韓国旅行「コネスト」 隠遁強いられた北朝鮮ロイヤルファミリーの女性たち…権力の中心に立った。韓国の政治ニュース
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隠遁強いられた北朝鮮ロイヤルファミリーの女性たち…権力の中心に立った

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北朝鮮最高権力者の女性は長い間隠遁を強いられた。公開席上に「ファーストレディー」として登場するのは絶対にタブーだった。顔や身元も徹底的にベールに包まれた。ところが金正恩(キム・ジョンウン)執権以降、すべてのことが変わった。労働新聞に「夫人・李雪主(リ・ソルジュ)同志」という呼称が登場し、親しい夫婦の様子も演出する。金正恩の妹・金与正(キム・ヨジョン)も油断できない。兄の最側近補佐役である彼女は、先週末、労働党政治局に入り、パワーエリートグループの中心に位置した。徐々に本格化しつつある平壌(ピョンヤン)の中心権力中身を覗いてみたい。

金正恩労働党委員長(33)の横には現在28歳で同い年の2人の女性がいる。夫人の李雪主と妹の金与正だ。兄の妻と小姑という関係の2人は、絶対権力を握った金正恩の最も近いところで彼をサポートする。李雪主は主に内助と夫婦同伴公開活動を担い、金与正は行事の儀式と実行を担当し、その役割分担ははっきりしている。目を引くのは、李雪主と金与正が同じ動線で動いたり、会話などを交わす姿は全くないという点だ。自ら徹底した領域区分がある。

権力舞台へのデビューは李雪主が先だった。2011年12月、金正日(キム・ジョンイル)総書記の死亡によって執権した金正恩は翌年7月、牡丹峰(モランボン)楽団創立公演観覧席に李雪主を伴った。そしてその数日後、官営メディアが初めて「夫人・李雪主同志」と呼称した。その後の動きは以前では考えられないようなものだった。最高指導者と腕を組んで現れ、平壌市内のカフェでポップコーンを分け合って食べる様子は労働党や軍部の元老はもちろん、住民に衝撃を与えた。

金正日執権時代には想像もできなかったことだ。5人前後の女性が、金正日委員長の女性遍歴を語る際に登場したことはあるが、未確認情報や噂レベルに留まった。正式な妻として知られている金英淑(キム・ヨンスク)もはっきりと身元を把握することができないほどだった。2000年6月、初めての南北首脳会談当時、李姫鎬(イ・ヒホ)女史同伴問題が終盤までもつれ込んだのもこのような事情のためだ。死亡数カ月前、中国・ロシア訪問に最後の女性として伝えられた金玉(キム・オク)を伴ったことで、西側メディアの推測報道が登場したこともあったが北朝鮮は一切口を閉じた。

金日成(キム・イルソン)主席も最初の妻である金正淑(キム・ジョンスク)が1949年に亡くなると、秘書だった金聖愛(キム・ソンエ)を後妻に迎えたが、公開するのははばかられた。後継権力を固めつつあった金正日が継母である金聖愛を牽制したためだ。1994年6月、訪朝したジミー・カーター元米国大統領夫妻を迎えた金日成は、異例にも金聖愛を同伴させた。だが、北朝鮮メディアは名前にも言及しないまま「金日成同志が夫人と共にカーター一行を出迎えた」という水準で処理し、金聖愛の姿は労働新聞の紙面から外された。

金正恩が「夫人・李雪主」を公式化したのは正常国家化を狙った布石と見ることができる。ファーストレディーを伴った最高指導者の姿を演出しているということだ。妹の金与正の登場は相対的に用心深く進められた。北朝鮮メディアに金与正の姿が初めて登場したのは2014年3月の最高人民会議代議員選挙の時だった。兄の後について投票場を訪れた金与正は、翌年1月「労働党中央委副部長」という肩書をもって本格的に権力の表舞台に立つようになった。主に行事場所で金正恩が受け取った花束の管理をしたり補佐したりする姿が北朝鮮テレビに映された。昨年5月、第7回労働党大会当時は携帯電話と手帳を持って行事を指揮する場面が外信のカメラにキャッチされたりもした。 

だが、これは金与正の極めて一部の姿に過ぎないというのが対北朝鮮情報当局の判断だ。金正日関連の行事の企画・進行はもちろん、政策決定過程まで介入する情況が確認されたためだ。韓国国家情報院は昨年10月、国会情報委の報告で「金与正が幹部のささいなミスもその都度処罰するなど権力を乱用している様子がみられる」と指摘した。兄の後光を借りた金与正の強気の活動は各方面で確認されている。ことし4月、平壌のニュータウンともいえる黎明通りの竣工式には中将(星2つで、韓国の少将に該当)級の軍幹部に指示を与える様子が確認された。平壌権力層の間では「与正同志を経なければ良いことがない」という言葉が出回るほどだともいう。李雪主との権力争い説もあるが、対北朝鮮情報関係者は「李雪主の行事出席と動線も金与正が企画したものに伴って動いている構造」と説明した。

金与正は今月7日に開かれた労働党第7期2次全員会議で政治局候補委員に上がり、順調に昇進している。60~70代が主軸の政治局に20代という若さの金与正が入ったのは労働党72年史で前例のない出来事だ。叔母の金敬姫(キム・ギョンヒ、金正日の妹)が66歳だった2012年に初めて政治局委員入りしたことと照らし合わせてみても同様だ。ここには「信じられるのは血だけ」という金正恩の意向が反映されているものとみられる。今回の会議は核・ミサイル挑発局面を中間点検し、執権6年目の金正恩権力を総入れ替えする場だ。労働党核心部署である党組織指導部の趙延俊(チョ・ヨンジュン)第1副部長を検閲委員長に退かせたのもこのような脈絡だ。結局、焦点は金与正が、事実上、党ナンバー2の地位に座るために合わされたといえる。

だが、金与正の急浮上に対して、韓国政府が安易に対応しているとの指摘も出ている。3代世襲指導者である金正恩がいわゆる「白頭(ペクトゥ)血統」を前面に出して封建王朝時代に匹敵するほどの非正常的統治形態を示しているにも関わらず、正確な診断や批判の声が出てきていないということだ。統一部は党全員会議分析資料を出したが「局面突破のための人事改編」という水準にとどまった。スイス留学時代の旅券情報を通じて金与正が「1989年9月26日生まれ」という点を西側情報当局が把握しているのにもかかわらず韓国政府は混乱するなど、基礎的な情報収集にも穴が開いている。米国は詳細な対北朝鮮情報に基づいて金正恩一家の専横を圧迫する措置も講じている。米国務省がことし1月に北朝鮮人権報告書で金与正を「北朝鮮言論の検閲と住民洗脳工作の総責」として人権犯罪者リストに入れたのが代表的だ。

労働党政治局に入ったことを契機に、金与正は西側言論のスポットライトを浴びている。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は9日、金正恩と李雪主の間の子ども(韓国情報当局は3人と推定)が全員6歳以下である点を取り上げて「予期できない統治不在の状況で王朝を保証できる装置を用意したもの」と報じた。金正恩にもしものことがあった場合、妹を代案勢力に立てようとする意図が隠されているという分析だ。

これに関連し、高位層出身の脱北者は「金与正が金正恩と常に統治路線や人事・政策問題を話し合うなど有事の際の権力後継第1位として準備中だと承知している」と述べた。ホルモン系疾患で後継席を弟に譲った金正哲(キム・ジョンチョル、36)は、ポップスターのエリック・クラプトンの音楽に心酔するなど権力に対する未練を捨てた状態だと把握されている。
COPYRIGHTⓒ 中央日報日本語版  2017年10月11日 14:46
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