人を殺す「キーボード・キラー」が横行

女優崔真実（チェ・ジンシル）さんが死の直前までインターネット上の「悪意の書き込み」を苦にしていたことが分かり、匿名という舞台裏に隠れているサイバー暴力の弊害が深刻な問題に台頭してきた。

しかし、より深刻なのは、悪意の書き込みという刃の上に立たされるのが著名人だけではないという点だ。ネット上での名誉棄損と誹謗（ひぼう）、偽りの内容の流布により被害を受けている一般の人々の数も急速に増えている。この５年間にわたるネット審議の現況を分析した結果だ。

◇急増する偽りの内容の流布と悪意の書き込み＝放送通信審議委員会が与党ハンナラ党の具本?（グ・ボンチョル）議員に提出した審議資料によると、違法かつ有害な情報を申告した件数は０３年７万３５１１件から、８万２１６１件（０４年）→９万８７１３件（０５年）→１２万９５７２件（０６年）→１９万１４８８件（０７年）へと年々増えている。

この中で「権利侵害」として申告された件数は０３年８０６件から昨年には１万５０００件を上回ったことが分かった。５年間で１８倍以上も増加したのだ。「権利侵害」という行為は、書き込みを含め▽特定の人物を誹謗する場合▽偽りの内容を流布する場合▽名誉棄損にあたる内容を掲載する場合−−などに該当する。

分析の結果、権利侵害のうち最も頻度が高いのは「名誉棄損」と「偽りの事実」だった。審議機関が「問題がある」と判断した件数も、比例して増えつつある。審議機関が「是正の要求」を命じた件数は０５年約４万２６００件だったのが、昨年はおよそ１１万２２００件にのぼった。うち「権利侵害」の問題がある、として是正を求めた場合も０５年１５１３件から昨年８２５４件に増えた。

特に８２５４件のうち９９％に対しては、問題となる文の削除を求めている。それだけ懸案が重大だと判断したのだ。媒体別に見てみると、昨年の場合、ポータル大手「ネイバー」が申告と是正を求めた件数でいずれも１位となったが、今年は「ダウム」がトップになった。

◇「サイバー名誉棄損」も急増＝法的対応が必要とされるサイバー犯罪、特に名誉棄損に関連した問題も日増しに深刻化しつつあると分析された。警察庁がハンナラ党の鄭甲潤（チョン・カブユン）議員に提出した資料によると「サイバー犯罪」は０４年７万７０９９件から昨年８万８８４７件に増えた。このうち、通信を用いた詐欺や個人情報への侵害、違法な複製と販売−−などは増加または減少を繰り返すのに対し、名誉棄損などによる犯罪は増えつづけている。名誉棄損犯罪は０４年３６６７件から０７年１万２８件へと１７３％増えた。今年に入り上半期までは５１４５件となっている。