の記憶と存在が永遠に刻印されるというのが、永遠の生ではないのか」と語った。