「ARMY」出身英国学者「防弾少年団、伝統的性の役割を破る代案的な男性像」

勉強する「オタク」たちが集まればどのようなことが起こるだろうか。２６～２８日、ソウル三成洞（サムソンドン）シューピゲンホールで開かれる「ＢＴＳインサイトフォーラム」はその答えを垣間見られる。３日間舞台に上がるスピーカー３０人の面々も多様だ。イタリアから来た２０代ユーチューバーのアンジェラさんから７０代の高麗（コリョ）大学デザイン造形学部のチン・ヨンソン名誉教授まで防弾少年団（ＢＴＳ）が好きな「ＡＲＭＹ」ということを除けば共通分母のない独特な組み合わせだ。扱う分野も人文学・メディア・マーケティング・デザインなど広範囲にわたる。

その中でも最も目につくスピーカーは英キングストン大学映画・メディア学部のコレット・バルマン教授（５７）。２００８年『日本ホラー映画入門書』をはじめ、『ワールドシネマディレクトリ：韓国編』（２０１３）、『韓国スクリーンカルチャー』（２０１６）などを書いた韓国映画専門家であり、来年１月４～５日英国で開かれる「ＢＴＳカンファレンス」を準備している学者だ。

「１０年以上韓国の大衆文化を研究してきたが、やっと初めて韓国に来た」という彼女はＢＴＳをジェンダー問題の観点から注目した。「ＢＴＳの男性性はＫ－ＰＯＰ内でも非常に独特に発現している。『マッチョ的な男性性』でない『男の子の感受性』に近い」とし「これは『代案的な男性性』を通じて肯定的なロールモデルを提示できるということから意味がある」と指摘した。

「文化圏によって伝統的性の役割を強要されるものだが、正解がないということを自然に見せている。ソーシャル・ネットワーキング・サービス（ＳＮＳ）を通じてファンたちと活発に疎通することを見るだけでもわかる。男は感情を表に出してはいけないという先入観を破るのだ。『＃ＭｅＴｏｏ（ハッシュタグミートゥー）運動』以降、有害な男性性に対する代案としても時宜を得たと思う」。

一部ではかわいらしい容貌と身なりで武装したＫ－ＰＯＰのボーイズグループを「ゲイポップ」と貶めたりもする。メンバーの間のためらうことのないスキンシップも攻撃の対象になった。彼は「それこそ文化に対する理解が不足することから生じる誤解」であり「大衆文化でより多くのロールモデルが必要な理由」と強調した。

「音楽は常に先頭に立って新しい道を切り開く役割を果たしてきた。現実を反映すべき映画やドラマより創造力を発揮することができ、若い聴衆に会って疎通するからさらに自由で柔軟になる」。

グリニッジ大学でイタリアのホラー映画に関する研究で博士号を取得したバルマン教授は『殺人の追憶』『オールド・ボーイ』（２００３）などを観て韓国風スリラーにハマった。２０１６年１０月、メディア記号学の授業のためにユーチューブで資料を探していたところ、『Ｂｏｙ　Ｍｅｅｔｓ　Ｅｖｉｌ』『血、汗、涙』などのミュージックビデオを観てＢＴＳの「ファン」になった。

彼女は「ジャンル間境界が崩すクロスオーバーが韓流の拡大に寄与している」と話した。「２００６年、ロンドン韓国映画祭が初めて始まった時、韓国の大衆文化の影響力がこのように急速に広がると思った人は多くなかった。日本はアニメーション・ゲームなど多様な分野で関心が広がっていたが、韓国は映画しかなかった」。

アイドル出身の俳優・女優が増え、映画やドラマ間コラボが活発になり、韓流消費層の裾野も広くなったという分析だ。「既存の韓国映画に関心がなかった人々もネットフリックスの『ＫＩＮＧＤＯＭ』を観て、韓国音楽を聴いたことのない人もＢＴＳを語っている。韓国語を学ぶ人も増えている。韓国語でコンテンツを楽しむことに関心を持つようになったわけだ。今の現象がどのように発展していくか、長い間韓国文化のファンであり、学者として期待している」