最低賃金引き上げまで１カ月…急速に進む「無人店舗時代」

最低賃金引き上げが１カ月先に迫る中で流通店の「無人店舗時代」が加速化している。コンビニエンスストアのＣＵはモバイル基盤のセルフ決済アプリケーション「ＣＵバイセルフ」を２７日に発表した。無人店舗に進む段階で最も核心的な無人決済システムだ。コンビニ業界は今年に入り先を争って無人店舗システムを導入している。セブンイレブンは５月にソウルのロッテワールドタワーに「セブンイレブンシグネチャー」を開き、イーマート２４も６月から無人店舗４カ所を実験的に運営している。

流通店の無人化の流れは技術開発と最低賃金上昇に基づいた側面が大きい。高麗（コリョ）大学法学専門大学院のチェ・ヨンホン教授は「急速な最低賃金上昇は結局無人化・自動化を通じた雇用減少につながるほかない。特に単純労務職が多い流通チャンネルでこうした現象は加速化するだろう」と話した。実際にバイセルフを開発したＢＧＦリテールのイ・ウングァン経営革新チーム長は「店主の立場では人件費節減と効率性を高める効果があるだろう。今後スマートドア・防犯カメラと連係して無人コンビニ実現の出発点になるだろう」と話した。

イーマート２４の無人店舗の場合、売り上げの側面でも効果を上げている。イーマート２４のチョ・ドゥイル常務は、「全州（チョンジュ）教大店の場合、無人化前の３～６月に比べ無人化後の７～１０月には１日平均売り上げが４３％増加した。無人化後に冷蔵食品など即席食品の割合を高めたが最近このカテゴリーの製品購入が増え売り上げに影響を与えたとみている」と話した。消費者の立場でも便利だという反応だ。９月にオープンしたイーマート２４ソウル朝鮮ホテル店をよく利用する会社員のユン・ヨンジさんは「カードを通してコンビニに入り商品を買ってバーコードをスキャンするのにもう慣れた。女性用品の場合、店員と顔を合わせずむしろ便利だ」と話した。

無人化の風は流通だけでなく書店、郵便局、カフェなど多様な業種に広がっている。無人書店、無人カフェ、郵便局の無人郵便受け付け機がその例だ。セルフガソリンスタンドも拡散傾向だ。韓国ガソリンスタンド協会によると１月基準でセルフガソリンスタンドは２２７５店で１年前と比べ７７店増えた。この期間に全ガソリンスタンドに占めるセルフガソリンスタンドの割合は１７％から１９％に増加した。

韓国ガソリンスタンド協会のキム・ムンシク会長は「ガソリンスタンドは営業利益率が１％前後だが競争はますます激しくなっており、減らせる部分は人件費しかない。最低賃金が毎年１５～１６％以上上昇するという時にセルフガソリンスタンドの割合は全体の３０％まで増加するものとみられる」と話した。だがセルフガソリンスタンド４台を設置するだけで費用は１億ウォン（約１０１７万円）に達し、零細業者はこれすらも容易ではない。キム会長は「最低賃金引き上げを控え多くのガソリンスタンドが進退両難に陥っている」とした。

専門家らは無人化の風が流通・サービスを超え産業全般に広がると予想する。光云（クァンウン）大学経営学部のイム・ヨンギュン教授は「米国の場合、ファストフードをはじめ金融などサービス業種全般に広がっている。マクドナルドは単純作業をする従業員を雇用すると３万８５００ドル、自動化機器を設置すると３万５０００ドルがかかるという報告書がある」と話した。また「自動化設備を備えた店舗が増えるほど設備費の単価は下がることになるがこうした傾向はさらに進むだろう。臨時職やアルバイトなど単純労務職が直接的な被害を受ける可能性が大きい」と付け加えた。外食やショッピング分野で自動・無人化が増えることによりライフスタイルの変化も予測される。

韓国雇用情報院によると昨年基準で韓国全職業従事者のうち１２％は人工知能・ロボットに変えることができる。４年後の２０２０年には代替率が４１％、２０２５年には７０％まで高まるものと予想した。特に低賃金雇用や単純反復労働雇用は急速に消える可能性があると予想した。