日本人観光客押し寄せるも、買い物はあくまで堅実に

【ソウル７日聯合】円高ウォン安の影響で日本人観光客が急増しているが、「お買い得ショッピング」を楽しむ人が多く、業界により明暗が分かれている。日本人観光客向けの生活用品を取り扱う店や一般食堂がこれまでにない盛況ぶりをみせる一方、高級店などは低調な客足に頭を抱える。

　ソウル・中区の明洞や南大門市場一帯で店を構える店主らが７日に明らかにしたところによると、円高の影響で昨年１０月から同地域を訪れる日本人観光客は過去最多と言えるほど急増している。これによりうれしい悲鳴を上げているのが飲食業や宿泊業だ。もともとホテルは１２月と１月がオフシーズンに当たるが、ソウル市内のホテルによると、現在は平日、週末に関係なく稼働率は常に９０％以上で、その６割以上が日本人だという。また、明洞で１３年間食堂を経営するあるオーナーは「今年が日本人客が最も多い。現在は日本人が最高の顧客だ」と話す。日本人客がいなければ、この地域の商圏は非常に厳しかったはずだと付け加えた。化粧品店のオーナーも「１日約５００人のお客さんのうち３分の２以上が日本人で、年齢は２０代から５０代まで幅広い」と話した。露店なども日本人観光客が落とす金で、売り上げが好調だという。

　しかし、これまで円高のたびに盛況だった高級販売店や韓流芸能人関連の高級商品、ソウル・江南などの皮膚科、整形外科などは、売り上げに大きな変化がなく低調のままだ。

　こうした雰囲気は明洞だけでなく、日本人観光客の必須コースとなっている南大門市場でも感じられる。同市場で食料品店を営むあるオーナーは、円高というが売り上げはそれほど伸びていないとし、主に売れる商品はキムチやコチュジャン（トウガラシみそ）、ユズ茶、海苔（のり）などの一般食料品で、紅参（高麗人参を蒸して乾燥させたもの）などのような高価商品はほとんど売れないと話している。別の食料品のオーナーも「日本人客が増えたのは確かだが、金遣いは渋くなったようだ」と伝えた。円高で売り上げ増を期待した衣料品店も、中・低価格製品を扱う店以外は低調だという。

　こうした現象は、世界的な景気低迷が日本にも大きな影響を与え、日本人観光客が必要な買い物以外では財布のひもを締めているためと解釈される。

　観光で訪れた４０代のある日本人女性は「今回のソウル観光で高価商品を購入する計画は全くない」とした。日本も経済事情がよくないためつつましく生活しており、円高で安値感が出てきた生活必需品を購入するため訪れたにすぎないのだという。