韓国国政介入事件　控訴審で朴前大統領に懲役30年求刑

【ソウル聯合ニュース】長年の知人、崔順実（チェ・スンシル）被告と共謀して大企業から多額の賄賂を受け取った収賄罪などに問われた韓国前大統領、朴槿恵（パク・クネ）被告（６６）の控訴審の論告求刑公判が２０日、ソウル高裁で開かれ、検察側は一審と同じく懲役３０年と罰金１１８５億ウォン（約１１７億円）を求刑した。

検察側は「被告は国民から与えられた権限を自身と崔順実氏の私益追求に乱用し、隠密な場所で大企業の総帥らと互いの懸案を解決するという、政経癒着の典型を示した」と指摘。また、「大統領と政府の路線に批判的という基準で判断した文化・芸術界関係者に対し、財政支援を断つことで創作と思想の自由を侵害した」と断じた。

　さらに、「崔氏が国政運営に関与するきっかけをつくりながらも、疑惑が提起されると知らないと押し通し、司法的な責任を免れないと分かってからは崔氏にすべての責任を転嫁した」とした。朴被告は自身を支持した国民に心からの謝罪と反省を示しておらず、昨年１０月以降は公判にも出廷していないとして、厳重な処罰を求めた。

　朴被告は崔被告と共謀し、崔被告が実質支配した文化支援財団とスポーツ支援財団に７７４億ウォンを拠出するよう大企業に強要した罪などで、昨年４月１７日に起訴された。サムスン電子の李在鎔（イ・ジェヨン）副会長から、乗馬選手だった崔被告の娘への支援費など４３３億ウォン相当の賄賂を受け取ったり受け取ろうとしたりした罪や、政権に批判的な文化・芸術界関係者や団体をリストアップして支援対象から外させた罪、青瓦台（大統領府）秘書官を通じて青瓦台や官庁の機密文書を崔被告に渡した罪など、罪状は１８に上る。

　今年４月、一審はそのほとんどを有罪と認定し、懲役２４年、罰金１８０億ウォンを言い渡した。朴被告が控訴しなかった一方、検察は一部の罪が無罪とされたことを不服として控訴した。

　検察側はこの日、一審がサムスンに関し「経営権を承継するための不正な口利き依頼」の存在を認めず第三者供賄で無罪としたことを重く扱った。２財団への拠出金と崔被告が事実上支配していた韓国冬季スポーツ英才センターへの支援金は、朴被告が李副会長からサムスングループの懸案に関し明示的、暗示的に口利きを頼まれた見返りとして十分に立証されると強調した。

　朴被告はこの日も出廷しなかった。